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集 グローバル化のもとでの「春闘」

ベアゼロ、実績主義賃金、ワークシェアリングが具体化される

 

『労働通信』2000年3月号

 

自動車

国際競争の激化を理由にベアゼロ攻勢

 自動車産業各社では、国際競争の激化を理由に、賃上げにたいし抵抗をつよめている。比較的業績が好調であるといわれているトヨタ自動車でさえ、資本の側は「雇用確保が課題で賃上げの状況にはない」とおさえこみをはかろうとしている。

 自動車総連(草野会長、79万5000人)は、定昇2%相当とベースアップ2000円の要求を中心とする方針。また、ワークシェアリングについて「雇用に手をつけなければならない事態がさけられない場合は考えなければならない」と、雇用をまもるさいごの手段として緊急避難的に導入する方向をとっている。

 トヨタ労組の要求は9000円、一時金は5.9カ月である。定昇を確保したうえでベアの上づみをはかるとしている。本田技研工業の労働組合は賃上げを定期昇給こみで8800円(平均年齢38.5歳、勤続年数17.3年)、一時金は過去最高の6.3カ月を要求している。

 ルノー傘下できびしい「合理化」攻撃にさらされている日産自動車は、工場閉鎖や人員削減を柱とする再建策「リバイバルプラン」の実施にともない、2000年3月に過去最大の「赤字」におちいるために会社側はベアゼロを辞さないかまえである。労組側は「再建策に協力する以上、ベアゼロはぜったいにのめない」としている。賃上げ要求額を定期昇給こみで8000円(組合員平均39.9歳、勤続年数19.1年)、一時金を年間4.2カ月とすることを決定した。

電機

実績型賃金の導入広がる

 電機産業では、業績を回復した企業と赤字企業とのばらつきが大きいこと、さらに経営側の実績型賃金への志向のつよまりもあって、一律賃上げはきわめて困難というみとおしである。

NECは、今年の10月から、一般社員にも成績主義にもとづく賃金体系を導入しようとしている。ホワイトカラー中心に約2万9000人が対象で、じゅうらいの年功的要素・資格給と、個人の能力で差がつく本給とのくみあわせをあらたに「月収」として一本化する。成果しだいで月収が標準額以下の人や2.5倍もおおい人まで差をつけるというもので、格差はさらに拡大することになる。

 日立製作所は、現在の約1万人の課長級から、あらたに「日立バリュー」にもとづいて 四月以降、リーダーとしての資質・成果を評価する人事制度を導入しようとしている。「顧客満足度」「専門能力と知識」など10項目の基準にそった仕事をしているかどうかで昇給・昇格をきめる。ほかに、三洋電機も総合職の定期昇給廃止をきめている。

 松下電器産業は、勤務地によって収入に差をつける制度を導入する方針など、じゅうらいの人事・給与体系をみなおす動きをみせている。この導入で、業績のふるわない事業部や地方の工場の労働者の賃金は減る可能性がでてくる。また、地方の工場につとめ転勤がない「地域限定社員制度」を導入することも考えられているようである。

 一方、松下電器をはじめ各企業は定年後の再雇用(65歳まで)を方針化している。一年契約で雇用を延長するというものや、現行の60歳定年制をやめて、65歳までのあいだ五年ごと四段階の定年を新設するなどであるが、賃金が比較的高い高齢者社員の人件費を減らすとともに、賃上げ要求をおさえる材料とするねらいをもっている。

 このようななかで電機労連は、賃上げ2000円を要求する方針である。ベア率では0.66%で過去最低水準となる。一時金は富士通など業績連動型を採用する企業もでていることなどから、賃上げの横ならびがくすれる可能性がある。

 もっとも、松下電器、三洋電機などは60歳定年後雇用延長をすでに合意しており「春闘前」に決着する方向であるともいわれている。

造船・重機

業績悪化で厳しい状況

 造船・重機産業では、円高の進行、海外プラントの採算悪化、国内景気の低迷の長期化などの影響で、最大手の三菱重工業が2000年3月期決算で赤字に転落するなど各社の業績は悪化している。造船重機労連は、ベア2000円を要求する方針である。昨年は、三井造船が業績の悪化を理由に、定昇などとべつに一年間の時限措置で賃下げにふみきっており、事実上横ならびがくずれていた。今年はきびしい水準ながら大手六社の足なみはそろうことになりそうだといわれている。

鉄鋼

「ハーフ勤務制」を提案

 鉄鋼労連は、1998年から「隔年春闘」を採用しているが、今年は交渉年にあたり、2000年と2001年の賃上げ要求を3000円に設定している。一時金要求については、大手高炉五社がこれまでつづけてきた要求水準の統一を断念し、各社の業績にあわせた会社ごとの個別要求にあらためることをきめた。その一時金は、新日鉄など3社に最高の年間150万円を要求している。神鋼労連は、要求額を130万円を最低ラインとして闘争をすすめようとしている。新日鉄と住友金属がステンレス鋼板事業の生産・物流などで提携する方向で、日新製鋼とも提携をすすめている。新日鉄自身は、5000人の削減とむすびつけた賃金・雇用政策を提起している。しかし鉄鋼労連は、アジアむけ輸出増で賃上げ余地は十分にあると主張している。

 また鉄鋼労連は、雇用確保のため、定年後に週三日勤務で労働時間、賃金を半分にする「ハーフ勤務制」の導入を、経営側の「定年後の雇用延長」でワークシェアリングにちかい発想をとりいれたものとして産別組合ではじめて導入を決めている。この「ハーフ勤務制度」は、公的年金をふくめ、退職時年収の六割にあたる360万円の収入確保をめざすなどとしている。

NTT

民営化後最低の要求

 NTT労組は21日に、主要8社の「春闘」の賃上げ交渉について、ベア1%、3200円(高卒、35歳、勤続17年)を統一要求とする方針などをきめた。今回は、昨年七月のNTTの持ち株会社方式による分割、再編後はじめての「春闘」となるが、昨年にひきつづき民営化以降で最低水準の要求となっている。

 

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