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ストレスによる「突然死」に労災認定を勝ち取る
関西労災職業病研究会学習交流会に参加して

大阪府・郵便輸送労働者 繁田 哲夫

 

『労働通信』2000年3月号

 昨年の12月18日と19日の両日、京都保養センター「清水」において、第22回関西労災職業病研究会秋季交流学習会が開催されました。この交流会は毎年、京都で開催されているもので、京都大学の医師をはじめ、全港湾、タクシー、国労、自治労、郵便の労働者などおよそ70名が参加しました。

研究会を共同闘争の場に

 最初に主催者を代表して関西労災職業病研究会事務局長の豊田正義氏から開会の挨拶がありました。

 豊田氏は、「12月16日のマスコミ報道では、子どもの自殺が昨年より44%も増加し、192人となっています。文部省はその原因が『不明』としていますが、大人の社会の反映です。労働者は1年間で3万2863人が自殺に追い込まれており、とくに40代、50代の労働者が仕事や生活上の問題を苦にしています。資本は労働者の肉体と魂まで奪いとるものであり、労働者がみずからの命を絶つところまで時代がきています。この研究会を共同闘争の場にしていきたいと思います」と強調しました。

多彩な職場から参加

 この学習会には、毎年数おおくの職場からの代表が参加しています。

 京都大学から参加した医師は最近急増している「過労自殺」の問題にふれ、99年7月から過労自殺の認定がやられるようになってきたこと、従来は業務上の負担では精神障害はおこらないという判断であったが最近変化してきていることを報告しました。

 精神障害は特別な病気ではなく、ありふれた病気であり、業務上の負担が精神障害をうみだしていると指摘しました。

 全港湾の職場でも最近、精神疾患が多発しており、メンタルケアーがまったくとれていないことや、職場復帰直前が非常に危険であり、職場復帰の際どうすればよいのか悩んでいることも報告されました。

 国鉄労働組合新幹線大阪保線分会からは、1977年に線路内での死亡事故が発生していらい、列車運行中の軌道内やトンネル内での保線・点検作業は拒否してきたが、民営化後このとりきめが破棄され、新幹線が120キロで走行中に軌道内点検をやらされていることが報告されました。

 国労は、列車運行中の点検をいまも拒否していますが、東京・大崎の事故のように、保安ミスによる、下請けの犠牲事故が多発しています。

 京都大学の山口医師からは、臓器移植法が改正され、ドナーカードをもっていなくても臓器移植の対象にされることが報告されました。

 現在は15歳未満は臓器移植の対象外ですが、これからは親の承認さえあれば、移植のドナーになります。

 臓器移植自体が商品化され、一部の商社や企業の利潤追求の対象になってしまうことへの危ぐがあきらかにされました。

画期的だったタカラブネ労組の労災認定闘争

 報告のなかで参加者をはげましたのが京都の洋菓子メーカーであるタカラブネの労働組合の労災認定闘争です。このたたかいは、労災認定闘争において従来の常識をくつがえしたものであり、参加者から大きな関心をよびました。

 この労災認定闘争は、京都の洋菓子メーカーで勤務していた小野さんが、1997年11月12日に自宅で突然死した問題を、タカラブネ労組と遺族が中心になってとりくんだたたかいです。

 当時、小野さんはタカラブネ資本がオーストリアからまねいた高名な菓子職人の日本での講演とその準備に追われていました。

 なれない仕事と講演先でのトラブル。菓子職人との意志疎通の不十分さからしだいにストレスと疲れが蓄積し、ひどいときにはいま自分がトイレにいったかどうかもわからないような状態に追い込まれ、突然の死となったのです。

 このような異常なストレス、過大な業務負担が小野さんの死をまねいたとして、遺族とタカラブネ労組は労災認定闘争をくりひろげてきました。

ストレスが過労死の根源

 いままでの労災認定といえば、「過重労働主義」(他の人よりも特定の期間、非常に長時間労働した場合)、「アクシデント主義」(突発的な事故が発生したとき)に労働災害と認定していました。

 しかし、裁量労働制、みなし労働など労働時間が一定でない労働が増えてきたり、「リストラ・合理化」による人べらしや社会不安、精神的な負担が増加したりするなかで、労働者がうけるストレスは従来よりもきびしい内容になってきています。

 そしていままでの労働行政でははかり知れないような内容で労働者が死に追い込まれるような状況がでてきています。

 たとえば最近おおく発生している過労自殺や労働者の発作的な自殺は、その原因の大半がストレスによるものとされています。

 このような労働内容の変化による労働者の自殺や過労死が、昨年8月25日に労災と認定されたことは画期的なできごととなりました。

労基署段階で認定勝ち取る

 また、今回の労災認定闘争では労基署にたいする交渉、とくにストレス労働の実態や生活実態を直接労基署交渉でだせたことが大きな教訓です。

 普通、労災問題は上へいけば、いくほど(労基署=労基局=中央審査会)認定がむずかしくなるといわれています。

 小野さんは管理職でしたので、タイムレコーダーに出退勤の時間が記録されておらず、また出張がおおいので具体的な労働時間がまったくわからない状態でした。

 しかし、一般的な過重労働ではなくストレス労働の実態を徹底的に労基署交渉で訴えたこと、地域のなかまの支援が大きかったことなどが労災認定にむけての教訓となりました。

 いまどこの職場でも、過労死、ストレスによる病気、けが、精神・神経疾患が増加しています。

 「個人の責任」でおわらせるのではなく、労働者をそこまで追い込む資本の責任を明確にし、労災闘争の前進をかちとっていきましょう。

 

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