メインメニュー
このサイトについて
話題のテーマ
出版物紹介
アクセスカウンタ
11634182

5943 :昨日
8463 :本日
会員専用ページ・ログイン
ユーザ名:

パスワード:


パスワード紛失

新規登録
Page (1) 2 »
理論問題 文化・歴史 : 我々の日露戦争史観を打ちたてよう
投稿者: rodo-info 投稿日時: 2004-11-20 1:38:00 (5957 ヒット)


―日本海海戦・日露戦争一〇〇周年記念行事をうちやぶるために―

「労働通信」2004年7月号・9月号


 来年の二〇〇五年は、日露戦争・日本海海戦一〇〇周年にあたる。今年三月に、記念艦「三笠」において「日本海海戦一〇〇周年記念大会」の実行委員会が設立され、各種記念行事などをつうじ約一年間にわたって顕彰運動をおこそうとしている。

 この会の名誉会長は中曽根康弘、会長は三菱重工社長の増田信行であり、役員には日本経団連名誉会長・今井敬、日本商工会議所会頭・山口信夫、阪急電鉄会長など財界の大御所、新旧「海軍」軍港ゆかりの横須賀市長、同商工会議所会頭、元海上幕僚長、元防衛事務次官など自衛隊関係者、東郷会の会長、三笠保存会の会長などが顔をそろえている。これは、明らかに日本独占資本のキャンペーン・思想宣伝であることはまちがいない。

 すでに、日露戦争当時の参謀長であった児玉源太郎の出身地である山口県徳山市では、各種の記念行事がはじめられている。

日露戦争の今日的復権企む


 この会の目的については、こううたっている。

 「各種記念行事をつうじ、日本海海戦の歴史的意義などをできる限りおおくの人人に再認識していただくべく活動」するとし、つづけて「当時の帝政ロシアは、シベリア、沿海州、樺太をつぎつぎに占領し、さらに南下して、満州・遼東半島に軍をすすめ、朝鮮半島にも手をのばし、わが国にたいしても露骨な干渉をおこない、強大な軍事的圧力をかけてきました。日本海海戦は、このような情勢のなかで東郷司令官がひきいるわが連合艦隊が日本の存亡をかけて、ロシア帝国バルチック艦隊を対馬沖に迎撃し、海戦史上例をみない圧倒的勝利をあげ、国家の独立と安全をまっとうし、もって国威を内外に宣揚して国際的地位を高からしめ、今日にいたる繁栄の基礎を築いた戦い」であり、さらに「当時、列強の植民地となり蹂躙(じゅうりん)、抑圧されていたアジアの諸国にたいしても限りない希望をあたえ、独立の気運を高めさせた戦いでもありました」と述べている。

 そして「わが国は、第二次世界大戦において敗戦の苦渋をなめ、自国の歴史、とに明治以後の歴史についてただしく教えることを避け、今やこの世界的にも有名な日本海海戦の史実すら忘れさせられようとしていることは真に遺憾」と慨嘆(がいたん)し、「明治の先人たちの気概と愛国心、知恵と志に学び、自信と誇りを回復し、混迷をつづける現状を打開して活力のある国づくり」をはかるとしている。さらに「あわせて、この海戦における日露両国の戦没者を慰霊し、信頼と友好を促進することを目的」にするなどと、一文をもつけくわえている。また、元駐米大使の栗山尚一をこの会の役員にくわえ、これが現在のロシアに反対する行事でないことや、親米的行事であることを表明するなどと今日的よそおいをほどこしている。

 彼らの歴史観の非科学性は、当時の帝国主義諸国間の矛盾ばかりを、なかでも帝政ロシアとの対立を誇張し、当時すでに人類史の発展に決定的な役割を果たしていた「資本主義国内における支配階級とプロレタリアート・勤労人民との矛盾」、「帝国主義・資本主義列強と被抑圧民族との矛盾」にたいして、自己の狭い利害から目をつぶってその存在を否定したり、あるいはそれをねじまげたりして、ありもしなかった歴史を捏造(ねつぞう)しているところにある。

 彼らの反動的で非科学的な日本海海戦史をうちやぶるためには、われわれプロレタリアートと人民の、社会の圧倒的多数の立場にたつ公正な、存在するすべての矛盾から出発して、そこにつらぬく必然的な歴史の歩みを明らかにする日露戦争史観、ひいては日本近代史を対置していかねばならない。この一文がその一助になれば幸いである。

前哨戦となった日清戦争


 ご承知のように、明治維新でようやく近代資本主義国に仲間入りした日本であるが、半封建的土地制度を残存させた後進性ゆえに、人口の七割を占めていた農民は、旧来の封建的搾取にくわえて資本主義的な収奪にさらされ極端に貧乏で商品の購買能力はきわめて小さかった。それは、絶対主義天皇制の育成のもとで、急速に発展する特権大ブルジョアジーの国内市場をきわめて狭隘なものにした。はやくも一八九〇(明治二三)年五月には、日本の半封建的な資本主義は、最初の経済恐慌にみまわれる。くわえて大凶作がかさなり、都市や農村のいたるところで窮民・餓死者がでて、富山市民をはじめ全国で米騒動が頻発し、佐渡の鉱山町では鉱夫や市民多数が蜂起したが、軍隊一個中隊の出動によって鎮圧されている。

 日本の支配階級は、激化する国内矛盾のはけ口を地理的に断然優位にあるアジア諸民族に市場をひろめ、その資源をうばいとる海外侵略にもとめる以外にはなかったのである。日本社会は、明治維新で外国の侵略的支配をうちやぶり、独立した半封建的資本主義国に生まれ変わった。しかし、この日本はわずか二十数年で、そのみじかい歴史的発展を終息させ、自国のプロレタリアートと人民を抑圧するばかりか、朝鮮民族を侵略するという帝国主義的、歴史的反動勢力に転化していったのである。

 天皇をいただく日本支配階級は当時、清国の支配下にあった朝鮮半島への侵略的野心をつのらせていた。しかし、当時の極東は、欧米列強の支配のもとにあり、朝鮮を支配していた清国もフランスをはじめとした列強の半植民地状態にあり、他方のロシアはシベリア鉄道の建設によって極東への侵略に精力的に拍車をかけていた。このロシアの新たな極東への進出は、それまで極東の交通網を独占していたイギリス帝国主義との対立を激化させた。日本は、この対立を利用してイギリスに接近し、一八九四年七月一六日に日英改正条約をむすんだ。これは、イギリスが日本をロシアによる極東進出の防波堤にしようとしていることにつけいり、これまでの不平等条約から平等な国際条約に改正するためでもあった。しかし、日本の主なねらいは、フランスなどを背後にしている清国と交戦して、朝鮮半島の利権を手にいれるためであり、同時に朝鮮侵略をねらっていたロシアの軍隊に対抗していくためであった。

 当時の日本の資本主義は、製糸産業などの軽工業が主体で武器の生産に不可欠な重工業はもたず、近代的な軍艦をもつロシアに対抗するには、是が非でも産業の発達したイギリスやアメリカ、イタリアから借款をとりつけ、近代的な艦船を輸入しなければならなかった。日清戦争や日露戦争(日本海海戦)に参加したほとんどの艦船は、当時ロシア、ドイツ、フランスと対立していたイギリス、アメリカ、イタリアなどの帝国主義国からの輸入品であったのである。

 一八九四(明治二七)年七月二五日、日英改正条約成立のわずか九日後、日本艦隊は豊島沖の清国艦隊を奇襲し、八月一日に清国への宣戦布告をおこなった。その口実は、つぎのようなものであった。当時、朝鮮半島においては、清国に屈服している封建支配階級に反対して、大規模な農民の反乱・東学党の蜂起がおこっていた。危機にひんした朝鮮の支配階級が反乱鎮圧のために清国に軍隊の出動を要請した。日本の支配階級は、好機到来とばかり、「朝鮮の独立をおかそうとする清国に反対する」という口実によって、即座に朝鮮出兵をくりひろげたのである。その年の八月、日本政府がさだめた朝鮮政策では、「朝鮮を名義上独立国と公認するも、帝国より間接に直接に永遠もしくは、ある長時間その独立を保翼扶持(ほよくふじ)し、他のあなどりをふせぐの労をとること」にあると、ずるかしこく名目上は独立をみとめながら、実質上は武力で朝鮮を支配していく意図を露骨に述べている。その後、日本軍は東学党の農民軍が日本の植民地化に反対して再蜂起したときには、朝鮮の反動政府軍と連合し、三〇万から四〇万人もの農民を虐殺するという無慈悲な弾圧をおこない、その正体を剥き出しにした。はじめは独立を支持するためと人人をだまし、その実は侵略していくというこの手口は、先行の欧米帝国主義諸国から植民地をうばいとっていくという、後進の日本帝国主義の常套手段となっていくのである。

 日本軍は、封建国家ゆえに分散状況にあった清国の軍隊を七カ月でうちやぶり、翌一八九五(明治二八)年、下関において日清講和条約がむすばれる。これによって日本は、清国の支配を朝鮮からしりぞけ、実質、朝鮮を自国の市場および資源の略奪の基地にするのである。さらに、日本は清国から遼東半島、台湾・膨湖列島の支配権をうばいとり、さらに費やした戦費二億二五〇〇万円をはるかに超える約三億円の賠償金などを手にいれたのである。

 しかし、日本が日清戦争で遼東半島までうばいとったことに反発したロシアは、極東でイギリスと対立関係にあるフランス、ドイツとともに連合して遼東半島を清国にかえすよう要求する。当時の日本では、この「三国干渉」に歯向かう力もなく要求をのまざるを得なかった。しかし、これはロシアとの戦いをあきらめたことではなく、時間かせぎであった。明治天皇は、伊藤首相に「半島をとることは急速にもおよぶまい。このたびの戦争にて地理も人情もわかっておるから、とおからず朝鮮よりかまた何処かより、再戦の時がくるであろう。そのときにとってもよろしかろう」(佐々木高行『明治天皇と臣高行』)と語ったという。日清戦争は、日露戦争の前哨戦であったのである。以後、日本支配階級は、「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」、「殖産興業」、「富国強兵」のスローガンで国民を対ロシア戦争・日露戦争の準備に総動員していくのである。一九〇一年には、八幡製鉄を創立するなど戦争遂行のために不可欠な産業の重工業化に拍車がかけられ、鉄道と海運の急速な発展がはかられていった。

日露戦争・日本海海戦で帝国主義列強にのしあがる


 日本の支配階級が対露戦争の準備に邁進していく一方で、帝国主義列強は清国・中国の分割支配に血道をあげていた。



 帝政ロシアは、清国と軍事同盟(一八九六年)をむすび、東清鉄道の敷設権を手にいれ、翌翌年には遼東半島の旅順・大連地区を租借し、さらに南満州鉄道の敷設権を手にいれ、満州への侵略をひろげていった。フランスは、安南鉄道の清国内への延長権を手にいれ、一八九八年には広州湾を租借した。ドイツは同年に膠州湾を租借した。イギリスも同年に九竜半島、威海衛を租借し、清国内の鉱山採掘権と鉄道敷設権をうばいとった。アメリカもフィリピンをうばったあと、粤漢(えつかん)鉄道敷設権をうばい清国への侵略にのりだしていった。まさに、血に飢えた狼がむらがり広大な中国という獲物におそいかかっていくようであった。


 中国人民の苦しみは、言語に絶していった。一九〇〇(明治三三)年、中国人民の侵略に反対する義和団の反乱が山東省から中国全土へ燎原の火のように燃えひろがっていった。侵略のための鉄道や道路を破壊し、華北の人民は民族の独立をもとめ、北京の各国公使館地区を包囲した。ロシア、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、オーストリア、イタリアの各国列強は、連合軍をつくり、決起した中国人民におそいかかった。

 義和団の乱は日本に直接むけられたものではないにもかかわらず、中国大陸の分割競争にはりこむ機会を虎視眈眈(こしたんたん)とねらっていた日本の支配階級は、積極的にこの連合軍への参加をもとめていった。列強各国は、分けまえがすくなくなることを警戒して当初反対であったが、イギリス、アメリカが賛成にまわった。当時、イギリスは、南アフリカをオランダ植民者からうばいとるブーア戦争(一八九九年から一九〇一年)に手をとられており、アメリカは一八九九年にスペインからフィリピンをうばいとったものの、燃えあがるフィリピンの民族解放闘争を弾圧するために手をとられ、これ以上軍隊を中国に送れなかったという事情があったのである。そこで、イギリスとアメリカは、借款や貿易などで日本を従属させて、日本軍に「東洋の憲兵」の役割を担わせようと連合軍への参加を認めたのである。

 一九〇〇年八月、一万二〇〇〇人の日本軍を主力とした三万二〇〇〇人の連合軍は、北京を占領し巨額の賠償金と以後北京に軍隊を駐留させる権利を認めさせ、各国列強は中国をいっそう深く従属させていった。こうして日本は、「軍事勢力の独占」、「中国を略奪する地理的便宜の独占」(レーニン)という、特殊性をもった新手の帝国主義国としてのしあがっていくのである。

 だが、日本軍が勢いにまかせて台湾の対岸に位置する厦門(アモイ)を占領するやいなや、たちまちその野心を見抜いたイギリスの抗議で撤退をする羽目に追いこまれた。そのころの日本は、イギリスやアメリカに経済的に従属させられた後進の半封建的資本主義であったために、この抗議にはしたがうほかはなかったのである。

 日本帝国主義は、このような条件のもとで他の帝国主義国諸国間の対立、矛盾を利用してのしあがる道をみつけなければならなかった。イギリスと組んでロシアと戦うか、ロシアと協商条約をむすんでイギリスと戦うか、支配階級内部で論争がおきるが結局、山県有朋や三菱財閥の婿である加藤高明外相らが主張する日英同盟の方向でかたまり、一九〇二年、日英同盟がむすばれるのである。これで日露の開戦は決定的となっていった。相手のロシアは、義和団の乱鎮圧後も大軍を満州においたままで日本との決戦にそなえていた。日本国内では、「満州問題の解決なくして商工業の発展なし」という、大財閥、大地主の要求は日増しに高まり、ロシアとの戦争は彼らにとっては死活の問題であった。一九〇四(明治三七)年二月、日本の艦隊は、仁川港と旅順港のロシア艦隊に奇襲攻撃をかけ、日露戦争は勃発する。

 このように歴史的事実を見てくると、中曽根らが言うところの、日露戦争・日本海海戦は、ロシアが「わが国にたいしても露骨な干渉をおこない、強大な軍事的圧力をかけてきた」ためにとか、「国家の独立と安全をまっとう」するための戦いであるとか、「アジア諸国に」、「独立の気運を高めさせた」という主張がいかに非科学的で、でたらめなものであるかわかるだろう。さらに、彼らの日露戦争史にある最大の犯罪性は、この日露戦争の過程でプロレタリアート、労農勤労人民のたたかいが質的に飛躍していった事実を抹殺していることにある。
(つづく)

Page (1) 2 »
印刷用ページ このニュースを友達に送る
検索
テーマ別の記事(選択してください)
テーマ別の最新記事
[ HOME ] [ NEWS ] [ BBS ] [ DOWNLOAD ] [ LINK ] [ FAQ ]