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労働戦線情勢 : 知らなきゃ大変労働法改悪
投稿者: rodo-info 投稿日時: 2007-2-5 0:00:00 (11226 ヒット)







「労働通信」2006年11月号の記事より


 労働通信9月号で特集した、「労働法改定のあらたな動き」について、ひきつづき厚生労働省の労働政策審議会が労使双方の代表者をまじえた議論がつづけられている。
 だが、労働法改定の内容については、まだまだ現場の労働者にはわかりにくいものがおおい。今号では、さらにその内容と背景について考えてみたい。





この記事は「労働通信」2006年11月号の内容を掲載しています。労働法制をめぐる情勢は、刻々と変化し予断を許さない状況にあります。
最新の情報は、「労働通信」最新号をご覧ください。最新号のお申し込みは、「労働通信」ショッピングモールからどうぞ。

全文を読むには下記の<続き・・・>をクリックしてご覧下さい。


<いまどきの労働法改定論議とは>

 論議されている労働法改定には、2つの柱がある。
 一つは、労働基準法のなかの労働時間に関する規定を大幅に改訂することである。もう一つは、労働基準法のなかの労働契約にかんする規定を独立させて、あらたに「労働契約法」をつくるというものである。


<え、オレも自律的労働者?>

 労働時間法制については、「自律的労働にふさわしい制度」の創設と「時間外労働の規制」という2つの課題が提案されている。
 厚生労働省がいう「自律的労働にふさわしい制度」のもとでの「ゆるやかな管理のもとで自律的な働きをする仕事」とは、つぎのような仕事が想定されている。
・一定期間内で仕事の成果をだせば良いとされている労働者。
・あらかじめ与えられた課題のみ追求すれば良いとされている労働者。
・業務の推移が調整できて休日などがすくなからず自由に組める立場の労働者、または突発的な事由により代務者を調達することが容易な職場の労働者。
・期待された成果が達成できなくても費やした努力が認められれば賃金の変動がすくない条件の労働者、等々。
 こんなところは中枢機関の研究者や非常に高度な技術職、高額な取引を可能にしている営業マンなどであると思われるが、この「自律的労働にふさわしい制度」の目的は「労働時間とは1日8時間である」という規定から、残業時間、休憩時間、深夜労働などの概念をとってしまい、割増賃金制という大切な労働条件を奪ってしまうところにある。
 そしてさらに経団連は、年収400万円以上のごく一般の正規労働者を対象にしようとしており、そうなればおおくの人たちが「自律的労働」状態であると見なされ、「ホワイトカラー・エグゼンプション」(ホワイトカラー労働者を労働時間規制の対象からすべて除外してしまうこと)へとつなげられるのである。
 すでに今日、成果主義賃金がおしつけられているなかで、ノルマ達成の精神的プレッシャーがあって、休憩時間や深夜にわたる「時間外労働」を強いられている。しかも、おおくがまともに残業手当も支払われない。そのまま、病気に倒れたり、鬱病などの精神疾患に冒されたり、はては過労死や過労自殺に追い込まれるケースが後を絶たない。厚労省がいう「自律的労働」とかけはなれた過酷な労働が当たり前なのに、その制度だけが一人歩きする危険性をはらんでいるのである。


<改善案?も抽象的に>

 他方で、労基法改定案では、「改善案かな?」と思われる時間外労働の規制も提案されていた。
 6月にだされた厚生労働省の原案では、一定時間をこえて時間外労働をさせた場合、健康確保のための休日を1カ月以内に与えることを提案している。具体例としては、時間外労働が1カ月40時間超75時間未満では1日、75時間超では2日の休日を付与せよというものだ。
 あわせて、一定時間(たとえば1カ月30時間)を超えて時間外労働をさせた場合、割増賃金の割増率をひきあげる(例5割)ことも提案された。
 やっと、長時間労働や過労死などに対する世論の批判に耳をかたむけ、労働組合の要求をある程度反映してくれたようだが、厳しい世間ではこれを見逃してはくれない。
 9月におこなわれた労働政策審議会でだされた案では、強い抵抗を示した財界の要望を受け入れて、労働時間規制の、「時間外労働が1カ月40時間超75時間未満では1日、75時間超では2日の休日を付与する」といった具体的な数字が消され、抽象的な表現に後退させられてしまった。
 逆に「自律的労働にふさわしい制度」については当初の案通り残こしている。経営者のしたり顔が目に浮かんでくる。
トラブル防止策として打ち出した労働契約法だが・・・
 今一つの課題は、「労働契約法のあらたな制定」である。これは、労働者の採用や労働条件の変更、解雇などのルールについての法整備をすすめるものである。
 背景は、ここ数年、雇用形態が多様化する一方で労働組合の組織率が低くなり、採用や労働条件の変更、あるいは解雇をめぐって個別労働紛争が急速に増えており、国としても何らかの対策を打たざるを得なくなっていることがあげられる。
 募集段階では「正規社員への道」とうたっていても実際は有期契約のままだったり、同業他社の状態を見て便乗リストラや一方的に手当を切ったり、外部からの組合組織の介入を阻止するために活動家を解雇したりとさまざまなケースがある。それらのほとんどが経営者の無知や強引な思惑からきているものであり、労働組合がなければ労働監督署での相談となるのである。
 問題はその中味である。ここではとくに2点をとりあげる。





<カネで首切りも合理化>

 一つ目は、解雇による紛争解決手続きとして、金銭による紛争処理の仕組みを導入することである。
 職場で組合活動などをおこなってきた人人は、「簡単にクビを切られる可能性」にすくなからず不安を抱いたのではないか。現に、中小の企業で組合などを立ち上げる活動だけで解雇され、長期にわたって裁判をたたかっている人を見てきた。そういうことから、むやみやたら解雇が横行するのではないかと心配する向きもあるが、あくまで、使用者が解雇にいたる理由が社会通念上相当であることが絶対条件にかわりはない。解雇権の乱用は引き続き違法行為である。
 しかし、いったん、裁判ともなると原告勝訴を勝ち取り、「復職」にいたることもあるが、金銭解決による「和解」となっている場合もすくなくない。その理由は闘争の長期化で原告の疲弊がはげしく、復職し、組合を認めさせる気力、あるいは仲間が残っていないからである。こうなるまでに、紛争の未然防止を図るため「労働契約の終了の場面のルールの明確化」が厚労省から出された。労働審判制度の調停や裁判の過程で、労使のいずれかが金銭による解決を申し出ることができるという制度がこれである。
 これが導入された場合、たとえば、裁判で「解雇無効」の判決がでたとしても、経営者の側が「解決金」の支払いを申し出ることが可能で、労働者の原職復帰が困難になる可能性がでてくる。もちろん、労働者が職場復帰をあきらめている場合にも、労働者側からそれを申し出ることもできるが、そのときの問題は金額がどの基準で決まるのかが明確でないことである。
 まだまだ、不明瞭な点がおおく、できれば労働組合を組織し、且つ強化して働くものの利益を守るルールをつくりあげることが必要である。


<知らない間に労働条件を決められる?>

 二つ目は、労働条件の変更や決定にあたって、個別の労働者との合意よりも、経営者が一方的に決める就業規則に労働者全体が合意していると「推定」する制度を導入しようというものである。これは、解雇の金銭和解以上に大きな問題点がありそうである。
 労働条件を決めるための方法としては、^貎佑劼箸蠍鎚未力働者と経営者が「納得」の合意に基づく個別の「労働契約」、∀働組合と経営者との「交渉による」合意のもとで決められる「労働協約」、使用者が一方的に決める「就業規則」の3つがある。この3つとも、労働条件の最低限度の基準をさだめた労働基準法を下回ることは許されないのはいうまでもない。また、就業規則の改定にいよって、労働条件を切り下げることは、よほどの合理的理由がないかぎりは原則として認められないというのが従来の判例であった。
 ところが、あらたに制定される労働契約法では、このうち、の就業規則の位置づけがあいまいであったとして、労働協約で合意した事項や、個別に労働者と合意した事項をのぞいては、個々の労働者と経営者の間に就業規則でさだめられた労働条件で合意が成立しているものと「推定」してしまう制度を導入しようというものである。
 さらに、就業規則を変更する場合、その職場の労働者の過半数以上の労働者を組織する組合がある場合は、その組合との合意があれば、就業規則の変更について個々の労働者との合意があると「推定」するというのである。
 そのような組合がない場合は、「事業場のすべての労働者を適正に代表する者(複数)」との合意や、「労使委員会の決議」があれば、やはり個々の労働者との合意が成立していると「推定」するとしている。
 ここでいう、「事業場のすべての労働者を適正に代表する者(複数)」については、厚生労働省は「民主的選出方法を検討する」といっているが、いまの段階ではその内容は闇のなかである。
 また、「労使委員会」とは98年の労基法改定であらたに導入された制度で、もともとは企画業務型裁量労働制を導入するための要件を労使で合意するために設置されたもので、その過半数は労働者代表で構成されるとしている。この役割をこんごもっと広げていこうということであろうが、その内容もまたはっきりしない。
 いずれにせよ、こうした制度が導入されたらどうなるのか。たとえば、「過半数組合」が非民主的な運営をしている場合は、一部の組合幹部と会社との密室の審議だけで就業規則の改定が合意されてしまい、個々の労働者が納得していなくても、「合意」したと「推定」されてしまうのである。ましてや、組合がない職場では、会社が上から指名する「労働者代表」や「労使委員会」でかってに「合意」がなされてしまう可能性が高い。自分のあずかり知らないところで決めたことに、むりやり「合意」したと推定されたのでは、たまったものではない。
 
 このような労働法改悪の動きを、われわれも敏感にウォッチし、改悪に反対の声をあげていくとともに、労働者にとってあるべき労働法のあり方についても提言、要求をしていくことも重要になるだろう。









 

 『労働通信』は、現代の労働者が直面する問題や日本と世界の労働運動について隔月刊で編集、発行している雑誌です。

 編集委員は全員が職場ではたらき運動に参加している労働者です。また、全国の職場で奮闘している活動家のみなさんからの投稿にささえられて発行しています。

 購読料は、一部500円(送料込み)、年間で3,000円です。

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