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労働戦線情勢 : 05春闘−とある職場での風景
投稿者: rodo-info 投稿日時: 2005-4-25 15:29:00 (2179 ヒット)

05春闘−とある職場での風景


電機産業労働者 古田和博
「労働通信」2005年3月号の記事より


 「職場委員は今日の定時に集まってください。春季生活交渉の説明会をします」。

――突然組合役員から各部署の職場委員に連絡があった。(今日やるならもっと前にいっといてくれよな。お客との約束もあるし、仕事の段取りも調整しないといけないし出席できるかどうかわからんぞ)

――案の定、集まったのはたったの三人。(本当にこんな段取りでいいのかぁ?)

 「それでは今年の交渉の方向性を説明します」。

 「まず、現在の国内産業・当社の状況は……、よって総合的に分析し、ベースアップを要求する状況ではありませんので今年はベア要求しません」。

――(おいおい、いきなりやる気のなくなる説明だなぁ。「総合的に分析し」って何がどう総合的なんだかさっぱりわからん。)「すみません。総合的に分析してというのはどういうふうに分析してベア要求なしになったのですか?」

 「だから、今説明したような状況を総合的に分析してということです」

――(こりゃダメだ。役員もよく分かっていない。上部団体からのシナリオを棒読みしているだけだ。これ以上つっこんでも無駄みたい。それに意見があれば出してほしいといっておきながら、その不機嫌な顔はなんなんだ)

 「さらに今年は成果主義を推進する観点から、成果に関係のない手当ては中立的な制度に向けて見直すという要求を考えています。具体的には……」

――(ちょっと待ってくれよ。なぜ組合がわざわざ組合員に不利な条件で手当ての見直しを会社に「要求」するんだぁ。それに中立的な制度ってなんだよ?)「あのぉ、すみません。これって手当てをもらえない人もでてくるんですよねぇ。それに『中立的な制度に向けて』っていうことは、今は中立的でないということですか。どこが中立的でないんですか。意味がわからないのですが……」

 「……」。「えぇっと、そうですねぇ……。成果主義を基本に……。社会情勢の変化を踏まえ……」「……ということです」。

――(ますますわからん。それに日本語になってない。どうでもいいけど、お願いだからその不機嫌な顔だけはやめてくれ、質問する気が失せる。)

 「いずれにしても、皆さんの職場の意見を聞くようにしてください」。

――(この資料だけでどうやって組合員に説明しろというんだぁ?)「すみません。これだけの資料では説明が難しいので、この要求の方向性が決まった経過とか、数字とか、組合員にもっと分かりやすい資料を頂けませんか。それに、全員の意見を聞きたいのでアンケート項目などのヒアリング材料を提供してもらいたいのですが……」

「う〜ん。アンケートねぇ。別に全員に意見を聞く必要はありません。組合に関心のある人だけで結構です……」。

――(全員に聞く必要はないだとぉ。絶句)

 電機産業の一職場での雰囲気は例年になく緊張感がありません。労組でも一通りの説明はおこなっているものの組合員の意見を吸い上げて要求を作るということは全く念頭になく、上部団体から下ろされた方針を押しつけるだけという感じさえします。それも組合員がやる気になる提案であれば良いのですが、逆にベースアップ無し、成果主義のさらなる強化、各種手当ての削減を訳のわからない理屈をつけて組合員に押しつけようとしているのが実状です。例えば家族手当てなどは直接収入にかかわるものであり組合員の関心は高いのですが、制度改訂(結局は労務費の削減につながっている)についての組合員の意見などうわの空です。

 組合員からは、職場委員におおくの質問が来ますが、組合役員に問い合わせても的を射た回答は得られない状況です。職場委員が、組合員の心配している状況をつたえ、組合員一人一人の意見をもっと聞く体制を作ってほしいと提案すると、組合役員は「全員に聞く必要はない、組合に関心のあるものだけでよい」などと信じられないことをいってきます。要するに寝た子を起こすなということでしょうか。

 このような状況で、春闘に関心を持てというほうが無理なのかも知れませんが、何とか下部から提言していかないとラチがあかないのも事実です。

 組合員のなかには今春闘の方針が「どこかの国の法律が決定される過程のように、非常に理解しづらい言葉でうまくわかりにくく説明されたまま決定されていくことを危惧している」とここ数年来組合員不在の方針決定に不満を漏らすものさえでてきています。このようなやり方は、組合そのものの存在価値をなくし求心力を低下させるものです。

 大手電機産業では、後半デジタル家電が失速してしまいましたが、それでも業績は昨年より上がっています。それにもかかわらず、賃金は上がる気配を見せません。不安定な一時金でお茶を濁そうとしています。

 組合員は、本当はもっと要求について議論したがっているのですが、春闘がはじまった時にはもうほとんど組合幹部と経営との折り合いが見えていて、要求案もできているというありさまで組合員が参加できる場を与えてくれません。私は自分の職場しか詳しいところはわかりませんが、企業内組合は同じようなものなのでしょうか。

 こういう風景を見ていると企業内組合の活動スタイルそのものを根本的に議論し変えていかないと、労働組合を存続していくことはできないし労働者の生活を保障することもできなくなってしまうような気がしています。

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