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職場の実態レポート : IT産業の光と影◆複害鵐轡蝓璽此
投稿者: rodo-info 投稿日時: 2007-3-26 0:00:00 (4775 ヒット)





  ――大手IT企業の過酷な現場――





「労働通信」2006年9月号の記事より



 某大手情報通信企業の総務部門に1本の電話がはいった。
 「うちの主人はもう2週間も家に帰らず、この3日間何の連絡もない。出張でもないのにどうなっているのか。」
 家族からの電話に総務担当者は慌ててAさんの上司に連絡をとり、本人から家族へ連絡を入れるよう指示を出した。Aさんはコンピュータシステム開発のリーダーとして、納期の厳しいプロジェクトをまかされていた。通常、開発に半年以上かかる案件を3カ月で完成させなければならなかったのである。
 もちろん開発要員は必要のべ人数をそろえているが、プロジェクトリーダーは短期間にそれら多くの人材管理と工程管理をこなさなければならず、より効率的で密度の高い作業を強いられる。
 プロジェクト開始当初から毎日終電で帰る日々が続き、1ヵ月後には、家にも帰れず徹夜続きで泊り込みの日々を送っていた。精神的にも疲労しており、家族に電話するといろいろ心配されて体のことなどを言われるのがかえってプレッシャーになることから、連絡するのも億劫になっていた。
 結局、4ヵ月後に無事システムを納入することができ、徹夜の日々から開放された。その後システムは安定して稼動したので、Aさんの場合は幸運なほうだったのかも知れない。
 IT関係者の話では、このような状況が半年以上続くことも珍しくなく、納入後も安定稼動まで毎晩不具合データのリカバリー作業に追われる日々を送るのがお決まりのパターンということである。また、一つのプロジェクトが終わっても、すぐ次のプロジェクトが待っており勤務状況はいつまでたっても変わらないという。


全文を読むには下記の<続き・・・>をクリックしてご覧下さい。


<過密労働>

 「資料1」は大手IT企業の開発リーダーBさんの就業状況である。IT関連プロジェクトの本稼動を1ヵ月後に控えた状況である。休日は2ヵ月で1日しかなく、連日深夜残業と徹夜の連続である。
 本人いわく、「生きていられることが一番ありがたい」と感想を漏らしている。なんともむなしい言葉である。
 Bさんは裁量労働制勤務であり、就業時間の管理は自分で行うということになっている。しかし、それが逆にBさんの労働時間に歯止めがかからなくなっているという。本人は責任感から体力の限界以上に仕事をこなしているが、それを誰もチェックする体制がなく際限なく働き続けてしまうのである。
 従業員にやる気を出させ、多様な働き方に対応するという名目で裁量労働制が成果主義とセットで導入されたが、実際には労働時間の増大に歯止めがかけられにくくなっているのが現実である。





<24時間追い立てられる>

 大手コンピュータメーカーのCさんは耳を疑った。朝礼で上司より通達があり、家では個人の携帯はいつも枕元におき必ずマナーモードを解除しておくようにという内容である。
 Cさんは、「これって、仕事の待機を24時間365日おこなえということか?」と感じた。「労働協約上許されるのだろうか?」とも感じたが、社内では通達の内容に反論できない雰囲気であり、Cさんも何もいえなかったという。
 Cさんは、平日・休日にかかわらず就寝中の午前4時・5時に携帯で呼び出されることがよくある。Cさんはいう。
 「今はコンピュータで世の中が動いているようなものなので、トラブルがあればすぐに対応しなければ大変なことになる。だから突発の呼び出しは仕方ないが、会社としてそのような危機管理の体制をきっちり作るべきだ。個人に24時間365日待機を強制するようなやり方ではいつか過労で体を崩してしまうのではないかと不安で仕方がない。」


<増え続ける過労死、過労自殺>

 2006年7月12日厚木労働基準監督署(神奈川県)が、2002年に独身寮の自室で命を絶ったIT企業大手富士通の社員(当時28歳)が自殺したのは、過労が原因として労災を認定したことが明らかになった。家族が提出した労災申請について、いちどは申請を棄却した厚木労働基準監督署が、あらためて労災と認定したことはマスコミでも大きく取り上げられた(「資料2」)。
 この社員は大学院を卒業して2000年に富士通に入社し、SE(システムエンジニア)として医療システムを担当していた。連日の深夜残業で、明らかになっているだけでも直前1ヵ月の残業は159時間とされている。
 報道によると、「ただただ忙しいだけ。肉体的にも精神的にもくたくた」と記したメールを知人に送っていたそうである。
 同業者に話を聞くと、この残業時間は会社の決めた就業規則の時間帯によって計算されているもので、実際には残業時間の数字に現れない休息時間帯などの拘束時間帯がかなりあるはずという。もちろん、その時間帯も仕事をこなしているというのが現実である。またこれくらいの残業時間では驚く人がいないような職場環境に置かれており、ある意味恐ろしい職場環境にいたともいえると漏らしていた。さらには、今回の件について企業内労組が本気で調査しなかったことにも首をかしげていた。
 最近、過労死や過労自殺がマスコミでもとりあげられることが多くなったが、現場の取材を通して感じることは、それらは氷山の1角にしか過ぎないということである。
 労災認定を受けた全国の過労死は2005年度で157件(申請336件)、未遂を含む過労自殺は42件(同147件)で、申請数はそれぞれ過去最多を記録している。しかしデータに現れない過労死・過労自殺の予備軍は身近にたくさん存在するのである。





<リストラはつづく>

 ある大手ソフト開発企業では、業績の出せない従業員を集め、「再教育」と称して一室に隔離し慣れない課題を与え、自分より年下の後輩に採点させ評価させる。
 毎週、人事部長と面接があり、その週の成績についていやみを言われ、あげくの果てには、退職を暗に迫る。組合との関係もあり、あくまでも自主退職という形をとりたいためだ。
 だいたいの人は2ヵ月もすると嫌気がさしてやめていくが、それでも退職しないとアルバイトがおこなっていた雑用係に職種変更させられ、今までの仕事とは程遠い業務を与えられる。給与も大幅に減額されるが、あくまでも自分の意思ということで不利益変更ではないという形式にしておこなわれる。
 それを経験した人は「こんなことされて、本当に自分はだめな人間なのではないかと思うようになった。ここまでされて会社に残る気がなくなった」という。またある人は「エンジニアから総務の雑用係にされ、人生の時間を無駄使いしているようで働く気力もなくなる」と話していた。
 この会社は、成果主義を導入したころから、従業員に短期間で成果を出すことを求めており、半期毎の成績でしか従業員の能力を判断できない状況になっているという。


<差し迫る財界のわな>

 日本経団連が旗振り役になり財界はホワイトカラー・エクゼンプション(「自律的労働時間制度」)の導入を画策している。
 現在の裁量労働制は、一定の労働時間規制や管理を企業責任としている。しかし、ホワイトカラー・エクゼンプションは週40時間の労働時間規制はなく、残業代なども支払われない。忙しい時は24時間連続して働いても合法となる。完全に労働者個人の裁量という名目で際限ない労働を強いることができる。IT産業の労働者はまさに格好のターゲットである。今でもぎりぎりの労働を強いられているにもかかわらずさらに労働強化を迫る内容でもある。
 導入の結果どのような事態を引き起こすかは火を見るより明らかである。過労死・過労自殺の急激な増加。心身ともに疲れ果て精神に異常をきたした労働者の波。家族、地域とのつながりを破壊され人間としての生活をなくした孤独な労働者たち。

 私たちは、実際の労働現場の実態を真摯に受け止め、このような財界の策動にはっきり「ノー」を突きつけなければならないのではないか。
 そして大手企業でも労働者は常に過酷な労働を強いられており、今後ますます状況は厳しくなっていくであろう。これらに対応できる抜本的な対策を大手企業の労働組合が本気になって取り組まなければ、労働者の未来に明るい希望を与えることはできないのではなかろうか。

 最終回は、中小零細の実情に迫る!


――――――――――――――――――
IT産業の光と影(3回シリーズ)
第一回 華やかな表舞台の裏側はどうなの?
第二回 大手IT企業の過酷な現場
最終回 中小零細企業の実態






 

 『労働通信』は、現代の労働者が直面する問題や日本と世界の労働運動について隔月刊で編集、発行している雑誌です。

 編集委員は全員が職場ではたらき運動に参加している労働者です。また、全国の職場で奮闘している活動家のみなさんからの投稿にささえられて発行しています。

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