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世界の労働者のたたかい : 労働法の抜本的改悪が狙いだったCPE
投稿者: rodo-info 投稿日時: 2006-4-25 0:18:00 (5357 ヒット)



労働法の抜本的改悪が狙いだったCPE


「労働通信」2006年5月号の記事より

 フランスではこの1月いらい、26歳以下の若者の解雇を容易にする「初期雇用契約」(CPE)に反対する学生や労働組合の抗議行動がつづいてきたが4月10日、ついにドビルパン首相がCPEの撤回を表明した。

 ドビルパン首相は1月なかばに、青年の失業問題解決の切り札として、CPEをうちだした。それは、26歳以下の若者を対象として「試用期間」を2年間にも延長し、その期間は理由も告げずに自由に解雇することができるようにすることで、企業経営者に雇用を促進しようとするものである。

 ドビルパン首相は、この法案の審議にあたって、慣行となっている労組代表との事前協議も無視し、国民議会(下院)では審議打ち切りと表決無しの法案採択を強行した。

 これにたいして、当の若者が強く反発し、2月7日に全国学生連合(UNEL)、全国高校生連合とフランス労働総同盟(CGT)をはじめとする6労組が共同して第1回の抗議行動を始めたのを皮切りに、参加者は第1波(2月7日)40万人、第2波(3月7日)100万人、第3波(3月18日)150万人へとふくれあがった。この間、学生ストや占拠・封鎖は、全国84大学のうち、60以上の大学で、高校でも4300校のうち600校以上にひろがった。

 3月28日には労働組合が全国規模のストライキに入り、抗議行動には300万人が参加した。4月4日にも第2回目のストライキがたたかわれ、高速列車TGVの28%、在来特急の55%、パリ郊外線の49%が運休した。

 本誌では、このフランスでのCPE問題を英語で世界に発信しているインターネットのブログlibcom.org/blog - unrest in france に掲載された、労働問題の専門家・フロランス・レフレーヌ氏へのインタビューをブログ主宰者の承認を得て翻訳・紹介する。インタビューは、CPEが撤回される前の抗議行動のさなかでおこなわれたものであるが、問題となったCPEの内容について詳しく述べており、今回のたたかいの背景を知るうえで参考とすることができる。

全文を読むには下記の<続き・・・>をクリックしてご覧下さい。




解雇自由な契約が広がる

フロランス・レフレーヌ


libcom.org/blog - unrest in france より翻訳・転載

 われわれは、経済学者であり、ヨーロッパ労働問題の専門家であるフロランス・レフレーヌ氏にCPE(初期雇用契約)についてお話をうかがった。インタビューのなかで、経済社会研究所の研究員であるレフレーヌ氏は、CPEを正当化するための数字として、若者の4人に1人が失業しているとひろく報道されていることにたいして疑問を呈した。フランス国外では、フランスが若者の慢性的失業の国であり、ぜひとも労働市場の改革が必要であるかのように描くためにこの数字が使われてきた。

――本日はありがとうございます。CPEに関するおおくの記事やデモの横断幕等のなかで、「不安定」(訳注:フランス語の"precarite”)という言葉をよく目にします。この言葉の意味をどのように説明されますか?

レフレーヌ
 「不安定」という言葉に世界共通の定義をおこなうことはできません。それは、それぞれの国の標準的な雇用形態によって左右されるからです。
 フランスでは、標準的な雇用形態はCDI(無期限雇用契約)といいます。このCDIには、労働者にとってのおおくの集団的な権利と、経営者にとっての義務が含まれています。そのうちの、つぎの3つは非常に重要です。1958年に労働法に導入された解雇通告の義務と、1967年に制定された解雇手当の義務、そして1973年に導入された、解雇を正当化するにたりる「正真正銘の深刻な」理由付けの義務化などです。この最後のルールが、CPEやCNE(新規雇用契約)で撤廃されたわけです。



――フランスで抵抗を受けている「不安定」は、すでにイギリスには存在していると思いますか?

レフレーヌ
 はい。ある意味でイギリスでは、標準的な雇用形態であっても、労働市場の柔軟化はかなりひろい範囲ですでに存在しています。

 イギリスでは短期雇用契約はわずか(全体の6%)ですが、それは長期雇用契約であっても経営者は十分な「柔軟性」を手にいれているからです。

 「不安定」という言葉は、「劣悪な仕事」といいかえることができます。それは、低賃金、病気休暇無し、法定の義務を超えた年金なし、昇進なしを意味します。非正規の雇用形態(とくにパート労働)の増大は、労働者をますます劣悪な労働条件にさらすようになっています。

――青年の失業率が22%という統計は世論をミスリードするものであり、誤りだと、あなたが書いておられるのを読んだことがあります。この異常さを説明していただけますか? この統計を使うことは、BBCなどがその良い例ですが、事実に基づいて考えると、不正確なものだと思いますか?

レフレーヌ
 フランスは、EU加盟国のなかでは、若者たちが1番遅く労働市場に参入する国です。また、かれらの参入率は38%と1番低いのです。学校制度は、いろいろな意味で、雇用政策の最初のレベルを代表しています。

 いうならば、4人に1人の若者が失業しているというのは、完全に間違いであり、1種の「世論操作」だということができます。というのは、失業率が23%だというのは、実際に労働市場のなかにいる若者を分母にした数字なのです。若者全体を分母にすると、失業率は実際には8%なのです。(0・23×0・38) とはいえ、若者の失業率が、生産年齢人口の平均失業の約2・2倍であることも事実です。

――フランス国外のおおくの人人は、なぜ学生たちがこの法律に抗議するのか理解できません。この法律がかれらにどのような影響をあたえ、なぜ、そうなるのかも理解していません。また、CPEに反対する学生運動が、その枠を超えてすべての若者をふくむ運動へと成長しているというのはほんとうですか?

レフレーヌ
 26歳以下という基準は別にしても、CPEはある特定の種類の人人を対象にしたものではありません。したがって、わかい新卒者であれば、だれでもこのタイプの雇用契約で採用されるかもしれないのです。

 政府は、CPEが何も資格をもたない若者たちのための解決策であるという主張を繰り返しています。しかし、それならばなぜCPEはこうした資格をもたない人たちだけを対象にしたものにしないのでしょうか? 今後、経営者が若者の採用を行う場合、いままでのように通常の契約を引き続きつかうかどうかは、何の保障もありません。リスクははっきりとしています。このタイプの雇用契約が通常の雇用形態にとってかわってしまうでしょう。

――若者にあたえられるすべての仕事が、やがてはCPE型になってしまうのは避けられないとお考えですか? あるいは、それは不可能だと考えられますか?

レフレーヌ
 法律的には完全に可能です。しかし、覚えておいていただきたいのは、若者の雇用契約の形態としては、公共の雇用政策として、CDI(無期限雇用契約)、CDD(期限付雇用契約)、臨時雇用、CNE(新規雇用契約)、CPE(初期雇用契約)、各種の請負契約など15種類以上もあるということです。雇用主は、自分たちの具体的なニーズにそって、もっとも適したものを選べば良いだけです。

――「CPEに抗議した学生たちは利己的だ、この法律は『郊外の若者たち』(昨年末に『暴動』をひきここしたパリ郊外に住む移民系の若者たちのこと)をたすけるためのものであり、学生たちにこの法律を阻止する権利はないのだ」と、当初いわれました。しかし現在、「郊外の若者たち」もこの法律に反対しています。
 あなたは、この法律が「仕事を創出」することをとおして、かれらを助けるものになるという根拠があると信じることができますか?

レフレーヌ
 もし雇用主が、資格をもたない若者と、資格をもつ若者を選ぶとしたら、かれはあきらかに後者を選ぶでしょう。



――CPEでは、雇用主は解雇にあたっては理由をあきらかにする必要さえないのだとのことですが、それはほんとうですか。

レフレーヌ
 そのとおりです。CPEは、最初に2年間の「試用期間」がついている特殊な形態の常用雇用契約であり、この「試用期間」中は何の理由もつげずに解雇することができるというものです。そうした場合、勤続1〜6カ月の人にたいしては2週間前に解雇の通知をおこなわなければなりません。それ以上の期間勤続している場合は、1カ月前に通知しなければなりません。
 解雇された労働者は、雇用契約の締結時からの総賃金の8%を補償として受け取ります。もし、雇用主がCDD(期限付き雇用契約)を使っていた場合は、契約当初からの賃金総額の10%プラス契約終了までの賃金の代償を支払わなければなりません。もし、無期限雇用契約(CDI)を使っている場合は、6カ月分の賃金を支払わなければなりません。

――CPEは、ドビルパン首相がいうように、昨年11月の若者たちの反乱への対応策だと思いますか? それとも、もともとあったアイデアだと思いますか?

レフレーヌ
 ドビルパンは、かれの新たな雇用契約を正当化するための論争のなかで、11月の反乱を使います。しかし、かれの目標は、フランスの労働法を抜本的に改革して、よりいっそう「柔軟化」をはかることなのです。
 問題は、CDD(期限付き雇用契約)の拡大(新規雇用の75%、全雇用の13%)によってすでに導入された「柔軟化」が、新たな仕事を生み出してはいないことです。仕事を生みだすのは、GDPの成長だけです。まじめな経済学者であればみんな知っていることです。

――CNE(新規雇用契約)とCPE(初期雇用契約)の違いを説明していただけますか? すでに成立して時間がたっているCNEが成功したという根拠はありますか?

レフレーヌ
 CPE(初期雇用契約)は、2005年6月の緊急雇用計画でうちだされ、夏に法制化され施行されているCNE(新規雇用契約)の拡張版です。これは、20人以上の従業員規模の企業を対象にしています。

 CPEは、若者の雇用創出策として、すでに増大している通常の労働法からの除外事項をさらにふくれあがらせるものです。

 CNE(35万人の募集)の導入によって、雇用契約が破棄されるケースが増大し、労働審判委員会の仕事が増えるという結果をもたらしました。
 雇用主にとっては、人員削減するにあたって、「真の深刻な理由」等による理由説明は義務でなくなりました。これにたいして、従業員は法律に訴えることができます。しかし、その場合、従業員は人員削減が不当であることを証明しなければならなくなりました。

――CDD(期限付き雇用契約)は全般的に受け入れられていますか? また、CPE(初期雇用契約)の即時撤廃を求めている運動の側は、CDD(期限付き雇用契約)やCNE(新規雇用契約)もおなじように撤廃を要求していますか?

レフレーヌ
 CPE(初期雇用契約)反対運動にかかわっている団体のおおくが、CNE(新規雇用契約)もおなじように撤廃を要求しています。社会党は、2007年の選挙で勝てばこの両法とも廃止することを約束しています。
 CDD(期限付き雇用契約)の撤廃を訴えるには、問題はもっと複雑です。というのは、CDDは労働法のなかで特殊な役割を果たしていて、臨時的あるいは季節的な労働に限定されているからです。問題なのは、おおくの雇用主が、この制度を利用するときに法律をまもろうとしないことです。法を遵守せよというのが、最大の要求です。

――ドビルパンは、この法律を完全に撤廃する以外に危機を脱出することができると思いますか? この法律は、何らかの修正が可能ですか?

レフレーヌ
 CPEは、憲法49条2項によってさだめられた例外的な強権措置を発動して、事前の論戦もなしに採択されました。労働組合や経営者団体との協議もありませんでした。

 こうした手法こそ、労働組合や政党(与党の1部であるフランス民主連合<UDF>さえ)が、これほどまでに精力的にCPEに反対している理由の1つです。

 シラクとドビルパンは、国会で成立したCPEは撤廃できないというでしょう。かれらは、わずかな修正を試みて、社会運動が内部分裂をおこすことを期待しています。憲法裁判所が、この法律について判決を下そうとしています。もし、これが否定されたら、政府は顔をつぶさないための政治的な道を探るでしょう。いすれにせよ、3月28日に計画されているつぎのデモンストレーションは、闘争の強さを評価する決定的な要因となるでしょう。

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