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労働戦線情勢 : 情勢と今年の課題を考える
投稿者: rodo-info 投稿日時: 2004-12-31 23:48:41 (1773 ヒット)




「労働通信」2005年1月号巻頭記事より

 新年、あけましておめでとうございます。

 新しい年をむかえるにあたり、読者のみなさんとともに、2004年の情勢とそのもとでの活動をふりかえり、今年の課題を考えてみたいと思います。

ブッシュ2期目のアメリカはどうなるか?


 2004年の情勢でどうしてもとりあげなければならないのは、アメリカ大統領選挙でブッシュが再選されたことです。

 世界中の人人が危惧しているように、2期目のブッシュ政権は、アメリカの軍産複合体や石油独占、キリスト教右派などを基盤とした「ネオコン」勢力が勢いを増し、イラクのファルージャへの攻撃をはじめ、いっそう強硬な戦争政策を遂行する可能性があります。しかし、その思惑とは裏腹に、ブッシュ政権が強硬策をすすめれば、すすめるほど、泥沼にはまり、政策転換をはかるか、あるいはいっそうの破滅の危機におちいるか、どちらかにならざるをえません。

 その理由の第1は、アメリカが軍隊をおくりこんで占領、支配しているイラクなどの民衆の頑強な抵抗闘争がますます高まっていることです。過去の歴史をみても、他国を侵略し、その国の人人を何百、何千と殺戮するような支配が長続きしたためしはありません。

 第2は、アメリカ国内の問題です。さきの大統領選でブッシュはかろうじて勝利したものの、選挙期間中はイラク戦争の是非が最大の論争テーマとなり、世論は真っ2つに分断されました。さらに、たびかさなる戦費の拡大により、アメリカの04会計年度の財政赤字は4000億ドル、03年の貿易赤字は5000億ドルと「双子の赤字」が拡大するばかりで、アメリカ経済全体を失速させかねません。

 第3は、アメリカの単独行動主義にたいして、フランスやドイツなどの同盟国からも反発が強まり、当初イラク派兵の「有志軍」にくわわった国のなかでも、スペインやフィリピン、コスタリカをはじめ国民の反対世論におされて撤兵する動きがつよまっていることです。他方で、中国やロシアなどはアメリカの一極集中に反対して独自のうごきをつよめています。とくにアジアにおいては、中国が経済的、政治的に成長し、ASEAN諸国とも連携してアジアのあらたな共同体をつくろうという動きもうまれています。

 こうした動きは、ソ連崩壊後にうまれたアメリカによる「一極支配」がくずれ、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中国.アジアなどによる世界の「多極化」がすすみつつあることをしめしています。

 第4は、アメリカの戦争やグローバル化に反対する世界の民衆のたたかいがつよまっていることです。ブラジルのポルト.アレグレ、インドのムンバイなどで開催された世界社会フォーラムは、国境の違いやこれまでの政治的潮流の違いをのりこえて、今日の「グローバル化」に反対し、これとはちがう「もう1つの世界」の展望を議論する場となっています。こうした世界の労働者、民衆の運動こそが、各国の政府を動かし、アメリカ「一極支配」を突き崩す決定的な力だといえます。





アメリカの道連れで泥沼へ


 国内に目をやれば、小泉政府のイラク戦争や構造改革が争点となっています。
 小泉内閣は、泥沼化するイラクへの自衛隊派遣を延長することを決定し、さらに新たな防衛大綱では、これまでの「専守防衛」の建前を投げ捨て、海外への派兵を自衛隊の恒常的任務とすることがうちだされました。この線にそって、沖縄の米軍基地の一部を本土に移転したり、米陸軍第1司令部をアメリカ西海岸から日本に移すことなどが検討されています。これらは、アメリカの新たな軍事戦略にそって、日米の軍事一体化をさらにすすめ、日本全土を米軍の最前線基地として差し出し、日米両軍が世界中の戦争に参加する体制をとろうというものです。

 そのうえで焦点にのぼってくるのが憲法改悪の問題です。改憲勢力は、環境権の問題や女性天皇の問題などをいろいろととりあげていますが、もっとも核心的な問題は、戦後の日本の国是でもある「戦争放棄」「平和主義」をうたった九条を改悪することです。憲法の改定には国民投票が必要であり、今後、憲法問題をめぐって国民1人1人が立場を迫られる時期が来ることになるでしょう。

弱者に犠牲をおしつける構造改革


 小泉内閣の今ひとつの「公約」である郵政民営化は、何の理念もしめせないまま、郵政事業を持ち株会社のもと郵便、貯金、保険、窓口ネットワークの各社に分割するという内容で法案が提出されようとしています。その最大の狙いは、郵便貯金、保険などに集積された一四〇〇兆円もの国民の個人資産を、日本やアメリカの独占資本が自由にしようというものです。

 また、「地方分権」の名のもと、「三位一体」の改革として、国から地方への補助金が2005年〜06年度で総額2兆8380億円削減されることがきまりました。しかし、これにともなう地方への税源委譲は、04年度までの分と合わせても2兆4160億円にとどまりました。これでは「地方分権」も名ばかりで、国の財政危機を地方におしつけたにすぎないものです。とくに財政基盤がよわい地方自治体においては産業や農林水産漁業の振興、福祉、教育などに深刻な打撃をあたえる懸念が高まっています。

 小泉内閣はあらたな増税も狙っています。政府税調は、所得税.住民税の定率減税を20〇七年までに二段階で廃止する一方で、消費税も欧米並みに15%にひきあげることをうちだしています。ここにも、弱者へのしわ寄せの発想がつらぬいています。


 


「景気は回復した」というけれど


 日本経済はいま、一定の景気回復の局面に入っています。しかし、それは国内の消費市場の十分な拡大によるものというよりは、急速に成長する中国市場やアメリカの景気拡大と、情報家電などの需要拡大によるものです。

 景気回復の影響をうけている職場では、連日増産体制にはいり、設備投資がすすみ、雇用も拡大しています。しかし、拡大した雇用のおおくは、パートや派遣労働者、業務請負の労働者などの不安定雇用労働者であり、景気が後退すればたちまち首をきられる人人です。拡大する生産や営業をすすめるために、長時間労働やサービス残業もふえています。
 景気回復の恩恵に浴していない旧来型の製造業などでは、海外生産の拡大によるコスト競争にさらされ、廃業やリストラがあとをたちません。運輸業などでも運賃のダンピングがつづき、ばたばたと企業がたおれています。

 総じて労働者の年収は低下し、大企業の労働者と中小企業の労働者、正社員と非正社員、都市と地方などで、同じ労働者でも収入や労働条件がまるでちがう状況となっています。

 2003年の自殺者が過去最高の3万4427人、そのうち倒産やリストラなどの「経済生活問題」を理由とした自殺の比率も過去最高の25.8%となりました。それは、小泉内閣の構造改革がはたらくものにいかに過酷なものであるかをしめしています。

小泉政治への反発強まる


 こうした小泉内閣の政治にたいする反発はますますつよまっています。
 03年の統一地方選挙につづいて、04年の参議院選挙でも、自民党の後退と民主党の「躍進」という結果をもたらしました。そのことは、おおくの有権者が民主党の政策を全面的に支持したというよりは、いま現実に進行している自民党.公明党などの政治に反対する意志を表明したものとみるべきでしょう。

 イラク派兵にたいして各地で抗議の大衆行動がとりくまれてきましたが、こと、憲法改定問題が焦点となる中で、2004年六月には、大江健三郎、小田実、梅原猛、井上ひさし、三木睦子などの人人のよびかけによる「九条の会」が結成され、平和憲法の根幹である九条改悪反対の一点にしぼって広範な改憲反対の運動をまきおこしていくことがよびかけられています。





 派遣やパートなどの不安定雇用労働者が拡大し、労働者の内部での格差の拡大や組織率の低下がすすむなかで、2005年春闘では、連合も全労連もともに、中小企業やパート労働者の賃金水準の引き上げ、格差是正を運動の重点として打ち出しています。この点は積極的な要素であり、注目していく必要があります。

 昨年、労働組合.プロ野球選手会のたたかいがおおきな注目をあびました。ファンや選手を犠牲にして一部球団だけが儲かることをねらった球界再編――小泉構造改革のミニチュア版のようなものですが――にたいして、プロ野球選手会は、ファンと国民の圧倒的な支持のもとに日本のプロ野球史上初のストライキをたたかいぬき、当初のもくろみをうちやぶりました。そこには、長年にわたる、二軍の選手もふくめたしっかりとした組織活動を基礎に、ファンを大事にするという立場をつらぬき、プロ野球界の将来展望も視野にいれたたたかいを組んだこと、その戦術も「連帯の証(ミサンガ)」の着用など、どこか洗練され、あかるく、ユニークなものであったことが勝因であったと考えられます。ここには、今後の労働運動の方向としてまなぶことがおおくあるといえます。

現労研の枠組みを作る


 以上のような情勢のもとで、わたしたちは2004年4月に『労働通信』の読者を中心に現代労働問題研究会を正式結成しました。この会の目的は、規約にもあるように「現代の労働者をめぐるさまざまな問題を調査.研究し、それをもとに政治.社会の動きをつかみ、おおくの人人との交流をつうじて、よりよい社会のあり方を研究する」ことです。

 第1回総会以後、初歩的ではあるが活動がはじまっています。

 『労働通信』は、現労研の中心的な活動です。誌面の改革をおこない会員.読者の役立つものにし、読者.会員の拡大をおこなうことを第1の方針としてとりくむなかで、編集部と会員.読者との連携がつよまり、会員内外からの投稿や取材などで『労働通信』の誌面が多彩なものとなりつつあり、読者も増えはじめています。

 また、各地域で、読者.会員が主体となった読者会や学習会、交流会が開催されるようになりました。さらに会員専用のメーリングリストも発足し、会員同士が時間や地域の制約をこえて、インターネットを介していつでも情報交換や意見交換ができるようになりました。現労研.『労働通信』のホームページも全面的にリニューアルされ、アクセスしたかたがたとよりインタラクティブ(双方向的に)交流できるシステムができあがりました。

 いわばこの4月いらいの活動のなかで、現労研の「枠組み」のようなものがようやくつくられてきたといえます。

共通した問題意識


 このなかで、「労働通信」の誌面やホームページなどをとおして、おおくの人人との出会いがうまれています。そのなかで、さまざまな異なった意見との出会いもあるわけですが、つぎの四点については、共通した問題意識があるように考えられます。

 第1は、現代資本主義が変化し、職場の様相がさまがわりするなかで、成果実績主義、長時間.サービス労働、派遣、パート、請負などの非正規雇用労働者の増大、労働者内部での格差の拡大、「働きがい」の問題、労働者同士の人間関係の変化、企業の社会的責任(CSR)などの問題をどうとらえ、どう対処していくのか、とくに労働組合運動をどうしていくのかという問題です。また、主要ナショナルセンターがそろって、中小企業やパートなど底辺労働者の問題を正面からとりあげはじめるという有利な条件のもとで、下から均等待遇をもとめるたたかいをどう発展させるかも大きな関心事です。

 第2は、イラク戦争や自衛隊の派兵、日米の軍事一体化、憲法改悪、教育基本法の改悪、「日の丸」「君が代」の強要、さらには郵政民営化、地方に犠牲をおしつけるだけの「三位一体」改革、税制改悪、社会保障制度改悪などに反対するたたかいをいかに発展させるかという問題です。とくに改憲問題は日本の進路をめぐって国民1人1人が態度を迫られるテーマでもあり、この問題をどうとらえ、どう発展させていくかの問題意識が深まっています。

 第3は、アメリカ主導の「グローバル化」に反対する世界の労働者のたたかいへの関心と、それらの労働者とどう連帯していくかという問題意識です。また、生産拠点の海外移転がすすみ、日本国内では工場閉鎖と失業、中国をはじめアジア諸国では低賃金労働――といった関係ではなく、平等で互恵的な経済関係や産業のすみわけをしていくにはどうしたらよいかという問題意識もうまれています。

 第4は、これまでの運動のあり方を検討するとともに、未来のあるべき社会の構想はいかなるものかというテーマです。

 さきの選挙で、自民党への批判票が民主党へと流れ、共産党や社民党など既存の左翼政党や護憲政党は自民党以上の敗北を喫したのはなぜか。これは、共産党.社民党などの関係者だけの問題ではなく、社会進歩をめざして活動しているすべての人人自身の問題としてさまざまな角度から検討すべき課題です。さらに、この資本主義の発展の基礎のうえに、つぎに築くべき社会の展望はいかなるものかについても考えていかなければなりません。

 今後は、この共通した問題意識を基礎にして、現労研の「枠組み」に少しずつ中味をいれていく段階です。もちろん、これらは、いずれも一朝一夕で、またわれわれだけで結論をだせるものではありません。会員.非会員を問わず、今後ともおおいに意見交流や経験交流をお願いしたいと思います。
 今年もよろしくお願いします。

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