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職場の実態レポート : IT産業の光と影 (3回シリーズ)
投稿者: rodo-info 投稿日時: 2007-2-12 0:00:00 (4869 ヒット)





  ――華やかな表舞台の裏側はどうなの?――

「労働通信」2006年7月号の記事より



 2006年のForbes誌に世界の億万長者として孫正義氏や三木谷浩史氏がランクインした。かれらの率いるソフトバンクや楽天といったベンチャー企業の花形産業ともいうべきIT産業(情報サービス産業)であるが、華やかな表舞台の影でその実態はどのようなものなのだろうか。
 『労働通信』では、職場取材や信頼できる統計データよりその内情を3回シリーズで掲載する。
 1回目は、日本におけるIT産業の位置づけとIT産業内部の課題について概観してみたい。
 IT(Information Technology 情報技術)は既に日常生活に定着し、携帯電話はもちろんのこと銀行のATM、コンビニのPOS端末、最近ではネット家電が家庭に入り込みつつありインターネットを媒介としたサービスが無意識のうちに人々の生活に深く浸透している。今では無人島にでもいかない限りこれらの恩恵を拒否することは難しい時代になった。それゆえ、この産業を調査・分析することはあらゆる産業の変化や人々の生活・意識の変化をとらえる要素の一つといえる。

全文を読むには下記の<続き・・・>をクリックしてご覧下さい。


<成長するIT産業>

 現在、日本のIT産業従事者は57万人といわれている。図1をみると景気に左右されながら従業員数は40万人〜55万人前後で推移していることがうかがえる。また1998年以降は50万人以上をキープしている。企業の本社・支店を合わせた事業所も全国7000カ所前後で推移している(図2)。






 国内の年間売上高は14兆5000億円で世界第2位である。日本の全産業に占める情報通信産業のGDP比は12・7%と従業者の数から他産業を比較するとかなり高い比率を占めていることになる。とくにここ10年間の売上高の伸び率は非常に高くなっている(図3)。



 日本の情報サービス商品(主に企業や公共の業務系・制御系システム)の特徴はオーダーメイドの一品生産が多くパッケージ製品として一般に流通するものはまだまだ少ない。一般にオーダーメイド商品は顧客要件の分析から設計・開発・運用テスト・システムの定着化そして保守にいたるまで多くの人材を確保する必要がある。


<人手不足と過酷な労働環境>

 以上日本のIT産業の特徴を概観してきたが、職場で働いている者からみたこの業界の課題として次の点が目立っている。

 )性的な人材不足
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 グローバル競争に勝つためのコスト削減と品質向上
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 慢性的な人材不足は、3Kといわれ有望な人材からこの業界が敬遠されがちという事情もあるが、日進月歩の新技術に対応できる人材の絶対数が圧倒的に不足していることに起因するところが大きい。これらは今後技術が高度化・専門化すればするほど顕著になってくると思われる。それを解決するためには、企業はもちろん学校教育の分野においても高等教育の機会をあらゆる階層に与えなければ解決できないと思われる。今般の教育事情を省みると教育費の負担をますます強いられ高等教育の機会を奪われている階層が増えているが、この産業事情からみても時代に逆行しており課題解決に向けた対応が急がれる。
 また、e―Japan構想や郵政公社の民営化、大手銀行の再編など大きなプロジェクトが次々とあらわれているが、これらは全てIT技術を駆使したコンピューターシステムの構築が成功の鍵を握ることとなる。それは、みずほ銀行のシステム統合の失敗や東証の売買システムの不手際が企業トップの首を飛ばすのに十分な影響力を持っていることからも分かる。これらを成功に導くためには、知識的な技術だけではなく、巨大プロジェクトをマネージメントする技術も必要であり、対人関係、組織運営をこなせる人材の育成をどのようにしておこなうのかが大きな課題となる。先般の読売新聞の調査結果でも示されたように社交性のない人物が増えているといわれるなかでこのような人材もますます不足している。最近ではテレビゲームにばかりに興じて家にこもりきりの子供たちが増えているという話を聞くと、ますます社交性のない人物が増えていくのではないかと少々複雑な気持ちになってしまうのは筆者だけではないはずである。
 労働環境についてみれば労働時間が不規則で長時間労働が常態化している現状がある。3Kと揶揄されるほど世間一般でもそのような環境がIT産業の実態と認識されてきたということがうかがえる。一時期よりは改善されてきたとはいえ中小零細企業では労働協約も不明確なまま違法な長時間労働を強いられる労働者が少なくないのが現状である。毎月200時間を越える時間外労働を強いられている従業員は珍しくないのもこの業界の特徴である。
 コスト削減は、大手企業の従業員はもちろんのこと下請け企業にはさらに厳しく要求されている。品質への要求はより厳しくなり、本来高品質のものはより管理コストがかかるのは当然であるが、その理屈が通らない状況になっている。それがサービス残業の増える温床となっているという現場の声もある。
 図4をみると一人当たりの売上高が年々伸びている。技術の進歩により生産性が向上したからという見方もあるが、長年この業界に携わっている労働者に話を聞いてみると、純粋な生産性向上だけではなく長時間残業、サービス残業、そして新たに導入された裁量労働制や成果主義制度の乱用により、一人当たりの労働密度が増したことが数字としてあらわれていると考えられる。とくに2001年以降の伸び率が大きいが、ちょうど小泉改革開始と一致しているのは偶然ではないはずである。さらに財界では、ホワイトカラー・エクゼンプションの導入を画策しており更なる労働強化につながる制度づくりに躍起になっている。





<海外開発とゼネコン体質>

 グローバル化の波はIT産業でも例外ではなく、海外の価格競争に対抗するために、大手メーカーでも開発部分を労働単価の安い海外へ委託するオフショア開発が盛んに行われるようになった(図5)。ところが海外の人材を管理する費用がかさみ思ったほどコスト削減できないのが実情である。逆に翻訳費用やアフターメンテナンスの難しさで費用がかさんでしまうという場合もあり、国内の労働者にしわ寄せをすることで何とか帳尻を合わせているという実態もある。そのような経験からオフショア開発については慎重さを求める企業もでてきている。



 ここ数年IT産業の構造的問題が露呈し始めている。とくにソフトウエア開発分野において業界全体としてのゼネコン体質が顕著になっている。大企業の受注に対して、ソフトウエア作成を単価の安い中小零細企業に請け負わせて利益の拡大をおこなうといったように建設業界と同様の体質になっている。
 図6は、会社規模の大きさと従業員一人当たりの売上高の相関関係を表している。これをみると大企業と零細企業の従業員一人当たりの売上高は実に7倍の差がある。これは一体何を意味しているのであろうか。同じ業界でありながら一人当たりの生産性が平均で7倍の格差があること自体不自然である。しかし大企業の中小零細企業へのピンハネ構造が数字にあらわれたものとみると理解は早い。事実、大手企業では単価の高い上流工程(顧客要件、システム設計など)のみを行い、単価の安いプログラミング工程は中小零細に請け負わせたうえさらに自社の利益を上積みするということを日常的におこなっている。



 このように日本国内では、大手企業の下に協力会社という請負会社・孫請け会社が構造的に存在し、そこで働く労働者の待遇は大企業の待遇に比べてかなり低いレベルにある。図7の会社規模別の給与額では、45歳〜54歳で格差が顕著にあらわれる。この年齢はマイホームローンや子供の教育費がピークを迎える時期でもある。とくに50歳〜54歳では大企業と零細企業とでは月額平均18・5万円の開きがある。一時金の額を加味すると格差はさらに大きくなる。また福利厚生面も無視できない条件の一つである。



 IT産業というと華やかな印象があるがその実態は、他産業と同様に激しい競争にさらされた厳しい職場であることには違いない。
 次回は大手企業の過酷な労働実態を掲載する。


――――――――――――――――――
IT産業の光と影(3回シリーズ)
第一回 華やかな表舞台の裏側はどうなの?
第二回 大手IT企業の過酷な現場
最終回 中小零細企業の実態






 

 『労働通信』は、現代の労働者が直面する問題や日本と世界の労働運動について隔月刊で編集、発行している雑誌です。

 編集委員は全員が職場ではたらき運動に参加している労働者です。また、全国の職場で奮闘している活動家のみなさんからの投稿にささえられて発行しています。

 購読料は、一部500円(送料込み)、年間で3,000円です。

 購読のお申し込みは「労働通信」ショッピングモールからどうぞ。
 






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