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職場の実態レポート : 株式投資を語りあう同僚が増え始める
投稿者: rodo-info 投稿日時: 2006-1-23 8:00:00 (2411 ヒット)

職場の話題・意識の変化とその影響
株式投資を語りあう同僚が増え始める


「労働通信」2005年11月号の記事より
電機産業労働者 小林 栄太郎


 最近職場での会話に変化が起こっていることに気が付いた。一昨年まではほとんど話題にならなかった投資についての会話がいろいろな場面で交わされているのである。そこで、熱心に株式投資について語り合っている職場仲間に聞いてみた。

職場での話題に変化が


 彼(H君)は私の職場と契約している20歳代の請負労働者である。

―― H君、最近株の話をよくしているけど、株取引しているの?

H君 「私はかなり前からやってますよ。」

―― そうだったんだ。どうしてやろうと思たの?

H君 「ある時、少ないながらも親の遺産を受け取る事になり、このお金をちょっとずつ生活にあててもたいして食いつなげる訳でもないし、どうにかして維持できないかと思っていました。高校を卒業して就職したのをきっかけに、これを元手に株式投資を始めることにしたんです。」

全文を読むには下記の<続き・・・>をクリックしてご覧下さい。




―― でも個人投資家の8割〜9割は損をしているというよ。元手がなくなる危険性もあるね。

H君 「それはちゃんとリスク管理していないからですよ。勉強も必要ですよ。株をやるなら、世の中の仕組みを勉強しなければ利益はあげられないんですよ。それと個人では信用取引はやらないほうがいいですね。あくまで自分の余っている資金を運用しなければいざというときに破滅しますよ。」

―― どんな勉強したの?

H君 「いろいろですよ。たとえば株の売買セオリーはもちろん。経済の仕組みから政治の動向など日々目を光らせていますよ。世の中の微妙な動きが株価にすぐ反映するんです。」

―― へぇー。最近若者は世の中の動きに疎いと聞いていたけど君は偉いねぇ。

H君 「背に腹はかえられませんからね。私なんか給料も安いし、将来年金もどうなるかわかりません。こうなったら自分で備えるしかないですからねぇ。この先サラリーマンが給料だけでまともな生活が出来るとは思えないんです。」

―― ところで他にもやっている人はいるの?

H君 「結構いますよ。あの人とあの人、それにあちらのグループでは野村のバーチャルシュミレーションで株取引のゲームを楽しんだりしてますよ。今お世話になっているお客さんの課長、部長なんかはほとんどやってますしね。」

増え続ける個人投資家


 東証によれば、2004年度の個人株主数は、前年度に比べ138万人増加し、3539万人となった。これにより、個人株主数は、1996年度以降9年連続で過去最高を更新しながら増加しているという。ただし、この3539万人という数字は単純に上場企業の株主を合算したもので名寄せしていないので実際の人数はこれよりも少ないはずである。しかし、個人投資家が年々大幅に増加していることには変わりはない。(図1 個人株主数の推移)

 これだけ個人投資家が増えるのにも理由がある。

・インターネット証券の普及により、自宅にいながら24時間注文が可能になりサラリーマンが取引しやすい環境が整った。
・規制緩和により取引手数料が低価格化した。
・ミニ株やプチ株などの低価格で株取引が行える商品が開発され、1万円〜5万円といったサラリーマンの小遣い程度でも始められる環境が整ってきた。
・2007年度までの税制優遇により、株売買による利益の税率が27%から10%に減税された。
・特定口座の開設により税金の支払いは証券会社に委託することができて、面倒な確定申告を行わなくてもよくなった。
・低金利時代で銀行に資産を預けていても資産を増やすことが期待できない。
・給料もベースアップが期待できず伸び悩みである。

 このような理由から個人の株式投資が増えたのではないかと考えられる。巷では「10万円から3000万円儲けたカリスマ主婦の株取引方法」云々というような指南本が腐るほど氾濫しているのは今の時世を反映しているようにも思われる。

 しかし、これらは意図的に個人投資家を増やそうとする金融庁の政策が大きく関与していることを忘れてはならない。(「証券資料の構造改革プログラム」参照

労働者の意識にも変化が


 個人投資を始めるサラリーマンが増えると労働者意識にも変化がおきることはないだろうか。

 自民党が大勝した9月の衆議院選挙の結果について、先程のH君との会話である。

―― 最近、日経平均株価が高騰しているけれど何故だと思う?

H君 「徐々に景気が回復してきたということではないでしょうか。」

―― こないだの衆院選で自民が圧勝したのも影響したのでは?

H君 「それはありますね。」

―― 選挙には行ったか?

H君 「行きましたよ。」

―― 郵政民営化賛成・反対どちらにした?

H君 「私は賛成の方です。国の借金がこれだけ膨らんでいるのでどうにかしなければならないでしょう。」

―― でも郵便局は独立採算制なので税金は使われていないよ。

H君 「えっ。そうなんですか。」

―― まあ、それでも小泉さんなんかは、今の郵便局は民間みたいに税金は払ってないし、民間にして民間並に税金が取れればという理屈なんだけどね。

H君 「そういうことだったんですか。」

―― ところで、H君がもし今まで民主や社共の支持者で、今回のように自民が勝てば株価があがるという状況のときはどこに投票する?

H君 「それは、もちろん自民ですよ。」

―― 背に腹は変えられんということか。

H君 「そういうことです。(笑)」

―― そうしたら今個人投資家がどんどん増えているけど、この人たちはほとんど自民に投票したのだろうか?

H君 「そうだと思います。私の会社でもほとんどの人が株取引を始めだしました。なかには100万円を1000万円にして調子にのって信用取引を始めた同期もいるくらいです。そんな状況ですので今回の選挙にも少なからず影響があったのではないでしょうか。」

 この会話のように個人投資を始めた労働者は従来に無い意識の変化が起こっているのではないかと思われる。

 選挙前から、投資家の間では外国人投資家の評価が高い小泉自民が勝てば、海外投資家の日本株買いが活発化し株価が上がり、逆に負けて退陣し、「反米姿勢」を表明している民主党が政権を取れば、海外投資家が日本株買いをストップしたり、政治リスクから日本株を売ることになり、株価はに下落するという見通しが大勢を占めていた。事実、自民優勢が伝えられた選挙前から日経平均株価が上がり始め、選挙結果が自民圧勝になった時点からさらに上がり今や1万4000円に手が届く状況となっている。売買金額も1980年代のバブル期を超えてしまうほどの活況ぶりである。



 今回の選挙結果については、いろいろな分析がされているが増大した個人投資家の動きを無視する事は出来ないであろう。こうした変化により、本来非自民であった労働者が今回は自民党に投票したと言う事も考えられるからである。有権者全体からすると個人投資家の増加数はそれほど大きなものではない。しかし、表1に示すように、自民党は前回の衆議院選挙からみると得票率で3%〜4%の伸びしかないにもかかわらず、選挙制度のひずみを十分生かし過半数の当選者を獲得することができた。このわずかな得票率の伸びに増加した個人投資家の意識が反映されたと考えると個人投資家の影響は絶大なものになると推測される。それは個人投資を始めた労働者の経済基盤の変化にともなう意識の変化が政治的に大きく影響したということにもつながるのではないかとも考えられる。

現代資本主義の1つの特徴


 いつのまにか周りに個人投資家がどんどん増え続けている。投資を始めた人に話を聞くと儲けて贅沢したいというよりも、将来に備えたいという意識のほうが強いように思われた。この先給料だけではやっていけないし、労働運動の停滞で、今後給料が上がる見込みがないという状況で、労働者は個人で何とかしようと考えたあげくの選択肢の1つに投資活動を選んだのではないかと思われる。もちろん政府の政策的な意図が十分成果を挙げている事も確かである。

 今後労働者のこのような傾向はより鮮明になっていくであろう。これが円熟した先進資本主義国の傾向なのであろうか。米国と同じような状況(米国では4人に1人は個人投資家であるといわれている)に近づいているのかもしれない。

 労働者が投資家になることへの是非は一概にはいえない。今までスポーツ新聞しか読まなかった人が突然日本経済新聞を読み出し、経済の仕組みや政治の状況に詳しくなったり、それにより今まで見えていなかった世の中の動きを分析する能力を身につけだしたということは歓迎すべきことではなかろうか。

 しかし、一方で現代の資本主義体制下での個人の投資というものは、労働者の泣けなしの蓄えを市場に流通させるということでもある。プラスのリターンが約束されていれば問題ないが、資本主義体制下での投資は金持ちに有利な仕組みになっている。事実、個人投資家の80%〜90%は損をしているというデータもある。損をしているものがいれば得をしているものもいるということである。従来より資本家と呼ばれているほんの少しの個人投資家と莫大な資金と圧倒的な情報量を有する機関投資家に利益を吸い取られているという現実があるということも忘れてはならない。

 このような状況を変化する現代資本主義のひとつの特徴として今後さらに分析する必要があるのではないだろうか。


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