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職場からのたたかい : 企業倒産の危機といかにたたかうか
投稿者: rodo-info 投稿日時: 2004-11-27 13:37:05 (1470 ヒット)



「労働通信」2004年5月号

 九州地方のある中小運送会社の労働組合が、企業倒産の危機のなかで、労働者だけに犠牲をおしつけるリストラ攻撃に反対するとともに、小泉「構造改革」のもとでの規制緩和や「貸しはがし」などの攻撃とたたかって企業を再建し、労働者の雇用をまもる取り組みを追求している。

 この労働組合の川田謙委員長に、この間の取り組みと中小企業労組の政策・方針について投稿していただいた。
(つづく→)

 会社は、昨年の一二月にリストラのための賃下げをふくむ「合理化」計画――賃下げ二〇%、長距離の運転手当など各種手当の廃止――を労働組合に提示し、年末手当ゼロをおしつけてきた。資本の攻撃は、そのままではとどまらない。いままた新たに組合員九人の指名解雇をふくむリストラ「合理化」をうちだしてきた。労働組合はこの指名解雇を会社側と交渉して撤回させたが、それだけで会社がリストラ攻撃をやめたわけではない。

 会社は今「春闘」で、三〇%の賃金切り下げの提案をしてきている。会社は、昨年の年末一時金の労使交渉過程で再度、その場しのぎの基本給きりさげ提案をするなど、ことここにいたっても抜本的な再建と体質改善の方針をしめさない。会社が倒産危機に直面しているにもかかわらず、再建の方針も、四、五年先を見こした経営方針も明確にできない現状は異常としかいいようがない。会社のこうした態度は、きわめて無責任であるといわざるを得ない。

 経営改善政策を明確にするためには、荷主、物流の状況に分析・検討をくわえ、経営上どこに力を入れていくのか、どこを縮小、撤退していくのかなどの方針を、一般的にではなく具体的にしていかなければならない。たとえば、九州電力をはじめとする現在の主要荷主三社にかわる、比較的安定した荷主などの開拓がもとめられている。新規事業などの案もふくめ、労働組合をはじめ従業員にも積極的に意見をもとめるべきである。

再起できないほどの危機に直面している会社


 会社は、倒産しかねない状態におかれている。この会社は、資本金わずか二〇〇〇万円で年間の売上額が七億五〇〇〇万円という小規模な企業である。これまでささやかであったが運送業として、農協関連の仕事と引越のための運送を主体として会社経営をいとなんできた。

 農業団体である県の経済連など農協関連の仕事というのは、豚、牛、鶏の飼料の運送である。市況の停滞・低迷と、規制緩和による仕事のうばいあいによって、請負価格の破壊がここ数年来すさまじい勢いですすんだ。引越部門の価格の破壊や請負価格の下落によって、この三年間でおよそ二〇%も収益がさがり、固定荷主からの運賃きりさげがあいついで会社は経営危機に追いこまれていった。

 零細な運送会社が経営を維持しつづけることは困難をともなうことである。運送業のほとんどは、運送事業の末端に配置され、下請け業者という位置におかれている。下請け企業である会社は今回、経済連から年間二三〇〇万円も運賃の値下げをおしつけてきた。

 それにくわえて、政府によるデフレ政策と景気の低迷によって製品の輸送が急激に減少しており、なかでも電力会社からの受注が減り、酒、ビールや自転車などの製品の輸送量も四割も減ったことは、会社にとっては直接運賃の収益減となっており、経営面で大打撃になっている。また最近、ある荷主から冷凍車九台分の減車を通告されている。

 こうした荷主による受注の減少や運賃の値下げは、大幅な仕事量の減少となっている。さらに、これまで会社は、銀行から各営業所の土地を担保に約二億四〇〇〇万円の根抵当権を設定している。しかし、この土地の価格は、バブルの崩壊によって半値以下にさがっている。銀行は、不良債権の処理を強行し、会社の借入れを半分以下までに回収しようとしており、会社は借金を毎月七五〇万円も銀行に返済しなくてはならないようになっているという。会社における資金運用の現状は、きわめて困難な局面にあり、すでに有価証券などによる内部留保金をはきだしており、協同組合(複数の運送会社で組織する協同地域組合)やその他なんらかの保証がなければ銀行からの借入れができない状況におかれている。

 この会社経営の危機には、今日の政治経済情勢がその背景にある。そのおもなものは、独占・大企業と小泉政権による経済政策、「構造改革」によるものである。

 すでにあきらかなように、これらの政策とその柱は、不良債権処理にもとづく銀行の「貸しはがし」があり、物流二法の立法による規制緩和(大企業による仕事の争奪)によるものである。この小泉政権の政策は、独占・大企業が市場を拡大し生きのこるために、その攻撃の矛先を中小・零細企業にむけ、整理・再編しようとしているところにある。会社経営の危機の原因は、社長と経営陣の無能力さだけにあるわけではなく、その責任がすべて会社にあると見るわけにはいかない。

会社幹部の体質も危機要因の一つ


 この会社の実質的な経営は、社長が指導責任を回避し、幹部従業員にまかせきりとなっている。それには、この会社の設立の由来とその歴史性がかかわっている。

 社長は、先代の社長が築きあげた遺産と信用を食いつぶしてきた典型的な二代目社長である。現在は県の協会会長、経友会会長に就任していることもあって、自分の顔を対外的に売りだすことを主な仕事としており、それ以外は遊んで暮らしているという始末である。この社長は、自己の責任が問われることについては、それを回避するという代表取締役としての指導性のない人であり、経営者としての致命的な弱点となっている。

 たとえば、最近トラック九台分の仕事を他の会社から突然にとられてしまうということをやっている。これまで日本経済の成長期には、じっとしていても仕事があったが、今日のような経済の構造的危機には仕事が激減している。社長がこの日本における政治と経済生活の変化に気づかず、経営努力をせずにいぜんとして放蕩三昧の暮らしをしてきたことも経営危機の一つの要因でもある。

 ある組合員は、「かりに社長であっても、零細企業ではたった一人の『ただ飯食い』を養っていく余裕はないはずだ。こうした状況であれば、企業と従業員がどれだけの負担を強いられることになるのかを理解できない人だ。K専務がいた時代のことだが、K専務はイエスマンといわれていたが、社長はその専務にうまく乗せられているのではないかと思っていた。しかし、専務が退職したあとの社長を見てはっきりしたが、社長はもともと社長としての自覚と責任、その能力がまったくないということだ」と語っている。

労働組合はリストラ「合理化」とどうたたかうか


 いま、労働組合は、会社の危機にどう対処すべきかが問われている。この点でとくに重要なことは、労働組合と組合員が労働者としての自覚をもって、組合員の真の団結と組織機能の改善にむけて奮闘することである。労働者は、生産活動ではすべての労働の中心をにない、生産の主な担い手でもある。本来、労働者は他人のことに心をくばり、きわめて誠実で、規則ただしく、規律を遵守して生産を自らが管理してはたらくという性質をもっている。労働組合は、この性格にてらして企業再建のために奮闘しなければならない。

 そのために仕事・作業の現状を分析し問題点をあきらかにし、その改善をはかることは大切なことである。

 現状についていえば、まず、運送会社の基本となる運行管理ができていないという問題がある。出庫と帰庫の自主申告制となっているが、これは会社組織の問題としておこなわれなくてはならない。それは、会社組織として作業内容が検証され、作業上の問題をはっきりさせて解決・処理することができるからである。もし、不採算が生じるような事態になれば、ただちにその対策が講じられるようになるからである。また、荷おろしが終了した時点での配車担当者への連絡、帰庫報告と新たな作業指示を受けることも実施されていない。一部の者は、故意に無視した行動をとったりしている。これと関連しているが、配車に不満があるとして、配車指示にしたがわないということもやっている。こうしたことは、業務命令の拒否にあたるので好ましくない。

 もし、会社の仕事のやり方にたいする不満・要求や労働者の権利の侵害があった場合、労働組合に意見をあげて組織的討議をして要求にもとづいて会社と交渉し、たたかうようにしなければならない。それは、たとえ一組合員の意見や要求であっても、それを全組合員の要求にしてたたかうのが労働組合である。個個人がおこなうのは労働争議にはならない。かりに、一握りの集団がそうしたことをすれば、それは会社ではたらく労働者全体の利益をそこね、労働組合を私物化していくことになりかねないし、組合の組織的機能と組合員の団結が破壊されてしまうことになる。組合の組織的な機能を破壊し、自己の要求とその利益だけを優先させ、強引に「自分の田に水を注ぐ」というやり方をとおせば、組合員のあいだで差別がますます拡大することになるであろう。

 労働組合は、すべての差別に反対し、できるかぎり平等な環境をつくりだすためにたたかう組織でなければならないし、まじめに仕事をするものが損をするという職場を改善するために奮闘する組織でなければならない。たとえば、代休の問題があるが荷主は、休日労働にたいして別に手当分として運賃をうわのせはしない。ある営業所の組合員は、代休の実施に積極的に協力しているが、他のところでは代休を実施していない。自己の利益や取り分だけしか考えないグループによって、代休の実施が阻止されて、全体の利益がそこなわれている。このことは、組合員の意識が対立し、労働組合の内部に分裂状態をつくりだしていることをしめしている。これらのことを考えにいれて、労働組合は差別をなくすために努力することは重要となる。

労働組合と会社組織の違いを明確に


 このような問題を解決していくための今一つのことは、職制機構を充実するという問題がある。それができる人員配置を会社に要求しなければならない。営業所長がまじめにその責任をはたすことのできるもの、またこれらのことをりっぱに補佐できる配車担当者と班長グループを配置することである。

 そのためには、これまであった会社組織と組合組織の混同をあらためることである。たしかに、班長組織は、会社の職制機構の一つである。ある班長は、一般従業員の不満を聞いてやることが職務と錯覚している状況がある。それは、労働組合の仕事である。班長が労働組合員であっても職務上の立場と、組合員の立場を混同すると班長組織が混乱し、組合組織も混乱する。両組織のそれぞれことなる任務と役割、つまりその組織としての機能をもっている。この組織的原則をまもらなければ、正規の班長組織、労組の執行部以外にそれぞれの指示をだす組織が存在することとなる。それは、あるときには会社幹部の追放運動までも組織したりするところまでいきつく。労働組合は、会社側に班長組織の役割、任務を明確にしめすように要求し、班長の選出にあたってはその能力、人格が考慮されるように要求していかなければならない。

 また、今一つの重要問題は、現場部門と事務所の対立と矛盾がただしく解決されないままになっていることである。この問題は、運転手、現場が事務所を敵対視するかのような状態がながく続いてきたことである。事務所の構成を見てみると、現場からひきあげられて配置されたものは一人もいない。現場の経験者でなければ、作業の内容など理解することが部分的にはできても、すべてを理解することは不可能である。この問題を解決するためには、現場部門から事務所要員を登用する以外にはない。こういうことも、現場部門と事務所との関係がこじれる要因の一つになっている。その根底には、「事務所がおおすぎるから利益がでない」といって、自分の利益の減ることへの不満がある。

 会社・企業は、運転手だけではなりたたない。営業関係や社員の給料、他の会社との関係業務など共通業務を担当する社員がいなければ、企業経営がなりたたない。運転手と事務職員が団結して仕事をしていけば、その企業の経営とその運営は円滑にすすめることができる。もし、事務所の作業を円滑にすすめるための意見があれば、その解決は会社をつうじて改善すればよいことであって「敵対」することではない。現場部門は、事務所にあがって会社全体の利益に奉仕するために事務所の改善のために協力しなければならない。

中小企業労働組合のたたかいの方向


 今回、会社は人員整理をうちだした。労働組合は、首切り、人員整理にたいして一人の犠牲者もださないという基本的態度でのぞんでいる。いくつか述べてきたが、ここでは労働組合がどうあるべきかについてはっきりさせたい。

 日本の政治、経済が急激に変化している情勢のもとで、中小・零細企業の労働組合はいかにたたかうべきかが問われている。中小・零細企業では、労働者も利益あげるために労働しなければならず、それを前提にして権利、労働条件、賃金のためのたたかいを展開していかざるをえない。そして、企業の体質改善をはかりつつ、政府・独占資本による中小企業のなぎたおしや農業破壊に反対していかなければならない。倒産寸前の現状にあるわれわれの会社の状況からもわかるように、中小・零細企業は独占・大企業のコスト低減攻撃をもろにうけている。

 中小企業では、経営危機の主たる原因とその責任がすべて会社にあるということにはならない。すでにあきらかにしてきたように、直接的要因が銀行の「貸しはがし」や荷主の運賃の値下げであることからもあきらかである。すべて、会社の責任という立場にたつのではなく、労使双方が経営改善のために努力すること、そのための改善策を労働組合が提案していくという態度をとること、などがきわめて重要である。もしそうでなく、あくまでも非協力的な立場をとるということだけすれば、倒産にいたるか、さもなければ会社側から一方的なリストラや賃金など労働条件の一方的な不利益変更をおしつけられることになるであろう。中小・零細企業は、コスト低減攻撃に耐えて、競争に勝ちぬかないかぎり独占大企業につぶされる運命にさらされている。したがって、中小企業の労働組合は、企業経営の効率的運営と利益の向上についての要求とそのための提言をおこなうために奮闘することが重要になってくる。

 われわれが目先の利益、ある少数の人人の一時的な利益に目をうばわれ、そのための要求にきゅうきゅうとして全体的、長期的な利益を失ってはならない。もし、労働組合が、せまい利益と要求、その立場から問題をとらえてたたかうという性質のものになれば、会社のすることにすべて反対というグループによって運営されるものとなってしまう。そうしたことになれば、組合員のなかに分断が固定化され、会社につけいるすきを与えることになりかねない。

 大事なことは、労働組合を組合員の要求を政策にしてたたかうことができるものにすることである。

 ある中小労組の倒産対策専門の担当者が、自分自身の経験をとおして「倒産する企業の事例」として、つぎの六点をあきらかにした。

 |羇方針がない。三年〜五年の短期ビジョンもない。何を目標にするのかがわからない。
 ⊆匏院⊆卆Г変えられていない。これは時代のうつりかわりによって変えられなければおかしい。
 ワンマン社長とイエスマン幹部という会社の幹部体制。
 げ餤弔鬚靴討盞誅世でない。また、だされた結論について責任を持つものがいない。
 チ反イ硬直している。
 情報が公開されない。

 これらの点をふまえて、会社にたいする要求をまとめてたたかう決意である。

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