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新卒者の内定取り消し・・・ 投稿者: えんどう たかし 投稿日:2008/12/10(Wed) 23:39 No.1414  
 新卒者の内定取り消しが相次いでいるが、この内定の取り消しというのは解雇の法理と同様、合理的な理由が無ければならないとされる(内定を受けこれに合意した段階で、その後の就職活動を停止するのであるから、この時点で労働契約の成立とみるべきだからだ)。
 また、新卒者は、労働市場法上でも最優先に就業の機会が与えられる特別な法律上の利益を有するところである。
 その理由は、新卒者は毎年学校から社会に多数送り出されることから、就業先を確保しなければ毎年大量の失業者が輩出されて、失業者が毎年累積することになり、中途失業者・離職者との間で職の奪い合いが発生し、ひいては社会不安をもたらす要因ともなりうる。したがって、新卒者の就業先を確保することは、職を求める新卒者の利益のみならず、社会全体の利益にもなるからである。
 また、社会人としての出発点であることから、これらの新卒者を社会が職業人として温かく迎えることは社会全体の利益・幸福とも合致する(それが福祉国家の理念であったはずだ)。

 内定の取り消しを行った企業は、配当金の減額はもとより、資産の売却、役員人事の合理化(経営責任の明確化)や役員報酬のカット、既存社員の減給やボーナスカット、希望退職等、十分なリストラを行ったという実績を示すべきである。
 それでも、その分の社会的信用失墜を当該企業が背負うこととなろう。何せ、“新卒者を労働市場から自分の池に囲い込んでから捨てる”という不公正な行為は、職を求める新卒者の個人法益に反すだけでなく、明らかに社会にとっても不利益なのである。
 


Re: 新卒者の内定取り消し・・・ 投稿者: 管理人ラム 投稿日:2008/12/13(Sat) 10:14 No.1415  

一応、「内定」をもらったら、もう就職活動はしないわけですから、その会社から「内定」をもらったあとに、もっといいチャンスがあっても、そちらは蹴っている可能性もわるわけですね。そこまでしていたのに、「内定」を取り消されたら大変なことです。ましてや、今頃の時期になってから「内定」を取り消され、また、一からシューカツのやり直しではものすごく不利な状態に置かれますね。


Re[2]: 新卒者の内定取り消し・・・ 投稿者: えんどう たかし 投稿日:2008/12/14(Sun) 21:24 No.1416  

 >その会社から「内定」をもらったあとに、もっといいチャンスがあっても、そちらは蹴っている可能性もわるわけですね。<

 内定をもらうということについては、2段階に考えられます。
 つまり、ヾ覿搬Δ該当する学生に採用意思を伝え、△修慮紂該当する個別の学生が卒業後に就職(労働契約=一般には採用通知後にそれを受け取った労働者側(あるいは学生側)が契約を承諾)をするという意思を伝える段階です。
 「◆廚涼奮で、法律上「双方の意思の合致」があったとみなされるわけです。つまり、この段階で労働契約が締結されたとみる訳です。これを最近は『始期付解約権留保付労働契約』と呼んでいるようです。
 >蹴っている可能性<・・というより、この場合内定の承諾ですから、他のチャンスをを蹴っているのです。
 平たく言えば、求職する学生側は「卒業後は御社で働きます」、求人側の企業は「卒業後は貴君を我が社で雇用します」という契約なんですね。これは誰が見ても完全に契約でしょう。

 さらに、学生における新卒と、企業における初年度定期の長期採用は、双方の求職・求人活動の時期が一般に同一時期に行われ、且つ、上記内定(上記の通り「労働契約」の一種)行為も同様の時期であることから、内定をすることにより双方の労働市場が閉じる(お互いに窓口を閉じる)わけですから、これを一方が破棄すれば、契約違反ということになると考えられます。

 なお、ここで注意が必要なのは、私法上(民法)の契約では、いづれかが契約の解除を申し入れれば契約を解除することが出来るのですが、しかし、ここで考慮されなければならないのは、解約権留保(採用内定取消事由に基づく解約権の留保)が付いていると言う事です。これは「勤務開始時期を明示し、企業にそれを取り消す権利を保留させる労働契約という意味ですが、しかしこの場合、求人側が一方的に解約できるというものではなく、採用内定取消事由というものに求人した側も拘束されるということです。「解約」、すなわち“内定の取消”は、一般に言う『解雇』と同程度のものであると解されています(内定の取り消しは、「採用内定取消事由」に該当する場合のみとされます)。下記最高裁判例ご参照ください。
http://www.jil.go.jp/kikaku-qa/hanrei/data/108.htm

 さらに、私見によれば、これを企業側が一方的に破棄する“内定の取消”は、労働市場(職業安定法の趣旨)から言っても不当であると考えます。
 労働契約を結ぶ以前では、労働者は一身不可分且つ唯一の「労働力商品(つまり一人一つしか持っていないから一度しか売ることが出来ない“商品”)」を、市場で自由に一回だけ売ることが出来ますが、買い手(求人側)が一度これを買い付けるとその商品は市場から消えるわけです。
 しかし、この取引きを解約した場合にはどうなるでしょうか?。その商品が市場に戻り、再度自由に売ることが出来るでしょうか?。
 そうならないのです。つまり労働市場自体が閉じているのです。
 この場合、中途採用などの市場と異なり、新卒採用は双方が一時期且つ大量に採用する特殊な性質を持つのです。
 
 夏季限定の商品(例えば、スイカや桃)を、1軒の農家が生産するすべての量を発注し、既にトラックで自社に向かわせておいてから、これをお盆直前にキャンセルするのと同じなのです。
 これは明らかに不法行為で、市場を独占(他の競争相手を排除)しておいてから、解約を強要する野蛮な行為でしょうね。

 なお、本エントリについては、当方のブログ(下記URL)にて若干検討しておりますので、ぜひご覧ください。ご意見・コメントもお待ちしております・・・。
 http://blog.goo.ne.jp/gooendou_1958/e/93d260f0a10778cae3789523c46ec5de


資本主義の終わりの始まり? 投稿者: しまだ 投稿日:2008/12/04(Thu) 22:17 No.1344  
 「100年に一度の不況」の原因(?)
クリントン政権のブレーンの一人でもあったらしい、カリフォルニア州立大学の経済学教授、ブラッドフォード・ディロングによると、世界の流動的余剰資金(資本)の合計は160兆ドル(1京6000兆円)に達しているという。
 すると、世界各国のGDPの合計は5,400兆円なのでその3倍もあることになる。ちなみに、日本の2007年のGDPは560兆円、アメリカはその3倍ぐらい。
 < http://delong.typepad.com/sdj/2007/08/fear-of-finance.html > (クリックでは開かない? 手入力OK)

 又は、< http://delong.typepad.com/ > をクリック ⇒ archives ⇒ more ⇒ 06.august.2007 ⇒ Fear of Finance

 世界中のGDPを合計した額の3倍もある余剰資金、学者はその大きさが過剰流動性の状態だという。
 ということは、この資本主義世界は、もはや投資するものもないほど「カネ余り」に陥っているということだろう。
 だから、石油やトウモロコシや稀少金属、果ては、焦げ付きそうな住宅ローン、その保険証券などに投資(投機)するのも当然の成り行きかと思う。
 これは、資本主義世界の終わりの始まりのように思える。
なぜなら、人それぞれが豊かになるということより社会経済の発展こそ重要だとする市場原理の「使命」も終わりに近づいたように思えるからである。


Re: 資本主義の終わりの始まり? 投稿者: 管理人ラム 投稿日:2008/12/05(Fri) 21:24 No.1412  

しまださん、ご無沙汰しております。

> なぜなら、人それぞれが豊かになるということより社会経済の発展こそ重要だとする市場原理の「使命」も終わりに近づいたように思えるからである。

経済が発展すれば、GDPが成長すれば、「豊か」になるという価値観で来ましたが、それが豊かなのか、幸せなのか、わからなくなってきています。

ちょっと前まで実感のない「好景気」が続きましたが、一定のGDPの成長があっても、大企業だけが儲けて、働くものはどんどん切り捨て方の非正規雇用になるか、正社員であってもとてつもない長時間労働と成果主義のプレッシャーにさいなまれる。それが、一夜のうちに「大恐慌」。なのに、流動性のカネが有り余っている。

そういうなかで、物事の価値観ががらっとかわり、従来の枠組みがどっと変わりかねない情勢ですね。オバマの勝利も、そういう流れの中で起こったことでしょう。


二重派遣の罪数はどうなるのか? 投稿者: えんどう たかし 投稿日:2008/09/18(Thu) 01:14 No.530  
 ところで、労働局が言うように派遣元と労働者に雇用関係を認めた上で、2重派遣を職業安定法44条違反であるとした場合、罪数はどうなるのであろう?

 先ず、1罪と複数罪の区分という問題がある。これいついては、構成要件充足の数を基準とする「構成要件標準」説(通説)を採用するとして、入り口論では2罪成立の可能性を残すと言う判断だろう。
 そうすると続いて“法条競合”という問題があるように思われる。
 1.特別関係
 数個の構成要件が一般法と特別法の関係に当たるもの(例としては、横領罪と業務上横領罪が挙げられる。)。特別法に当たる構成要件に該当する場合には一般法に当たる構成要件には該当しない。
 2.補充関係
 数個の構成要件が補充・被補充関係に当たるもの(例としては、未遂罪と既遂罪が挙げられる。)。被補充的な構成要件に該当する場合、補充的な構成要件には該当しない。
 3.択一関係
 1つの行為に適用可能な構成要件が複数存在するが、それらが両立しないもの(例えば横領罪と背任罪)。そのうちの1つの構成要件のみに該当する。

 私は、雇用関係が認められる場合、多重派遣でも派遣法違反であると考えているから「1.」の特別関係と理解している。が、労働局は職安法違反とするのであるから、最初の1次派遣が派遣法違反、次の2次派遣が職安法違反であろうか?・・・

 労働局による告発を受けた検察官は、果たしてどのように処理するのであろうか、聞いてみたいところだ。

 派遣法と職安法・・・必要的共犯について

 「豊田兼彦」氏は、『必要的共犯についての一考察(2) 』において「二/特殊問題 −複数の法益を保護する犯罪への関与」の節で、以下のように指摘している。<以下はその引用>

  (1)「構成要件該当結果の惹起」に共犯の処罰根拠を求めるならば、「可罰的な共犯は、正犯行為の不法を構成する利益の『すべて』が共犯者に対しても保護されている場合にのみ存在する(4)」と解するのが、一貫した解釈であろう。一部の法益に関してのみ被害者である関与者も、完全な被害者と同様に、他の法規範に違反しないかぎり、共犯として処罰されることはない。

 (2)複数の法益を「択一的」に保護する犯罪については、被害者的な地位にある関与者も共犯として可罰的と解される余地がある。

 さらに、『第三節/特定の者を構成要件から除外している犯罪−犯人蔵匿罪・証拠隠滅罪』の節で、以下のように整理している。

 (1)判例は、「防禦権の濫用」などを根拠に、これまで一貫して犯人に教唆犯の成立をみとめてきた。
 犯人蔵匿・隠避罪について「単に犯人が逃げ隠れするのと、他人を身代わり犯人に仕立てるのとでは、刑事司法作用を害する程度にかなりの差がある。それ故、自ら行えば不可罰の行為を教唆することが可罰的となり得るのである(7)」とし、証拠隠滅罪について「『被疑者・被告人として政策的に保護すべき範囲』を超えた行為に出た場合には、処罰されることになるのである(8)」とされているのが注目される。<中略>

 しかし、これらの見解に対しては、犯人は正犯として期待可能性がない以上、共犯としてもやはり期待可能性はない。したがって、犯人は教唆犯としても不可罰と解すべきである、とする見解も有力である。<中略> 大谷教授も、「自己が他人を教唆して犯人蔵匿・証拠隠滅罪を犯させるのは、みずからを蔵匿させるについて他人を利用するにほかならず、また、自己の刑事事件につき他人を教唆して証拠隠滅を犯させるのは、自己の証拠隠滅行為について他人を利用するに他ならないから、犯人・逃走者みずからが犯人蔵匿・証拠隠滅を行った場合と同一の根拠で、この場合の共犯を不可罰とするのが妥当である。通説は、犯人・逃走者みずからが犯人蔵匿・証拠隠滅を行う場合と他人にこれを行わせる場合とでは情状が異なるとするが、期待可能性が乏しいという点では同じであると解すべきである」と主張されている。<中略>

 「惹起説」(「共犯者からみた構成要件該当結果の惹起」に共犯の処罰根拠を求める見解)からは、どのように解決されるのであろうか。
 (2)「惹起説」からの帰結    
 「惹起説」とは、共犯固有の不法、つまり「共犯者からみた構成要件該当結果の惹起」を共犯処罰の必要条件とする見解である。共犯の処罰根拠を「共犯自身の攻撃からも保護されている法益の侵害」に求める見解が「惹起説」である、といってもよい。このような見解に立つならば、犯人による自己蔵匿・証拠隠滅の教唆は不可罰となる。これが「惹起説」からの帰結である。 
 もっとも、このような説明の仕方に対しては、「刑事訴追および刑の執行という法益はやはり犯人に対しても保護されているのではないか」との疑問が、ヴォルターとゾヴァダから提起されている。たしかに、法益を「司法作用一般」ととらえるのが正しい理解であるとすれば、彼らのいうとおりかもしれない。しかし、ここで問題となる法益は、彼らが理解するような「司法作用一般」ではなく、あくまで「犯人蔵匿・証拠隠滅罪によって保護されている司法作用」である。そして、犯人蔵匿・証拠隠滅罪の構成要件から犯人が除外されている以上、この法益は犯人の攻撃からは保護されていないと解すべきではなかろうか。<以上引用・・立命館法学 1999年2号(264号)より> http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/99-2/Toyota.htm  <長いので以下省略。>・・・

 上記指摘は非常に重要だと思う。職安法と派遣法について、2つの法律に規定される条文の関係が、特別関係か?、それとも択一関係か?を検討する際に考慮されるべきだろう。

 つまり、職安法で労働者派遣が除外されていることをもって単純に“択一関係”だとしてよいとするのには疑問があり、仮に択一関係であっても、共犯者についての取り扱いは必ずしも単純ではないと言うことだろう。

 派遣元(供給元)と派遣先(供給先)。昨今、世間で騒がれている偽装請負は、どのように処断されるべきなのだろう。そして、派遣法改正議論の中で、これまでの違反ををどのように整理すべきであろう。


職安法44条と労働者派遣法24条の2はいわゆる“択一関係”か? 投稿者: えんどう たかし 投稿日:2008/09/18(Thu) 00:55 No.528  
 労働者派遣、労働者供給とは法的にどういうものであろうか?

 「派遣法第2条第1号・自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする」。
 これに対し「職安法第4条第6項・労働者供給とは、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、派遣法第2条第1号に規定する労働者派遣に該当するものを含まないものとする」。

 それでは、派遣元と雇用関係が認められる労働者(事実、労働局は派遣法に違反していても派遣元と労働者との雇用関係は認められるとている)を2重派遣した場合は如何であろうか。即ち、労働者派遣の免許を持たない「A」が、労働者「X」を2重派遣する意思を持ち雇用契約を結び、これを「B」に派遣し、この「B」がさらに「C」に2重派遣した場合である。
 労働局は、これを“職安法44条違反”とするのである。理由は、Bと労働者Xが雇用関係に無く(つまり他人)、Cに供給した「供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事」させたとするのである。
 そうであろうか?・・・私は違うと思う。

 もし上記理論に従えば、BとCとの供給契約が“職安法”に違反する行為であって、Xと雇用関係のあるAは共犯か、もしくはAが故意に企てたとすれば、このAが職安法違反でBは共犯となろう(なお、職安法44条は、1条の規定で供給した者と、供給を受けた者との行為を分けて2罪を規定していると考えられる。これは例えば、刑法で贈賄罪と収賄罪とを構成要件で分け2罪規定しているのと同じである。その意味で、Cは、独立した1罪としてカウントできるであろう)。
 ところが、ここで派遣法の条文が問題となる。即ち、派遣法2条1号で、雇用関係があれば職安法ではなく派遣法が適用されると言っていおり、条文中段で「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい」というからには、“他人”と“当該他人”が一致さえしていれば、多重派遣も労働者派遣なのである。
 かくして、上記理論に基づく限り、Xの雇用主たるAを職安法44条違反とすることは不可能ということとなる。Cにあっては違法に派遣を受けた派遣法24条2項違反ではあるが、派遣を受けた者には罰則規定すらない。
 これでは「比例原則」に反するからと言って、ではAやCを、他人であるBの犯罪を実現した共犯として裁くか、または、Bを“故意ある道具”として使った正犯としてはどうか、というと、これは派遣法が“雇用関係の下に・・・他人のために”働かせるのは労働者派遣である、としているから、Aを、労働者供給の行為者として裁くことは、罪刑法定主義に反するし、Cについても特別関係ないし択一関係により(←ここは難しい・・労働局から2重派遣の告発を受けた検察官に是非聞いてみたいところだが、何れにせよ“かすがい現象”となり・・)Aからの労働者派遣である以上、処罰規定は存在しないこととなる。私は、労働局が言うような“雇用関係”を認める限り、補充関係でもなければ、包括1罪でもないと思う。
 なお念のため、職安法は「派遣に当たる場合は派遣法を適用せよ」と、派遣法は「雇用関係があれば派遣である」としているから、労働者と雇用関係がある限りにおいては、職安法違反を問うことは不可能となる。

 派遣法も問題だが、これまでの法律運用にも問題があったと私は考えている。そして、そもそも違法な人貸しを前提とした雇用契約・労働契約は、もともと無効だと考えている。

 もっと労働者の保護に資するように、派遣法の改正はされなければならないが、運用にも問題があったのなら、労働者派遣法という法律の成文規定のみに責任を押し付けた改正議論は危険だろう。

 このまま、『法律の適用(処罰法の適用)の問題』というものを洗い出さずにやってしまうと、又もや、改正された法律の運用でも失当を犯すこととなる。


雇用対策法「年齢制限採用の禁止」規定の趣旨は何処へ? 投稿者: えんどう たかし 投稿日:2008/09/05(Fri) 19:22 No.4  
 2008(平成20)年度埼玉県職員採用試験実施計画における民間企業等職務経験者試験の実施(http://www.pref.saitama.lg.jp/A33/BA00/saiyou/2008/pamphlet/sougou.pdf 埼玉県HPよりダウンロード可能)は、雇用対策法「第10条」・厚生労働省令「同法施行規則第1条の3第1号」及び総務省通知(自治体宛「総行公第79号」平成19年9月26日)の趣旨に照らし如何なものか。

 同法「第10条」によれば、「例外事由」に該当しない場合の年齢制限を募集資格としてはならないところ、上記の埼玉県資料(PDF)によれば、民間企業等職務経験者試験の実施について「昭和48年4月2日〜昭和55年4月1日生れ」という受験資格の年齢制限を行っているもの。

 さて、確かに同法成文にある下記公務員の除外規定によれば・・・

 雇用対策法(適用除外)
 第37条 この法律は、船員職業安定法(昭和23年法律第130号)第6条第1項に規定する船員については、適用しない。
 2 第6条から第10条まで及び第5章(第27条を除く。)の規定は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。

 と成文規定されていることから、下記の第10条の規定による適用除外が公務員については適用される。労基法に対する国公法・地公法(各公務員に適用される条文は、労基法の規定をほぼ完全に補完する成文規定を有するし、そもそも人事に関する合議の執行機関機関自体が、なにより失われた労働基本権の代替機関である)による除外規定のように解されることが問題となるわけである。このような任用前段の年齢による差別は、これを代替(←公務員個人の不利益を他の利益と社会的負担によりに交換)することは不可能となるのである。

 雇用対策法(募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保)
 第10条 事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。

 思うに、先ず第1に、行政機関においては憲法の諸規定(ことに平等即・機会均等・勤労権その他人権規定)が国民に対し、直接適用されること。第2に、地方公務員法という個別法〈=一般法に対する公務員の特別関係)から、本法の6条から10条までの成文規定が公共部門については不要であるからと解せよう。雇用対策法の37条2項は、互いに法条競合とならぬようわざわざ明確したものである。

 そうすると、法第10条の規定が除外されている理由は、憲法の、私人間におけるプログラム規定(間接適用)とは異なり、国・地方自治体にあっては、既に憲法人権規定の直接適用という趣旨であって、個別法たる「雇用対策法」の成文規定は不要であるからだと考えられる。
 憲法の人権規定(とりわけ平等則・勤労権)に従えば、寧ろ雇用対策法の諸規定は最低の基準であって、国・地方自治体にあっては、この最低基準を満たすだけでは足らず、募集する側ではなく、職を求める側(労働者)の実質的平等・本質的平等を達成すること等が求められていると言える。
 このような「公益」に照らし、募集に応じる労働者の年齢に不均衡が生じないよう労働者と労働市場に対し社会的配慮をすることが既に憲法と雇用対策法の立法意思によって予定されているものと考えられる。
 さらには、地公法13条(下記)において平等取り扱いが規定されており、そもそも年齢にかかわらず平等に扱うことは、同条により従来から予定されていると言うことができる。

 地方公務員法(平等取扱の原則)
 第13条 すべて国民は、この法律の適用について、平等に取り扱われなければならず、人種、信条、性別、社会的身分若しくは門地によつて、又は第16条第5号に規定する場合を除く外、政治的意見若しくは政治的所属関係によつて差別されてはならない。

 したがって、公務員の採用に当たっては、採用(使用者)側の就労年齢層の不均衡を是正するという法10条の趣旨(例外事由:同施行規則1条3の1の3号のロ)では足らず、労働市場全体と、平等則・勤労権、及び関係するすべての公法・私法・個別法の保護法益や、国民全体の利益という公益(国家・社会利益)に資することが県には求められているものと考えられよう。
即ち、昨年の雇用対策法10条の「年齢制限禁止」条項により、公務員における任用の「平等取扱の原則」が、民間の労働者採用にも適用(一般に拡大)されることとなった訳である。地公法13条の規定が、雇用対策法37条の2により除外されるということはありえない。
 寧ろ、雇用対策法10条の規定により一般化された平等取扱いの原則を、地公法13条が包括するから、前者が除外規定を設けていると見るべきであるし、公務員関係については施行規則(省令)にあるような例外事由の効力が及ばぬよう除外規定を設けているのである。
 そもそも、雇用対策法が、民間の事業者の行う募集・採用に対して、公務員の任用規定より加重された規定を設けていると解することは、両法の趣旨、および憲法の人権規定からみて本末転倒と言うべきである。
 また、憲法が予定する任用権者と公務員との自立関係(憲法15条および73条4号において公務員関係という特別な法律関係の存在とその自律性が憲法秩序の構成要素である)に照らしても同様である。

 なお、他県の人事委員会議事録と運用方針を参考までに見てみたい。
 下記は鳥取県人事委員会http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=73026
より事務局説明の引用である《議事録(6)協議等事項》。
 説明
1.県民から寄せられた意見(県民の声)について
 平成19年10月12日及び平成19年10月15日受付の県民の声による人事委員会勧告に関する意見及び意見に対する回答の概要について、事務局が説明した。
2.職員の募集及び採用における年齢制限に係る対応等について、事務局が説明した。
「雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律」の施行に伴い、総務省自治行政局公務員部公務員課長から職員の募集及び採用にあたっては、改正後の雇用対策法及び同法施行規則の趣旨を踏まえ、年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう適切に対応するよう通知があった。
 年齢差別禁止に係る義務規定について地方公務員は適用除外とされているが、
・民間事業主においては、年齢に関わりなく均等な機会を与えることが義務化され、改正後の雇用対策法施行規則で定める場合を除き、年齢制限を設けることが禁止されたこと
・参議院厚生労働委員会の附帯決議において、「地方公務員についても、民間事業主への義務化を踏まえ、本改正の理念の具体化に向け適切な対応を図ること」とされたこと
・年齢指針が廃止され、改正後の雇用対策法施行規則において、合理的な理由があって例外的に年齢制限が認められる場合がより限定的に規定されたこと
等にかんがみ、本委員会においても、今後の募集・採用においては、改正雇用対策法及び同法施行規則に準じた取扱いをする必要がある。・・・引用終わり。

 なお、総務省からも、雇用対策法及び同法施行規則の趣旨を踏まえ、年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう適切に対応するよう通知(「総行公第79号」平成19年9月26日)の文書が各自治体宛て出されていたものである。
 
 結論として言えることは、年齢による採用差別については、これまで合理性を認めるという解釈も存在したが、雇用対策法10条の趣旨を踏まえるならば、年齢による採用差別が、新卒者採用(且つ長期雇用)その他特別な要件を除き、合理的差別とは言えないということが確認できよう。

 埼玉県人事委員会は、如何なる合議をして、かかる実施計画を策定したのであろうか。埼玉県人事委員会は考えを改めるべきである。


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