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投稿者: rodo-info 投稿日時: 2013-6-1 0:00:00 (509 ヒット)

保守政党ではなく右翼政党





半木 智


 今回から電子版ワーカーズレポートです。今までとは環境が変わりますのでペンネームを使う事にします。ま、それ程の影響力は無いでしょうが。

 安倍さんの支持率が高止まりです。経済政策の成功が大きいと言われていますが、私の見る所、この度の円安、株高はTPP参加と引き換えに米国から許された事態なので、株などの金融商品を持っていない人には絵に描いた餅どころか、さらなる生活苦の原因となるかも知れません。

 その安倍さん、声高に憲法改正やら村山、河野談話の否定など勇ましい事を唱えていましたが、米国の有力紙や政府機関に非難されるやあっという間にトーンダウンです。靖国神社への公式参拝もどうなる事でしょう。



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投稿者: rodo-info 投稿日時: 2012-12-2 18:40:00 (691 ヒット)

日本の針路を見極めよう


  ――2012年12月総選挙をめぐって――







 12月16日の総選挙は、日本の将来を大きく左右する選挙です。アメリカに従属し、貧富の差を拡大し、戦争ができる国へしていくのか、アジアとともに地域から持続可能な社会へと転換して行くのか――が問われています。
 とくに今回は、既存政党のみならず新興政党の中からも、自衛隊を「国防軍」と位置づけることや憲法改悪などを公約に掲げる勢力が出現しており、一歩選択を誤れば、極端な右傾化がすすむ可能性があり、各党の政策を十分に検討していく必要があります。
 今回の選挙では12もの政党が乱立していますが、そこでは、経済政策、消費税、年金・社会保障制度、雇用・労働政策、TPP、原発、安全保障・基地、そして憲法が争点となっています。

○経済政策

 ヨーロッパ金融危機の影響を受けていっそう深刻化する経済不況をいかに脱却するかをめぐっては、金融緩和や公共事業などによって大企業にお金を回し、そこでの「景気回復」をはかるのか、中小零細企業や農業などを支援し、子育て支援策、労働者の所得向上などによって内需を拡大し、経済を活性化していくのかが問われています。前者のように大企業が儲かれば、そのおこぼれで中小企業も活性化し、雇用の拡大や賃金の上昇にもつながるという論もありますが、小泉政権時にも経験したように、GDP拡大で大企業の内部留保だけはふくらみましたが、貧富の格差は拡大し、多くの労働者の所得が下がったのが現実です。

○消費税

 民主党、自民党、公明党の三党合意による消費税増税は、「社会保障の財源とする」という名目のもとで成立しましたが、社会保障改革の全体像は見えないままです。しかも消費税は所得の低い人ほど負担が重くなる逆進性の強い税金であり、いまのような不況時に増税すれば、いっそう経済を悪化させざるを得ません。このような消費税増税を予定通り進めるのか、消費税増税をいったん白紙に戻し、社会保障制度や税制のあり方を根本的に見直すのかが問われています。

○年金

 現在、国民年金が月3万円という人や無年金者が増え、さらに非正規雇用の若者たちのなかでは年金保険料も払えず「無年金者予備軍」が増えています。これは「高度経済成長」が続き、高齢化社会になる前の時代に制度設計された現在の年金制度(現役世代が現在の高齢者の年金を支払う)が限界に来ていることを示しています。こうした制度を抜本的に改革せず、年金保険料の引き上げ、年金支給開始年齢の繰り延べ、支給額の減額を進めますます老後を不安にしていくのか、全国民的議論を巻き起こし、全額税方式による最低保障年金と拠出年金の併用などの抜本的改革をすすめていくのかが問われています。

○雇用、貧困対策

 経済政策、消費税、年金などと大きく関わっているのが雇用・貧困対策です。一九九〇年代いらいの労働分野の規制緩和により、派遣労働者や契約社員、パート、アルバイトなど低賃金で雇用が不安定な非正規雇用労働者が増え、現在では全雇用者の三五%となっています。また企業のリストラ、倒産による失業や高齢者の無年金などの増大により生活保護を受給せざるを得ない人も増えています。不安定雇用労働者や貧困者の増大は、経済や社会保障制度にも悪影響を与えています。それにもかかわらず、生活保護制度をバッシングしたり、最低賃金制の撤廃や解雇規制の緩和をかかげたりする政党まで出てきています。
 このような労働分野の規制緩和のいっそうの推進や生活保護バッシングなど労働者をいっそう貧困化させる政策をとるのか、労働分野の規制緩和を大幅に見直し、労働者の賃金を引き上げ、雇用を安定化し、誰もが働きがいがある人間らしい仕事に就く機会を創出することで、経済や社会保障の問題も解決していくのかが問われています。

○原発

 福島第一原発の事故は、福島の人々の生活を根底から破壊し、原発の「安全神話」を崩壊しました。原子力発電から発生する放射性廃棄物を安全に処理する技術はいまだに確立していません。他方、太陽光発電、風力発電、小水力発電などの自然エネルギーの普及は安全なエネルギー源を提供するだけでなく、比較的小さな投資でも導入可能であるため、地域における産業や雇用の創出にもつながります。あくまでも原発にしがみつき、国民を危険にさらすのか、脱原発へむけて既存原発の廃炉、省エネ対策の推進、自然エネルギー導入のための制度設計、技術開発支援などを総合的に進めていくのかが問われています。

○TPP

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、貿易自由化の枠組みですが、実質的にはアメリカの多国籍企業に有利になるように、日本の農業、雇用、医療など国のあり方を根本的に変えてしまう可能性を持っています。TPPにはISD条項といって、外国企業が自分にとって不利な政策をおこなう政府を訴えることができる規定まで含まれています。このような枠組みのなかに入って亡国の道を歩むのか、地域からものづくり産業や農業を活性化し、国民皆保険制度など日本の医療、福祉制度を充実、発展させるのかが問われています。

○安全保障・基地

 日本はこれまで日米安保条約のもとで、アメリカに政治的、経済的に深く従属し、沖縄をはじめ全国に米軍基地を配置させられてきました。ベトナム、イラク、アフガニスタンなどアメリカが世界各地で引き起こす戦争にも、これらの在日米軍基地から出撃していきました。さらに米兵による犯罪も多発しています。
 今までは憲法九条の縛りがあるため、日本の自衛隊がアメリカの戦争に直接動員されることはありませんでしたが、最近では「集団的自衛権」行使をできるようにし、自衛隊を国防軍として位置づけ、アメリカが引き超す戦争に参加したり、周辺国との領土紛争を武力で解決したりすることを主張するきわめて危険な動きが生まれています。
外交防衛政策において、アメリカとともに戦争ができる国家をめざすのか、アジアとともに平和国家としての道を歩むのか、重大な岐路に立っています。

○憲法

そして、最終的に問われるのは憲法です。戦争放棄を規定した憲法第九条、すべての国民に健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)を保証した憲法第二五条は、日本の外交・安保や経済・社会保障政策の根幹に関わる問題です。今回の選挙では、憲法改定を全面に打ち出す政党もありますが、これは平和主義や生存権の保証など日本国憲法のもっとも重要な原則を改悪しようとするものです。
 以上のように今回の総選挙の争点は、日本の将来に関わる重要な問題ばかりです。

★バックナンバーをアップしました!

 「労働通信」編集部では、みなさんの検討の材料として頂くため、編集部発行の雑誌『ワーカーズ・レポート』のバックナンバーからいくつかの記事をピックアップして、ホームページに公開しました。参考にして頂けると幸いです。

●亡国の消費税増税
●TPPと労働問題税
●夏を越え冬を迎える原子力政策
●日本の貧困問題







 

 『労働通信』は、現代の労働者が直面する問題や日本と世界の労働運動について隔月刊で編集、発行している雑誌です。

 編集委員は全員が職場ではたらき運動に参加している労働者です。また、全国の職場で奮闘している活動家のみなさんからの投稿にささえられて発行しています。

 購読料は、1部500円(送料込み)、年間で3,000円です。

 購読のお申し込みは「労働通信」ショッピングモールからどうぞ。
 








投稿者: rodo-info 投稿日時: 2012-12-2 18:30:00 (1004 ヒット)

亡国の消費税増税
(「労働通信」2012年9月号の記事より)





 「社会保障と税の一体改革」法案のうち、消費税増税法案がこの特集作成時の八月一〇日に成立した。これからは残された社会保障の課題そっちのけで、衆議院の解散・選挙に向けて政局が動いて行くものと思われる。特に自民党は「刀折れ、矢尽き」た民主党をたたく絶好のチャンスとばかりに国政をもてあそんできた。その罪はおおきい。
 約半分の一般の人は「将来不安」が増税によって完全に解消されるなら「やむなし」と諦めているようだが、庶民生活はさらに厳しくなるはず。おそらくおおくの中小、零細企業や商店が街から消えてゆくことになり、増えるはずの税収が滞って目的の「社会保障」が行き詰まることは明白だ。アメリカの意向ばかりを気にして弱者に負担を押しつけてきたすべての政党を断罪しなければならない。
 来るべき、解散・総選挙では、原発問題とともに消費税増税問題を選挙の争点として、消費税増税の撤廃を実現する政治勢力を伸ばすことが求められている。


  ――税と社会保障の一体改革は我々に利があるのか?――

消費税増税分が社会保障に投入されるといってもだれも証明できない

 野田内閣は、自分の政党の身内への説得もせず、とにかく数合わせの「自・公・民」合意で消費税の大幅引き上げを決定した。
 当面、消費税は二〇一四年までに八%に引き上げられる。
 野田内閣の大義名分は、「社会保障と税の一体改革」であり、増税分の内二%は年金や医療の社会福祉に回すと言っている。

増税分がどのように利用されるのか?

 では、増税された消費税がどのように医療や年金に投入されるのか? 検証する方法はあるのだろうか?
 例えば年金である。年金制度の基礎となっている国民年金には、二分の一の国庫負担が投入されている。
 簡単に言うと、国民年金の場合、保険料免除制度がある。たとえば保険料が四〇年間全額免除されたとしても、この人は七八万九〇〇円×改定率の半額の年金がもらえる。ここには税金が投入されているからだ。
 健康保険も健康保険組合に国庫負担、協会健保にも前期高齢者納付金の納付に要する費用の一〇〇〇分の一三〇が補助されている。

増税分が投入されるとどうなるのか

 もし、消費税増税分が社会保障費用に投入されたならこの割合が当然変わってくる。
 国民年金で言えば、二分の一の国庫負担が五分の三になるなどの場合である。もちろんもらえる年金の金額も増加されることになる。このような推移だと、消費税の増税が社会保障に使われたと言うことが一目瞭然で、誰にでも理解できる。
 ただこれもあくまでも見た目にすぎない。
なぜなら、国庫負担は当然税金が投入されているわけであるが、それは所得税からいくらなのか、消費税からいくらなのか私たちには、まったくわからない仕組みだからである。
 負担率だけではなく、投入される金額についても同じである。どの税金からどれだけの金額が社会保障に投入されているのか理解できる人はいるだろうか。
 消費税を引き上げ、そのうちの一%、二兆円を社会保障に投入すると言っても誰も証明するすべを持っていないのである。
 こういった税金の支出上の構造を問題にしないで、「税と社会保障の一体改革」といったところで、私たちに税金の使い道の流れがわからない以上、「一体改革」が「欺瞞」だと言われても仕方がないだろう。

笑っているのは財務官僚と建設族

 消費税増税で笑いの止まらない連中がいる。財務官僚と建設族である。
 彼らは、八〇〇兆円の財政赤字に苦しむ日本政府の財政再建と、「大規模災害に耐える施設の建設」を公言している。
 消費税の増税が可決・成立する目処がつき始めるや、自民・公明、果ては民主党の建設族までがうごめき始めた。
 ここに彼らの本当のねらいがあったのだ。
もちろん、高度成長期に建設された古い道路や橋などを造り直す必要はある。
 だが、彼ら建設族のもくろみは見え見えである。消費税で税収が増加した分、「景気回復」と称して公共事業に投資する、旧来の「ばらまき政治」を進めようということだ。
 最低限のインフラを再整備することに異論はないが、結局、建設族どもの目的は旧来の利益誘導政治でしかない。
 「国家一〇〇年の大計」など、どこ吹く風、自分の当面の利益にのみ邁進する国会議員達のことを世間では「政治屋」と言っている。
 財務官僚は財務官僚で、財政危機になっても消費税率を上げればいつでも莫大な資金が転がり込んでくると高笑いである。
 彼らも自分たちの生活が第一で、菅内閣の財務大臣であった野田総理を徹底的にマインドコントロールした。広く薄く取れるところから取るという税金徴収の方法を徹底して実行してきた。

消費税増税はメリットなし

 消費税率を上げても、どれだけ社会保障に使われるか確証がない。従来のばらまき政治には建設族を中心に湯水のごとく投入される。
 金持ちも貧乏人も同じ税率でモノを買わされる。しかもこのデフレ不景気である。賃金が下がり、可処分所得が減少する中、誰が必要以上に商品を買うだろうか。
 以上のように、総合的に見れば、消費税の増税は私たちには何のメリットもない。
 むしろ景気は後退し、社会保障はうち捨てられ、雇用不安は増大するだろう。はっきり言おう。消費税の増税は私たちにメリットはない。



  ――消費税増税で破壊される私たちの生活――

生活破壊のスパイラルを阻止しよう

 八月一〇日、政局がらみのドタバタの末、消費税増税関連法案が民主、自民、公明三党などの賛成多数で参議院本会議を通過し成立した。国民不在の不毛な議論は、私たちの目には三党内の茶番劇にしか映らなかった。このような馬鹿馬鹿しいプロセスで私たちの生活が左右されていくのかと思うと本当に憤りを感じずにはいられない。
 民主党は、小泉改革で疲弊した国民生活を立て直し守ってくれるのではないかとの期待を受けて政権交代を果たしたが、今では国民生活の破壊者に成り下がってしまった。国民から見放された民主党は政局での対応でしか生き残れない堕落した政権政党になってしまったのである。このまま彼らを政権の中枢においておけば、小泉時代の状況となんら変わらずに、大多数の国民の生活は苦しく、格差はますます大きくなり、またもやマネーゲームで経済を破壊していくだけである。その顛末(てんまつ)は、私たちがつい最近身を持って経験したとおりであり、今度はさらに取り返しのつかない状況に陥ることになるであろう。

私たちの生活はどうなるか

 消費税増税により私たちの生活はどうなるのであろうか。消費税だけではなく別に決まっている社会保険料の引き上げや復興増税なども含めていろいろな試算がなされているが、単純に増税分だけを負担して済むという問題ではないということを認識しなければならない。今回の増税は、生活破壊のスパイラルを作り出し、取り返しのつかないことになってしまうのである。
 消費税を上げればどうなるかは、私たちが一九九八年に二%引き上げられた経験からはっきりしている。そのときは国内消費が落ち込み、さらに税収も減るという事態に陥った。一%の税率アップで税収が約二兆円増えるといわれていたが、実際には一兆円も増えないばかりか、所得税や法人税が減り、全体で三・八兆円も減収した。消費税導入前の一九九六年と最近の二〇一〇年を比較すると、消費税収は七・六兆円から一二・七兆円へと増加しているが、税収全体は九〇・四兆円から七六・三兆円へと一四兆円も減少した。
 当時の状況を振り返ってみると、消費者は消費を控え、企業の売り上げは大幅に落ち込み、多くの企業が倒産した。労働者には賃金が支払われないものも続出し、賃下げを甘受するしかない状況になった。大手企業でも、管理職のボーナスが自社製品の現物支給という、笑うに笑えない状況になった。このころから生活苦による自殺者も急増し、中小零細の社長の自殺も目だって増え続けた。生活保護を受けざるを得ないものも増え続けた。その影響はいまだに回復していない。
 一九九八年の二%の引き上げでも国内経済は混乱を極めたにもかかわらず、今回は五%のアップである。実際には二〇一四年四月に三%、二〇一五年十月に五%アップと二段階で行われる。このやり方は、徐々に上げれば影響も少ないだろうという考え方かも知れないが、逆に私たちにも企業にも負担が大きい。なかには、消費税アップ第一弾の影響をうけた生活が回復しないまま、さらに増税されれば生活を立て直そうという気力をなくしてしまうものが続出するだろう。企業は、消費税率アップのための様々な社内システムの改定を行わなければならない。それを二年弱で二回も行わなければならないのである。業績が悪化していく中で、費用だけが増えていくことになり経営が立ち行かなくなるだろう。
 こうした状況で生活破壊のスパイラルに落ち込んでいくのである。すなわち、「増税」「社会保険料引き上げ」→「消費の落ち込み」→「企業業績の悪化」→「賃下げ」→「首切り」→「中小零細など価格転嫁が出来ない企業から倒産」→「失業者増加」→「生活保護受給者増加」「格差拡大」「自殺者増加」「治安悪化」→「税収悪化」→「財政悪化」→「さらに増税」「さらに社会保険料引き上げ」→「さらに消費の落ち込み」→……という具合に想像しただけでも背筋が寒くなってくる。前回よりもさらに厳しい状況が私たちの生活にのしかかってくることははっきりしている。







なぜ野田政権は増税を進めるのか

 野田政権は、「社会保障と税の一体改革」を掲げ、日本の財政と社会保障を立て直すためにやむなく消費税率を上げるのだと主張している。さらに、いま増税を決断しなければ日本は大変なことになると国民を脅しにかかっている。しかし、さきにも見たように消費税を上げることで財政や社会保障が立て直せるわけもなく、逆に私たちの生活を悪化させる方向に進むことは明らかである。
 それでは、なぜ野田首相は政治生命を賭けてまで消費税増税を強行しようとしているのか。
 それは第一に、財界からの強い要求である。消費税を上げれば景気が後退し国内での企業業績も悪化することは、財界も分析済みのはずである。ではなぜ自らの首を絞める政策を要望するのであろうか。それは、彼らの真の目的が法人税の引き下げにあるからである。法人税を引き下げた税収のマイナス分を消費税引き上げでまかなおうというのである。さらに国内消費の冷え込み分は、海外で取り戻せる見込みを持っているのである。これは、国内企業が海外市場にシフトし国内産業の空洞化を招くことにもつながる。しかし、財界にとっては彼らの私腹を肥やすためには国民生活など関係ないのである。
 第二に、海外特に米国からの圧力である。IMFが日本に対して消費税率の引き上げを求める声明を出したことは記憶に新しい。なぜIMFが日本の消費税に言及しなければならないのか、多くの国民が疑問に思ったはずである。IMFはリーマン・ショック以降の世界金融不安を払拭させるために五〇〇〇億ドル分(約四〇〇兆円)の資金増強を目ざしていることを表明している。しかし、米国はすでにIMFに増資しないことを明言していた。そこで日本にその肩代わりをさせるための財源確保を消費税の引き上げで行えということだったのである。ここで注意しなければならないのは、IMFは米国の影響力が絶大であり、米国の意図通りに動いているということである。日本が仮にIMFの狙い通り増資に協力したとしても、その使い道は米国の思い通りになり米国のための資金調達にされてしまうことは目に見えている。野田政権はこの見え透いた米国の企みに従順に従うことしか考えていない。
 第三に、財務官僚からの圧力である。彼らは、消費税の引き上げによりさらに大きな特権を手に入れようとしている。彼らの力の源は、自分たちで管理している税収の大きさである。今回の引き上げ幅は、現在の税率の倍である。さすがにこれだけの負担を国民に負わせることは、特に低所得者の生活が成り立たなくなるのは分かりきっている。そこで検討されるのが「軽減税率」の導入である。当然各業界からは、自らの業界を軽減税率の対象とするように財務官僚への強い働きかけがある。このことは財務官僚に各業界の業績を左右させる強い権力を持たせることとなる。各業界団体は便宜を図ってもらうために、おいしい天下り攻勢をはじめ、合法・非合法にかかわりなく多くの施しを彼らに行うこととなる。財務官僚にとっては天下を取ったのも同然という感じであろう。先のIMFへの入れ知恵もIMFに出向中の財務官僚の仕業であるという疑惑も出るほどである。
 野田政権は、口先では国民の将来のために消費税増税を決断したかのようにいっているが、実のところは国民の生活とは無縁の財界、官僚、米国の圧力により決断したものである。

消費税増税を断固阻止しよう

 消費税増税により私たちの生活が窮地に立たされることは火を見るより明らかである。しかし今ならまだ間に合う。消費税増税阻止に向けて国民的な運動を巻き起こすことが必要である。
 首相官邸前では毎週金曜日に原発稼動に抗議する多くの人々が集まって、直接政府に国民の声を伝えようとしている。その中には、原発問題だけではなく様々な社会問題についても意見を持ち寄る人々が増えているという。これは消費税増税をはじめとする国民生活を破壊する政策に対しての抗議行動へと発展する可能性を大いに秘めている。国民の声をストレートに伝えたいという自然な欲求が私たちの周りにも渦巻いているはずである。これらを結集することは政治を動かす大変大きな力となる。
 もうひとつは、近いうちに行われる総選挙である。私たちは先の選挙で政権交代まで果たしたという経験を持っている。選挙は私たちの今後の生活のあり方を選択できる重要な機会のひとつであることはいうまでもない。私たちは今までの経験をよく分析し、どの政党を支持するべきか、どの人を選ぶべきかを十分に吟味する必要がある。マニフェストに記載されている文言の裏に隠されているものまで読み取る必要があるということは痛いほど経験してきたとことである。
 大衆の力を結集した行動と次の総選挙により、明るい未来を選択していこうではないか。



  ――消費税増税撤回を総選挙の争点へ――

どのような社会をつくるかを視野に社会保障制度・税制の見直しを議論しよう

 消費税増税法が成立した今、年内にも衆議院解散・総選挙が行われる公算が高い。
 この際、消費税増税の可否を総選挙の大きな焦点の一つとして押し出し、消費増税反対をかかげる政治勢力を拡大し、かつて小泉政権のもとで成立した郵政民営化法を民主党政権下で見直したように、新しい国会のもとで消費税増税をいったん白紙撤回して、社会保障制度や税制のあり方を根本的に見直すことをめざす必要がある。

どのような社会をめざしていくのか


 社会保障制度や税制のあり方を根本的に見直すということは、どのような社会のあり方をめざすかということとかかわっている。
 今回の消費税増税は、先にものべているように、おおくの国民のためのものではなく、財界、アメリカ、財務省官僚などの利益のためのものである。とくに多国籍化した日本の大企業は、消費税増税で国内経済が疲弊しようが地方が衰退しようが、海外で稼げばそれで良いと考えているようである。このような社会では、戦後の日本をささえた「中間層」はなくなり、富めるものはますます優遇され、いっそう豊かとなり、働いても、働いても豊かになれない「ワーキングプア」といわれる貧困層が拡大する社会とならざるを得ない。そうした社会に未来を見出すことができず、自殺や犯罪、社会的不和がいっそう増えていくことになるだろう。
 では、われわれがめざすべき社会とはどういう社会であろうか。

生存権の保障

 少なくともまず第一に、年金、医療、介護、保育・福祉などの社会保障制度の拡充によって、すべての国民が憲法二五条で保障されているところの「健康で文化的な最低限度の生活」が保障されることがもっとも基本となる。
 社会保障制度の拡充、見直し素案として「ベーシック・インカム」の導入についても検討する価値はあるだろう。
 「ベーシック・インカム」とは、すべての個人が無条件で生活に必要な所得への権利を持つ仕組みである。一般的な定義としては、仝朕佑砲燭い靴峠蠧澄年齢等にかかわりになく無条件に給付される、給付水準は尊厳をもって生きること、生活上の真の選択を行使することを保証するものであることが望ましい――等である。
 特徴としては、仝淑ではなく現金で給付される、定期的な支払いの形を取る、9餡箸泙燭和召寮治的共同体によって支払われる、だぢ咾篝ぢ喙腓砲任呂覆個人に支払われる、セ駑歪敢困覆靴忙拱Г錣譴襦↓Σ堝能力調査なしに支払われるなどの点があげられる。「ベーシック・インカム」を導入するとすれば、現行の社会保障制度のうち医療などのサービス給付はそのまま残して、年金、児童手当、生活保護、児童扶養手当などが「ベーシック・インカム」に一本化されることになる。こうすると、現行制度ほど複雑ではなく、単純性が高いことから運営のコストが低いというメリットもある。
 また、現行の生活保護制度では、受給にあたり「恥ずかしい」という感情を持つ人も少なくなく、本来なら受給してしかるべき人もあえて受給していないケースもおおい。その一方で、一部に不正受給もあり、それがまた「生活保護バッシング」の材料ともされている。だが、「ベーシック・インカム」は所得水準にかかわらず、すべての国民に一律に支給するため、こうした問題も解消できる。

公正な所得の再配分

 第二は、こうした社会保障制度を支える税制の改革である。
 まずは、富裕層や大企業への優遇税制を撤廃することである。財界などは日本の法人税率が四〇%近くあり世界で一番高いなどといっているが、大企業にはさまざまな優遇税制があり、実質的な税負担は一〇%台と世界的にも低い水準となっている。株の配当・譲渡等による「不労所得」にたいする「証券優遇税制」の廃止、所得税・住民税の累進率の強化、相続税などの最高税率の引き上げなども課題である。
 大企業の高収益、株式配当や経営トップ層の高額所得も、もともとは非正規雇用労働者をふくめた現場の労働者や大企業を支える下請け・中小企業の奮闘努力と労働によって得られたものであり、これらを納税というかたちでおおくの人々に所得の再配分を行っていくことは当然のことである。

まともな雇用と労働の創出

 第三は、おおくの働く能力をもった国民が、まっとうな労働の現場で能力を発揮して、働き、まともな収入を得られる雇用、労働環境を整えることである。そのためには、非正規雇用労働を常態化されてきた現行の労働法を大幅に改正し、正社員を基本とする労働条件を整えていく必要がある。
 また、地方で実際に雇用の場を創出していくために、農林水産業の六次産業化や環境産業、モノづくり産業、自然エネルギー事業、地方の特産品づくりなど、それぞれの地域の特色を生かしながら、みずから新たな富を作り出していく動きをバックアップすることである。こうしておおくの勤労国民がみずから生活の糧を稼ぐことができ、地域を活性化させることができれば、国内経済を適切に活性化し、税収も増えていくという好循環が生まれるであろう。
 解散総選挙にあたってはこうした社会のありかたについて議論をしていこう。






 

 『労働通信』は、現代の労働者が直面する問題や日本と世界の労働運動について隔月刊で編集、発行している雑誌です。

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投稿者: rodo-info 投稿日時: 2012-12-2 18:20:00 (2148 ヒット)

TPPと労働問題
(「労働通信」2012年1月号の記事より)





 前回の菅政権の時よりも事態が進んでいるので、二回目のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)特集を企画する。
 TPPは当初シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの四カ国加盟で発効した経済連携協定(EPA)だった。そこにアメリカがアジア地域のみの経済ブロック化に警戒してノコノコと入り込んできた。「障壁の撤廃」を叫んでアメリカ一国のみの利益をもとめている。
 大勢の反対者を差し置いて韓国ではFTA(自由貿易協定)が批准され、野田政権もTPP交渉に積極的な姿勢を見せている。具体的な仕組みが明らかになりつつある。
 米韓FTAの現状はどうなっているのか、TPPが労働者にどのような影響を与えるかについて考えてみたい。



  ――米韓FTA(自由貿易協定)――

アメリカ企業に骨までしゃぶりつくされる

 アメリカと韓国のFTA(自由貿易協定)締結交渉は○六年二月に開始され、一一年一○月にアメリカで批准された。あとは韓国側の批准だけとなり、与党ハンナラ党は緊急招集された国会でFTA批准同意案を野党の反対を押し切って強行採決し成立させた。李明博大統領は閣僚会議でFTA関連法案に署名。批准手続きは完了し、この一月に発効となる見通しであり、条約に沿って五年以内に九五%の品目への関税が撤廃される。韓国政府系機関は関税撤廃において両国間の貿易が活発化したとする試算では、韓国の国内総生産が五・七%伸びて、雇用が三五万人も増加する見込みで、米国側も七万人の雇用創出を狙っている。
 ちなみに、二○一○年の韓国の貿易は四一九億四○○万ドルの黒字になっている。同年の輸出が四六六三億八四○○万ドルで、たいする輸入は四二五二億一二○○万ドルだった。しかし、現在韓国は貿易が黒字だと言っても、電子機器や自動車を作るために日本から工作機械や半導体材料などをおおく輸入しているので対日貿易は三六一億二○○○万ドルの赤字となっており、差し引き利益の約八八%が日本への利益として消えている。 
 韓国としては二・五%の米国自動車関税をゼロにし、自動車など対米輸出でライバル関係にある日本を追い抜き、引き離す契機であり、FTA批准はどうしても欠かせないのである。また、韓国の外交通商省は米韓FTAが発効すれば、中国とのFTA締結交渉も視野に入れており、すでにFTAを発効済みの欧州連合(EU)やチリ、インドなどと今回の米国を含めれば貿易総額の三六%になるFTA締結相手国との貿易額がさらに拡大していく。

アメリカに有利な協定内容

 米韓FTAで韓国が期待するほど恩恵を得られるかと言えばそうではない。韓国内の推進派と反対派の争いを見れば明らかである。
 FTAに反対の野党民主労働党議員が国会に催涙弾を持ち込んで破裂させたり、それまでにデモ隊が国会に乱入して多数が逮捕される事件、反対する韓国の全国農民会総連盟のメンバーらが地方の与党ハンナラ党国会議員の事務所を占拠して事務所前で抗議集会を開くなどの争乱があり、強い反発が国内にあることがうかがえる。民主労働党は「韓米FTA自体に反対しているわけではない。国民にあたえる影響をできる限り少なくし、国益を守るのが政治だ」と主張して、アメリカとの品目の再交渉をもとめている。
 この主張はもっともだ。アメリカはリーマン・ショック以降経済の疲弊を起こし、一○%前後の失業率を出している。オバマ大統領は輸出を拡大して雇用を増やすと公言した。主な目標は日本と韓国の市場である。だから米韓FTAは公正なものでもないので強い交渉力が必要である。特に野党の警戒感がつよいのはFTA条項にある「国家と投資家の間の紛争解決手続き(ISD)」だ。
 それもそのはず、たとえば米国の企業や投資家が期待した利益が得られなかた場合、あるいは不利益を被ったとき、その国の政策が原因となれば第三者機関に訴えられるというものだからである。指摘された政策が公共の利益のために必要なのかどうかの審査などはない。まるで強盗に入った家で家人が警察に連絡して逮捕のうえ投獄されて自由をうばわれたのはこの家人のせいだ、と訴えられたようなものだ。ISDとは実にアメリカ的な制度である。民主労働党はISD撤廃を掲げての闘いを決めている。
 ある日本の国会議員が米韓FTAが公正でない実態をネットで暴露しているとおり、アメリカ一国が相当な利益を得る制度になっている。
 例えば自動車。安全基準などのいろんな韓国内基準がアメリカ産自動車では一部免除され、コストがかからず米国メーカーは喜ぶ。トラックの二・五%関税についてアメリカ産は撤廃されるが韓国産のトラックは八年間存続で米国メーカーは喜ぶ。米医薬品の認定が韓国側の検定などで遅れたり、薬の価格を低くすることは許されないので米国メーカーは喜ぶ。アメリカが重視している公益の保険関係は三年以内に民間保険と同じあつかいになりメリットが乏しくなる。その大事な資金が流れて市場を奪取できて米国企業は喜ぶ、などである。また、韓国が規制を緩和してアメリカが傍若無人なことをしても元にはもどせない。アメリカの企業は韓国法よりも米国法を優先する。そして逆の立場はありえないのである。




乗り遅れるなと焦る日本

 わが日本はこの一方的FTAをどうとらえているのだろうか。催涙ガス騒動以外、まったくこれに対する報道を見たことがない。あくまでも、ライバルの韓国にたいして対米輸出に有利な条件を得ることしか頭にない模様だ。「わが国も乗り遅れるな」と米韓FTAに焦りを隠さない。それはそうだ。空前の円高である。政府もなすすべがない。それに東日本大震災による大きな影響もあって、アメリカ自動車市場では激しく韓国に追いあげられている。今後ますます韓国製品の対米輸出が増加すれば日本のそれは二○年までに自動車、半導体材料、工作機械の三分野で一兆五○○○億円減少すると経済産業省は試算している。
 自動車メーカーの工場が立地する地域では、北米向けの輸出が鈍ると命取りになりかねず、地域経済への影響ははかり知れないと強い懸念をしめした。日本の対米貿易はわずか一四%で韓国にくらべて交渉は立ち遅れているが、関税撤廃で製造業を活性化でき、雇用拡大につながると期待している。
 将来、日本を含む一〇カ国が参加したTPP(環太平洋連携協定)は事実上の対米FTAだといえる。このTPPに期待する日本政府は、「まず交渉に早く参加して有利なルールを勝ち取るべき」「不利になる事項については、譲らなければよい」とも言ってきた。内閣府などはTPPに参加すれば実質GDP(国内総生産)が○・四八から○・六五%の増となると試算している。日本経団連は「日本は貿易・投資立国の立場を堅持し、TPPへの参加を急ぐべきだ」と積極的参加を主張している。「参加しなければ日本は部品と製品の国際的なサプライチェーン構築におくれを取ってしまう」と警戒感をしめして政府の尻を叩いている。さらに、TPPはアジア太平洋自由貿易圏構築につながる重要な協定であり、参加しなければ売り上げが減り、国内の生産拠点を海外に移さざるを得ないと主張している。

日本が得られるものは?

 しかし、TPPの交渉参加で日本が得られるものなどあるのか。
 TPP発効での関税撤廃は一○年後で、高い水準の自由化を目指している。これまで保護してきたコメを含め九四○品目の関税撤廃をもとめられ、外国(米国)から大量の低価格商品が入ってくる。消費者の立場を貫く人は「TPP歓迎」だと言うが、消費者も何らかの生産に関わっていれば、たちまち安い製品に負かされて倒産・失業に陥る。米韓FTAの中身を見ればとても歓迎できなくなるはずである。
 さて、オバマ米大統領は中国にたいして「経済問題で国際社会のルールを順守する必要がある」との見解をしめしたことがある。中国外務省の高官は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議後の記者会見でオバマ発言について「まず、どの規則についてかを確認する必要がある。もしその規則が合意のもと共同で策定され中国もそれに関与しているのであれば中国は順守する。仮に規則が一国か、もしくは特定の複数の国によって決定されたのであれば中国には順守する義務はない」とのべた。まったくもってそのとおりである。日本も(韓国も)、中国のしたたかさを見習うべきである。



  ――TPPの労働分野への影響――

労働分野の規制緩和を許さず、中核的労働基準を守らせる闘いを

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)をめぐっては、農業や医療、健康保険制度などが大きな問題となっているが、労働問題への影響についての議論はまだ多くはない。TPPについて基本的に推進の立場をとっている連合や金属労協の考え方を批判的にとらえながら、この問題を考えてみたい。

TPP推進の連合・金属労協はどう考えているか

 連合は、二〇一〇年一〇月に「政府の『経済連携の基本方針』策定に対する連合の考え方」をまとめ、「中核的労働基準の遵守、安易な人の移動の制限、強い農業の構築等への留意を前提」として、TPPを推進するよう政府・民主党に求める立場をとってきた。二〇一一年一一月に野田首相が、TPP参加へむけて関係国との協議に入るとの見解を表明したことにたいしても、「是としたい」としたうえで、「TPPに関する政府の説明不足が国民各層から指摘されており、各分野における懸念も払拭されていないことから、政府の情報開示はもとより、国内対策、さらには、国民的な合意形成への道筋を示すことが大きな課題である」と述べている。
 連合のなかでも、TPP推進の急先鋒となっているのが電機、自動車、鉄鋼などの輸出産業の労働組合でつくる金属労協(IMF・JC)ある。金属労協は、。圍丕个砲茲辰藤藤圍繊兵由貿易協定)をさらに促進し輸出産業の基盤を強化していくという観点と、■圍丕个里覆で「中核的労働基準の確保」が盛り込まれる方向であり、労働条件を引き下げられることはないという主張を展開している。

自由貿易の推進

 ,了訶世砲弔い討蓮一〇月二六日に開催された「TPP交渉への早期参加を求める国民会議」シンポジウムで若松英幸金属労協事務局長が次のように述べている。
 「グローバル経済のなかで、日本のものづくり産業はどのような方向で生きていくか、われわれとしては、海外の消費地生産、あるいは消費地の近くの拠点国での生産がいっそう進んでいくことを踏まえつつ、やはり国内としては、研究・開発拠点、マザー工場、最先端・高機能・高品質製品の生産拠点、高度素材・部品の供給拠点としての役割を引き続き果たしていきたいと思っております。そうした場合、日本企業のサプライチェーンが、TPPというひとつのFTAの傘下に集うということの意義は、非常に大きいと考えます。東日本大震災によって、日本からの素材・部品供給がいかに重要かということが再認識されました。リスク分散の観点から、見直しの動きもあるようですが、われわれとしては、何とかその地位を保持していきたい。TPP参加は、そのための重要な環境整備であります」。

中核的労働基準を守らせる

 また、若松氏は、△了訶世砲弔い銅,里茲Δ暴劼戮討い襦
 「私どもの組織IMF・JCの『IMF』とは、国際金属労働組合連盟の略称であります。世界で二〇〇〇万人の組織人員を数え、私どももその主要なメンバーであります。IMFは、ILO(国際労働機関)加盟国に義務づけられている中核的労働基準、すなわち結社の自由・団体交渉権、強制労働の禁止、児童労働の廃止、差別の排除という四つの項目を、世界であまねく確立する運動にとくに力を入れておりまして、私どもも積極的に参画しております。」
 「TPPでは、貿易・投資の促進を目的とした労働基準や環境基準の緩和の禁止、中核的労働基準の遵守、国際的環境基準の遵守などが盛り込まれる方向と認識しております。TPP参加国の長期的かつ持続的な発展、社会的な公正が確保された成長、健全な市場経済を実現するのに、大きな前進と言えるのではないかと考えております。従来、国際労働運動の世界では、自由貿易やFTAに対し、どちらかというと消極的な姿勢が見られたことは事実です。しかしながら、EU・韓国FTAの合意以降、そうした雰囲気は大きく変化しております。IMF(国際金属労連)では、この八月にTPPに関する声明を発表しておりますが、この中でも、TPPは、貿易を通じて雇用を拡大し、社会的保護を改善し、生活水準を引き上げるための『新たなフレームワーク』である、と評価しております。」
 たしかに、TPPのなかで投資・貿易を促進はしても、労働条件は引き下げないことが制度的に保証されれば労働者にとって有利なことではある。だが、ことはそのように簡単に進むとは限らない。

労働分野でのTPP交渉はまだ不透明


 現行のTPP加盟国の間で進められている交渉では、分野別に二四の作業部会が設置されており、その一つに「労働」も含まれている。当初は設けられていなかったが、アメリカの要求によって設置された。はたして、そこで何が論議されているか。
 日本政府が二〇一一年一〇月にまとめた「TPP協定交渉の分野別状況」によると、労働分野の「交渉で扱われる内容」は、「貿易・投資の促進を目的とした労働基準の緩和の禁止や国際的に認められた労働者の権利の保護等が主たる目的となっているが,米国が今後条文案を提案する段階であり,現時点では,独立した章とするかを含め、合意はない模様」と書かれている。
 また既存のFTAではどうなっているかというと、アメリカが締結したFTAおよび、ニュージーランド・マレーシアFTAには、労働に関する規定として、々餾殤働機関(ILO)加盟国としての義務を再確認する、∨念廖ε蟷颪梁タ覆鯡榲とした労働基準の緩和(労働者の権利保護の水準の引き下げ)は不適当であることを確認する、9餾歸な労働に関する約束と国内法の整合性を確保しかつそれを効果的に実施する、ざ定の規定の解釈や適用をめぐり問題が生じた場合の協議、紛争解決手続の適用について定める等の規定が盛り込まれている。
 アメリカが、各国とのFTAを締結するにあたって、労働条件を引き下げないことや労働者の権利保護への合意をわざわざ積極的に要求しているのはなぜか。それは、アメリカの貿易相手国が低賃金労働によってコストの安い製品でアメリカへの輸出攻勢をかけることを牽制するためである。それは、労働者、労働組合にとっては有利なことである。

労働分野の規制緩和要求

 だが、『国家の存亡――「平成の開国」が日本を滅ぼす』の著者の関岡英之氏は、「米国のグローバル化戦略は、すでに『貿易から投資へ』と重点がシフトしている。貿易戦略においては、米国は製造業の立場で『労働』分野をとらえていた。相手国の労働者の権利を強化することが米国の国益にかなっていた。しかし投資家の立場においては米国の論理は一八〇度逆転する」と指摘している。
 すなわち投資家として、企業へ投資したり、買収したりするのは、短期的に最大限の利益を得たり、企業の売買で莫大な利ザヤを得ることである。そうした投資家の立場からすれば、労働者や労働組合の権利が弱く、労働条件が悪ければ悪いほど良いということにある。
 その例として、関岡氏は一九九八年一〇月にアメリカが日本に要求した「対日直接投資環境の改善に関する米国政府の提言」を挙げている。ここでは労働分野に関しては、ヽ猟蟲鮟佛金(四〇一K)の導入、⇒料職業紹介事業の規制撤廃、O働者派遣事業の自由化、は働基準法の緩和などを要求していた。これらの要求にそって、労働者派遣法をはじめ労働法の大幅な改悪が相次いですすめられ、非正規雇用労働者が増えてきたことは周知の事実である。
 二〇〇六年の「日米投資イニシアチブ報告書」では、労働分野に関しては、]働者派遣法のさらなる緩和、確定拠出年金のさらなる規制緩和、「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」(ホワイトカラー労働者には残業代を支払わない制度)、げ鮓枴響茲悗龍眩的解決の導入――などが要求されている。これらは、まだ実現していない分野であるだけに、TPPの労働分野の交渉のなかでアメリカが強力に要求してくる可能性があると思われる。
 多くの人々が指摘するように、TPPは、日本農業への致命的打撃をあたえるだけでなく、他分野にわたってアメリカ型のルールを導入し、国民皆保険制度への打撃をはじめ、貧富の格差拡大をいっそうひろげかねない、また、輸出拡大というが最大の輸出先であるアメリカの関税は十分低くなっており、さほどのメリットはないこと。また、アジアとの経済連携に混乱を与えかねないことなど、いま積極的に推進するメリットはほとんど見込めない。
 労働問題でも、アメリカ型の規制緩和を押し付けられる可能性が高く、TPPへの参加は基本的に反対すべきである。そのうえで、TPPに参加するしないにかかわらず、グローバル化のなかで国際的な企業間競争が激しくなるなかで、ILOで義務付けられている「中核的労働基準」を各国で順守させるたたかいを、労働組合の国際的な連帯のなかで発展させていく必要があるだろう。





 

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投稿者: rodo-info 投稿日時: 2012-12-2 18:10:00 (761 ヒット)

夏を越え冬を迎える原子力政策
(「労働通信」2012年11月号の記事より)





 この夏、大飯原発を動かさなくとも電力不足は回避できたという検証結果が出た。要因として家庭や企業の節電意識の向上だと分析され、二年前の夏の消費電力と比べて一一%も減少したからである。結果論となるが、大飯の稼働分二三六万Kwは全く不要であった。もちろん、「計画停電を実施する。電気代も高くなる」という脅迫の影響もあって、脱原発に疑問を感じたり、死ぬ思いで節電した人もいたことは間違いないが、「原発無し」で暑い夏を乗り切ったという事実はいかに人人は原発依存からの脱却を意識していたかを物語るものである。

 ところが野田内閣は「原発に依存しない社会の一日も早い実現」と、三○年代に原発ゼロ、もんじゅ廃炉などを掲げた「革新的エネルギー・環境戦略」素案を明らかにしたものの、米国や経営者団体からの圧力によって早々に「大間原発の建設工事再開」「もんじゅは研究炉として継続開発」と軌道修正してしまった。

 今回は、原発をめぐるウソ、脱原発を国の基本政策としたデンマークの経験、処分方法が見つからない放射性廃棄物などを特集した。




  ――「電力が足りなくなる」「C〇2は出さない」――

見抜かれつつある原発をめぐるウソ

 昨年の三月一一日の東日本大震災で、原発の「安全神話」はもろくも崩れ去った。今年の夏は、大飯原発以外の原発が完全に停止し、「電力危機」が騒がれたが、この騒動のなかで、いろいろな「うそ」が電力会社、財界、政府から宣伝された。しかし、この「うそ」は、多くの人たちに簡単に見抜かれている。


この夏、電力が足りなくなる?

 今年七月一八日付の中日新聞はつぎのように報道していた。
 「政府の節電要請から一六日までの二週間の関西電力管内の電力需給で、最大需要は二三〇一万キロワットにとどまり、出力一一八万キロワットの大飯原発三号機(福井県おおい町)が再稼働しなくても、供給力を九%下回っていたことが分かった。猛暑となり一七日の最大需要はこの夏一番の二五四〇万キロワットに達したが、一〇%以上の供給余力があった。政府は夏場の電力不足を理由に強引に大飯原発の再稼働に踏み切ったが、節電効果など需要の見通しの甘さが浮き彫りになった」


原発を止めると産業が空洞化する?

 「原発を止めると産業が空洞化する」ともいわれる。しかし、産業の空洞化は、原発が稼働真っ盛りの時からおこっている。日本では人件費が高い、生産性が低いと称して、中国や東南アジアアフリカへ進出したのは、原発が停止してからではない。皮肉なことに産業が空洞化し、日本から生産部門が海外へ行けば行くほど、電力の需給バランスが崩れ、電力が過剰になってきたと言うことである。財界の連中は、いくら人をだますにしても、余りにも子どもじみている。


原発はCO2を出さない?

 「原発はCO2を出さない」というのもウソである。二〇〇九年四月三〇日付の「しんぶん赤旗」ではつぎのように報道した。

 「日本の原子力発電所や核燃料製造施設などから、中規模火力発電所一カ所分並みの年間約八二万トンの温室効果ガス(CO2とフロン)が出ていることが、経済産業省と環境省の『温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度』(二〇〇六、〇七年度)の集計データから分かりました。このデータは本紙が情報公開を請求して入手したもの」

 これらのCO2は、核燃料製造や使用済み核燃料の処理、保守点検・放射性物質管理などで大量の電力消費が必要なことから排出されたものである。この八二万トンという排出量は、運輸・郵便部門の事業所(約九十万トン)につぐ規模である。


原発止めると電気料金があがる?

 確かに再生可能エネルギーや水力・火力の比率を高めれば、石油や石炭の依存が高まり輸入代金の高騰につながり、これがはねかえって電力料金が高くなる可能性もある。

 しかし、ここに落とし穴がある。問題は電気を使う器具である。 エアコン、照明器具、洗濯機にいたるまで今は全て省エネタイプである。まして燃料電池や太陽光発電、蓄電池技術が発展すれば、自分の家で発電し、消費するという形ができる。そうすれば電気を電力会社から買うこともなくなる。つぶれていくのは、むしろ電力会社の方ではないだろうか。



  デンマークの脱原発政策への歩みから学ぶこと

国民的対話、大衆行動、市民発電所の3つの原動力でエネルギー政策を大転換






 福島第一原発の事故をへて、原発に依存したエネルギーや社会のあり方について日本でも大きな国民的議論がまきおこり、脱原発を求める世論が高まるなかで、政府は二〇三〇年までに原発をゼロにするという「革新的エネルギー・環境戦略」を決定した。しかし、財界やアメリカなどの原発推進勢力からの巻き返しが強まるなかで、野田政権はこれを正式に閣議決定せず骨抜きにし、大間原発の建設再開にもゴーサインを出してしまった。

 だが、原発をめぐる国民的議論はまだ始まったばかりである。推進勢力の巻き返しがあれば、それを上まわる脱原発の世論をまきおこし、中間的な意見をもつ人人を獲得し、原発推進の意見をもっている人人とも対話し、説得し、脱原発の政策を定着させていくことが求められる。

 そのうえで、一九七〇年代から八〇年代にかけて、国民的な大論議の末についに原発推進政策の放棄と自然エネルギー中心のエネルギー政策を決定したデンマークの経験は大いに参考にすることができる。


国民的議論と対話

 デンマークでは一九八五年に原発のないエネルギー政策を正式に決定し、風力を中心とする再生可能エネルギーの普及に力を入れている。九〇年時点で一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率は六・二%にすぎなかったが、二〇〇九年には一八%まで増加している。とくに南部のロラン島 (人口約六万八〇〇〇人) は早くから風力発電の導入を進めており、 島内の電力需要をすべて風力発電でまかなっているだけでなく、島外へも送電している。

 デンマーク国会は今年三月、再生可能エネルギーの比率を二〇二五年までに四五%、二〇五〇年までに一〇〇%とする新エネルギー法を可決している。


まず情報を知るところから

 だが、今では再生可能エネルギー先進国となっているデンマークでも、一九七三年のオイルショックをきっかけに原発推進の動きが活発化していた。一九七四年には電力会社が原発建設の基本方針を決定し、リン国立研究センターもグリーンランドでのウラン鉱脈の調査を開始した。

 これにたいして、原発建設に不安をもつ市民の活動もスタートし、一九七四年に二〇代の若者が中心になって「原子力情報組織(OOA)」という環境NGOを立ち上げた。当時は原発について十分知られていなかったこともあって、最初の三年間は情報収集期間ととらえ、安全性、経済性、地域における影響、使用済み核燃料の処理方法など、まずは疑問点を整理して、それについて内外の情報をあつめて、「原発とは何か」を広く情報提供することに専念した。政府にたいしても三年間は原発開始の決定を待って欲しいとモラトリアム(猶予)を求めた。こうした活動のなかで、事故の危険性や使用済み核燃料の処理方法がないことなど、おおくの問題点がうきぼりになってきた。

 このなかで、「原子力? 要りません」と書いた、にっこりした太陽マークのステッカーが使われるようになった。ここには、反原発を声高にさけぶよりも、意見の違う人人とも平和に対話しながら、自分たちののぞむエネルギー政策を自分たち自身で選びとろうとするメッセージがこめられていた。


政府も国民的議論を促す

 政府も、エネルギーをめぐる情報を提供し、国民的議論をおこしていく組織として、一九七四年に「エネルギー情報委員会(EOU)」を発足させた。これは、最近、日本の政府が長期のエネルギー政策として三つの選択肢をあげて国民的議論をおこしたことの先駆けであったといえる。だが、当時のデンマーク政府の本音はこの組織をとおして原発推進の世論作りをおこなうことだった。

 ところが、事務局長に任命されたウフェ・ゲアトセン氏は自然エネルギー、代替エネルギーに強い関心をもつ人物であった。商務大臣はこの人選に介入しようとしたが、デンマークでは委員会の政治的独立性が保証されているため、ゲアトセン氏が事務局長とすることが決まった。

 このもとでEOUが取り組んだ活動の一つが、地域でエネルギー政策について情報をあつめ、議論する組織に補助金を出す仕組みづくりであった。二十代の若者が立ち上げた環境NGO「原子力情報組織(OOA)」も、こうした補助金をうまく活用して、全国的な組織づくりや映像、パンフレットづくりなど会費やカンパだけではまかなえなかった活動を展開することができた。

 二つ目の取り組みは、国民がエネルギー政策について学べるためのパンフレットを作ることであった。原子力については、賛成、反対の両方の論客の意見を平等に掲載した。まず、両者の共通した意見を最初にしめし、その後、両者の異なる部分についてページを二分割して、並行して文章を掲載する構成とした。

 しかし、こうした活動は政府としては面白くなく、EOUの活動は一九七六年には停止せざるを得なくなってしまった。そして、政府と国会議員の多数派は、この年、原発建設にゴーサインを出してしまった。国民的議論を押しつぶして、何が何でも巻き返しを図ろうとする最近の日本の原発推進の動きとも似ているようである。


大衆的運動で巻き返し

 これに対し環境NGOのOOAはパンフレットづくりや講演会、討論会、デモ行進など具体的なアクションを急速に活発化させていった。OOAの支部が全国三〇〇カ所にできあがり、冊子が全国的にひろがっていった。世論調査でも原発を支持する層がわずか九%へと減少していった。このようななかで政府は、七六年八月に原発利用の決定の無期限延期を決めざるを得なくなった。

 翌七七年には隣国スウェーデンのバルセベック原発の建設反対のデモに二万人が参加。OOAがバルセベック原発で深刻な事故がおこった場合、二万人のデンマーク人がガンで死亡するリスクがあるとの調査結果を発表し、大きな反響を呼んだ。七八年八月末にはユトランド半島のギュリネンスからオーフスのあいだと、シェラン島の原発建設予定地であったステウンからコペンハーゲンまでデンマーク最大の反原発デモが行われた、五万人が参加。 政府は原発利用の決定を再び延期せざるをえなくなった。

 こうしたなか七九年三月にアメリカでスリーマイル原発の事故が発生した。OOAはさらに大規模な反対運動を展開。「原発のないデンマーク」という情報誌をボランティアの協力を得てデンマークの全戸にあたる二〇万部を配布した。こうしたなかで、一九八五年三月、ついにデンマーク政府は原発のないエネルギープランを正式に決定するにいたった。
 いま、日本でも毎週金曜日に首相官邸前や各地の電力会社前で脱原発を求める大衆行動が継続されているが、こうした運動がさらに大きな規模でひろがるなかで、政府を動かしていったと言えるだろう。


自らエネルギーを作って行く動き

 原発反対の運動が広がる一方で、デンマークでは風力発電によって市民自らがエネルギーを作り出していく事業がはやくから取り組まれてきた。

 一九七三年のオイルショック直後に、トゥビン・ホイスコーレ(成人学校)が、電力と熱の自給を目指し、一メガワットの風力発電機を建設した。 政府や大会社の決定を待たずとも、一般市民の手でみずから望むエネルギーをつくりだせるはずとの確固たる信念をもった行動だった。それは、デンマーク各地に大きな影響を与えた。

 その後、経済学者のプリベン・メゴー氏が加治屋と提携して、「鍛冶屋風車」と呼ばれる簡易風力発電機の第一号機を完成させた。これが、デンマークの風力発電の普及に大きな役割を果たした。
 現在、風力発電によって一〇〇%以上の自給を達成しているロラン島では、かつての基幹産業であった造船業が不況となり、地域経済が衰退する中で、世界的な風力発電機メーカーであるヴェスタス社を地元に誘致し、再生可能エネルギーの普及と地域の産業や雇用の創出とを結び付けていくこともできた。


脱原発を進める三つの原動力

 こうしてみてくると、デンマークでもかなりの紆余曲折を経ながら脱原発の国民的合意を作り出してきたことが分かる。そこで、反原発派が力をつけてきた原動力となったのが、国民的な規模での議論と対話、大衆行動、そして市民自らが発電をおこなっていく事業――の三つであったようだ。日本では今、原発推進勢力が必死の巻き返しを図ろうとしているが、原発反対勢力もこの三つの原動力をかつてなく身につけているように思える。

 第一は、政府が今回の「革新的エネルギー・環境戦略」の作成にあたり、「一握りの人々でつくる戦略」ではなく、「政府と国民が一人一人の意見、不安、願いに虚心に耳を傾けあい、さまざまな主張を深く理解しあうことで策定される」として国民的対話をよびかけ、各地での意見聴取会、討論型世論調査、パブリックコメントの募集などをすすめたことである。その仕組みにはさまざまな弱点が指摘されているが、パブリックコメントには約九万人もの人々が自らの意見を寄せたことがかつてないことである。フェイスブック上にも「原子力発電をめぐる賛成派と反対派の建設的対話」を試みるページが開設されている。原発立地地域では、これまで原発やその関連産業に依存して生活してきた人々と、原発にかわる新たな地域産業や雇用をどうしていくかを議論することも必要になってくるだろう。

 第二は、いうまでもなく、毎週金曜日に全国でとりくまれる脱原発の大衆行動である。

 第三は、各地域で太陽光発電、風力発電、小規模水力発電などをつかって取り組まれている「市民発電所」的な動きである。再生可能エネルギー固定価格買取制度が出来たことはこの動きを加速している。こうした状況は、大衆行動だけに依存したかつての反原発運動とはかなり様相が違う。保守層のなかでも原発をめぐって意見が割れている。

 この三つの原動力を強めながら、脱原発を確固たる日本の政策としていくため、粘り強い行動が今後ますます必要となってくるだろう。





  ――未来を託すべきでないモノ――

行き場のない放射性廃棄物ー核燃料サイクルも危険で展望なし

 政府は九月に「革新的エネルギー・環境戦略」で、「原発ゼロ」の戦略を掲げたが、その時点でもう「核燃料再処理事業(核燃料サイクル)は継続」することを明らかにしており、大いなる矛盾だと各方面からの指弾を受けていた。


再処理の見通しつかず放射性廃棄物はたまる一方

 放射性廃棄物の最終的な処分技術は今だ完成していないが、とりあえず青森県の六カ所村にこれまで約二兆二○○○億円を投入して核燃料再処理工場を建設してきた。しかし、二○○一年からさまざまな再処理試験が順次おこなわれているが、優れた日本の技術を持ってしても原子の力を制御することはできていない。

 この「再処理」とは、核分裂するにしたがって中性子を吸収する生成物が増えて溜まって核反応しにくくなった核燃料(使用済み)から、新たにプルトニウムやウランを分離処理して取り出すことであって、けっして核物質を無害なモノにすることではない。それどころか、再処理過程では大量の放射性物質が発生する。そして、生成物そのものや処理に使われた溶剤が再処理後の高レベルの廃棄物となって手元に残るのである。

 国内の原発から再処理工場に運ばれた「使用済み核燃料」は、初めに放射能を弱めるためにプールに冷却貯蔵されるが、まず大きな問題がここにある。その貯蔵プールは今、二九一九トン分使用されており、今年度には九州の玄海から原発三つ分を受入れなければならないので総量は二九三七トンになって後わずか六三トンでこのプールは満杯になる。





 この再処理工場が完成すれば最大処理量は年八○○トンになる計画なのだが、トラブル続きで計画通りにはいかないようで、完成する来年の予定は八○トン。それもうまくいって稼働は一四年からである。それに、全国各地の原発には使用済み核燃料が大量に溜まっていて、さらに原発再稼働が始まればどこもかしこもいっぱいになってしまう。

 問題はそれだけに終わらない。再処理試験で発生した高レベル廃棄物はガラス成分と混ぜてステンレス容器に詰められる総重量五○○圓痢屮ラス固化体」(処理料含めて一本約七五○○万円)にして冷却貯蔵されていて、その数一○年度時一三三八本。再処理が本格的に始まれば年間一○○○本づつ増えていくと推定されている。





 現在未処理の分を再処理するだけでも実に七万本になると計算する人もいる。しかも恐ろしいことにこのガラス固化体は非常に強い放射線を放ち、容器に人が近づけば二○秒で死亡する。そんなモノが今後大量に生産され、三○〜五○年保管管理しなければならない。その後のことについては、深さ約三○○丹幣紊涼倭悗頬篷彌菠して数万年以上に渡り人間界から隔絶すれば良いと日本政府は考えている。



運用終了後の原発解体も問題


 さらに、これから発生する重大な課題がある。それは運用終了した原発の解体だ。一○○万腺弋蕕硫鯊里任呂よそ三○年の必要期間と、約五○○○億円の費用が見積もられている。それだけでも大変だが、放射能を帯びた原子炉や格納容器そのものが膨大な量の放射性廃棄物であり、それをどこに、どのように処分するかはなにも決まっていない。

 それはなぜか?。電源開発費の甘い汁を沢山味わってきた輩たちが「課題は運転しながら考えれば良いこと」と気軽に重要問題を先送りしてきたからである。私たちは思う。そのツケを、未来の人達にゆだねることは現代人としてけっしてやってはいけないことだと。






 

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