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労働戦線情勢 : 労働法改定の新たな動き
投稿者: rodo-info 投稿日時: 2007-1-15 0:00:00 (11754 ヒット)







「労働通信」2006年9月号の記事より


 厚生労働省は、労働者と経営者の雇用契約のルールを明確にする新たな「労働契約法」の制定と労働時間法制の見直し(労働基準法の改定)の具体化を本格化させている。
 長時間労働の是正のために残業手当の割増率をひきあげることや、一定以上の賃金収入の労働者は労働時間の規制からはずして残業手当をなくす仕組みなどをうちだしている。
 厚生労働省は、この秋に最終報告(労働政策審議会の分科会)をまとめ、来年の通常国会に労働契約の新法や労働基準法改定案などの関連法案を提出したいと考えている。
 すでに、この法案は、今年の春にだされた素案(労働契約法制および労働時間法制のあり方について)段階で労使からそれぞれ反発が寄せられている。
 素案の主な項目は、〇間外労働の削減、⊆律的労働、2鮓曚砲弔い討任△襦
 「時間外労働の削減」の内容は、「時間外労働が月40時間をこえる場合は1日、75時間こえるものには2日の『健康確保の休日』を義務づける」というものである。労働側からは「現実に休める手立て(休日労働の禁止等)がともなわなければ絵に描いたもちに過ぎない」とする意見がだされる一方、経営者側からは「人件費がかさめば国際競争に生き残れない」と、ともに反対意見がだされている。
 自律的労働制度の創設とは、「一定以上の賃金収入の労働者など緩やかな管理で自律的にはたらく人を、1日8時間の労働時間規制からはずし、残業手当の適用対象外とする」というものである。これにたいし、労働側は「不払い残業を合法化し、過労死の温床」になるとして反対し、経営側は「賃金は時間でなく成果で公平に評価することができ、最優先で推進したい」と賛成を表明している。
 なお、経団連は昨年、年収が400万円以上の従業員を労働時間規制の対象外にすることを提案している。こうなれば、おおくの正規社員の残業手当がなくなることになる。
 いま1つは、解雇をめぐる紛争解決制度のなかで、「労使双方が金銭による紛争の処理を申し出ることができる」ようにすることである。これにたいし、労働側が「カネで首切りの合法化につながるから」として反対しており、経営者側は「トラブルのあった職場への復帰は困難だ。労使ともコストの削減になる」と賛成している。





この記事は「労働通信」2006年9月号の内容を掲載しています。労働法制をめぐる情勢は、刻々と変化し予断を許さない状況にあります。
最新の情報は、「労働通信」最新号をご覧ください。最新号のお申し込みは、「労働通信」ショッピングモールからどうぞ。

全文を読むには下記の<続き・・・>をクリックしてご覧下さい。


<90年代からの動き>

 「労働契約法」の制定と労働時間法制の見直しは、政府と経団連など財界が1990年代の後半以降ねらってきたものである。
 それは、日本経済の変化と生産様式、労働構造などの変化によるものである。日本の財界は80年代にはいって、コンピュータの全面導入と結合して日本の産業構造の転換をはかり、海外への生産拠点の移転、資本の直接投下など経済進出を本格化させた。とくに、90年代に入ってからのIT導入、情報通信化によるすべての産業の産業構造の転換は生産方法、生産様式の急激な変化をもたらした。
 この十数年間の日本社会・経済の変化は、労働構造の2極分化をもたらした。パート、アルバイト、契約・嘱託、派遣、製造業の請負労働者など不安定な条件のもとではたらく非正規社員が急増し、とくに小泉政権下の5年間にその数は約300万人も増え、2006年には1663万人に達している。雇用労働者の3人に1人が非正規社員、15歳から24歳の若年層のほぼ2人に1人が非正規社員となっている。
 また、ホワイトカラー労働者が増え、就業形態や就業意識が多様化するなかで創造的・専門的能力を有する労働者が大量につくりだされた。
 こうした状況は、経団連の労働政策である「新時代の『日本的経営』」――雇用形態の3つの分類・労働形態と雇用形態の分断――によって推進された(下表参照)。そして、この労働力政策を合法化するため、1995年前後に労基法や労働者派遣法の改悪などがすすめられてきた。
 今日、解雇にかかわる紛争や労働条件の変更にかかわる紛争をはじめとした個別の労働問題による紛争は不断に増加しており、また個別の労働関係におけるルールが明確でないために、労働条件の変更などについて予測できず、それが解決できないという事態に直面している。一方で、低賃金で無権利な不安定雇用労働者と長時間労働者が増えつづけ、過労死が増大し、家庭破壊や少子化現象が政治的、社会的な問題にまでたちいたっている。
 この問題の是正のために、新たな「労働契約法」と労働時間法制の見直しの具体化をはかることは、政府と財界にとっては緊急課題となっている。厚生労働省自身が「労働基準法を遵守しつつ、円満かつ良好な労働契約関係が継続されるようにする必要がある。このため、労働契約に関するルールを定めた労働契約法を制定するとともに、労働時間に関する制度を見直し、労働基準法を改正することが必要」(労働政策審議会の素案)といっている。





<非正規労働者の存在を無視しては考えられない>

 今回の労働法改定案をみると、過労死の温床となるような「自律的労働制度」の創設がうたわれる一方で、長時間労働への規制など一定の労働者保護的な要素も打ち出している。しかし、そのことが結果として、法律の保護をかけにくい非正規雇用労働者の増大に拍車をかけかねない恐れもある。
 今、非正規雇用労働者の増大は、政治的、社会的問題になっている。これが政府と経営側の自己矛盾である。この関係を利用して非正規社員の正規社員化と非正規社員の法的保護をたたかいとるチャンスでもある。この「労働契約法」は、非正規労働者の存在をぬきには考えられない問題である。
 以上のことをはっきりさせて、素案の内容がどんなものか見てみよう。(下表参照)





<時間外労働の削減と自律的労働について>

 労働時間法制のあり方(残業時間の削減)は、「健康確保の休暇」をあたえること、残業手当の割増率を上げることを掲げている。
 また、一定以上の賃金収入の労働者と緩やかな管理で自律的にはたらく人(自律的労働)を、残業手当の適用対象外とするというものである。主なねらいは人件費の削減にある。低賃金の非正規労働者の採用を増やす一方で、正規社員の配置を制限して残業で仕事をはかせるという構図になっている。労働時間の問題は、適正な要員配置がされてないところにある。


<解雇トラブルの金銭処理の新しい仕組>

 解雇をめぐる労働審判制度や個別労使紛争解決制度等の紛争解決手続きにおいて、職場復帰ではなく金銭補償で紛争を解決する道をひらくというものである。しかし、この問題は、「解雇をめぐる紛争が長期化すると労使にとってコストがかさむ」ということが1つの理由になっているが、企業の裁判費用の負担をとりのぞくことに眼目があり、安易に容認できるものではない。
 金銭的解決問題をうちだす背景には、労働紛争の相談数が2004年度で82万件を超え、そのうち解雇に関するものが27・1%も占めており、正社員からの申し出がもっともおおいということにある(2001年10月からはじめられた個別労働関係紛争解決制度や労働審判制度)。派遣・期間やアルバイトなど非正規の不安定雇用労働者には、企業の一方的な解雇に異議を唱え、裁判にかけることもいっそう困難である。この問題をふくめ検討をする必要がある。


<労基法上の「過半数代用者」の選出手続きの明確化>

 現行の労基法では、使用者が時間外労働協定(36協定)を締結した、就業規則の作成・変更をおこなうにあたって、事業場に過半数の労働者を組織する労働組合がない場合は、「過半数代表者」を協定の締結や意見聴取の相手とすることを規定しているが、その選出方法については明確に規定していない。未組織の職場ではおおくの場合、会社側が特定の労働者を「過半数代表者」として指名するか、親睦会等の役員が代行しているという実態である。これにたいして改定案では、「過半数代表」の選出手続きを検討することがうちだされている。
 また、この手続きで選出された委員を構成メンバーとして、常設の「労使委員会」を設置することも検討されている。
 これも経営者に有利に作用する側面もあるが、未組織労働者が組織的な活動をする契機にもなる。今、コンビニやスーパーなど未組織労働者は広範に存在している。未組織労働者をどうしていくかは、労働組合として問題になっている。この層にたいして連合などナショナルセンターや既存の組合は手がつけられない状況にある。しかし、最近イオンで4万人のパート労働者の労働組合がつくられている。労働組合をとおして労働条件上の問題を解決するという趨勢のあらわれである。「過半数代表」の選出手続きの明確化や「労使委員会」の常設化をチャンスの1つとして労働組合の組織拡大、未組織の組織化をすすめる必要がある。


<職場で生起している諸問題と結合してたたかう>

 この労働契約法問題のたたかいは、労働組合と全労働者の重要な闘争課題の1つである。職場、労働現場における労働組合をはじめ労働者のたたかいなしに、法律談義だけでは解決しない。政府、労働組合、経営者の代表によるテーブルの上における話し合いだけに委ねるのではなく、正規社員と非正規社員の労働と雇用のあり方をめぐる重要な問題として、両者の要求を基礎に政策闘争をたたかうようにしなければならない。具体的には、労働組合が中心になって職場や地域で、弁護士をふくめ正規、非正規、組織、未組織、民間大企業・中小、公務員を問わずすべての労働者をあつめて、それぞれシンポジウムや研究会をおこなうことである。そのなかで、職場の生起している労働条件上の諸問題とむすびつけて「労働契約法」を深く研究し、その問題点を鮮明にして「労働法の見直し」とたたかうことが求められている。






 

 『労働通信』は、現代の労働者が直面する問題や日本と世界の労働運動について隔月刊で編集、発行している雑誌です。

 編集委員は全員が職場ではたらき運動に参加している労働者です。また、全国の職場で奮闘している活動家のみなさんからの投稿にささえられて発行しています。

 購読料は、1部500円(送料込み)、年間で3,000円です。

 購読のお申し込みは「労働通信」ショッピングモールからどうぞ。
 







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