『労働通信』2000年3月号
小渕内閣は、昨年の国旗・国家法、組織犯罪対策法(盗聴法)、国民総背番号制のはじまりである住民基本台帳法の改正など、人人の日常生活を監視し、思想・信条の自由さえうばいかねない法律の成立・改定をやつぎばやにすすめてきた。
そして今年は、昨年にまさるともおとらない内容で労働者への貧困のおしつけと、生活破壊をすすめようとしている。
「春闘」をたたかうにあたっても、小渕内閣の政治の動向をとらえておくことが重要となっている。
経済面での小渕内閣の政策は、リストラを促進する企業を法律的にも保護、援助するとともに、企業の合併・再編をすすめ、中小企業をなぎたおそうとするものである。
昨年成立した産業再生法は、過剰設備や「過剰雇用」を整理しようとする企業への支援策をもりこんだものである。これにくわえて今国会では、企業の分割をうながすための商法の改定をねらっている。
中小企業基本法の改定もうちだされており、中小企業への保護政策をきりすてる一方で、ごく一部のベンチャー企業の育成に重点がおかれようとしている。
さらに雇用保険法の改悪もねらっている。それは、非自発的退職者については、失業給付が若干増加するものの、給付期間が最長300日だったのが、180日に短縮されようとしている。
年金制度の改悪については昨年から口やかましく宣伝されてきた。
「高齢化社会」をむかえ、年金を受ける人が増加しても年金を払う人が減少するという「逆ざや」なので、毎月の積立金を増やすか、年金の支給年齢をくりのべるという内容になってきている。
1949年4月2日以降に生まれた人は、満65歳にならないと国民年金や厚生年金(基礎年金部分)を受け取れなくなる。60歳で定年になっても5年間どう生活していくかを考えなくてはならない。
定年の際に給付される失業保険にしても、さきほどのべたように、定年退職では、180日しか支給されなくなる。
労働者は、毎月の生活に四苦八苦し、いつリストラされるかとおびえ、しかもうまく定年までつとめたとしても、年金を受けられない状態になるのである。
自民・自由・公明の三党連立による小渕体制のもとで政治的な反動化も急速にすすんでいる。
オウム真理教による犯罪事件をうまく利用して制定された団体規制法は、日常的な捜査、立ち入り、規制団体としての適用をくりかえしおこない、最終的には破壊活動防止法を適用しようとするものである。それはオウムだけでなく、いずれ労働組合や市民団体などをふくめて、根こそぎ労働者をはじめとする人人のたたかいをおさえこもうとするねらいをもったものである。
また憲法調査会の設置は、基本的に憲法改正に賛成の民主党もまきこみ、「自主憲法制定」「集団的自衛権の確立」をめざすものとしてたくらまれている。
米軍の戦争に日本全土を自動的に動員する周辺事態法を成立させたのにつづいて、有事立法の法制化も日程にのぼってきている。具体的な法案の準備などには着手していないものの、小渕首相は衆院本会議での代表質問にこたえるかたちで、有事法制の整備に積極的にとりくむ姿勢をしめしている。
最近、小渕首相がとなえはじめた「教育基本法」の改定も「学級崩壊」などを口実に、教育の国家統制を強化し、教職員へのしめつけと、一部のエリートと圧倒的多数の安価な労働力をつくりだす教育をめざそうとするものにほかならない。
しかし、圧倒的多数の労働者、勤労人民は、自自公・小渕政権に批判をつよめている。
小渕内閣の支持率は30%へと低下した。
最近おこなわれた大阪府知事選挙でも、投票率は44.8%で史上最低を記録した。自民党本部と公明、自由に民主や関西財界、連合まで支持した太田候補の得票はわずか138万票で、相乗り候補としては最低となり、無党派層の半数が「共産党」系の候補へとながれた。
京都市長選挙でもその差は3万票あまりにせまり、圧倒的多数の有権者が棄権した。
このように国会で60%以上の議席を持つ「巨大与党」も一皮むけば非常に脆弱な基盤のうえにしか存在していないのはあきらかである。
最近では与党内部からも、「予算成立前に解散もありうる」とか「