『労働通信』2000年5月号
おおくの発展途上国の政府は、国際的な金融機関やゆたかな国からの巨大な債務を負わされて、その国の市民を多国籍企業の搾取にさらし、重要な健康や教育のニーズのためにおカネをつかうことができない。
この巨大な債務は、まずしい国の労働者だけでなく、アメリカ合衆国の労働者の賃金や生活水準、権利をもひきさげて、「とことんまでの世界的なレース(競争)」をはげしくさせるであろう。
この債務を救済するならば、すべての国のはたらく家族のための世界的な経済システムをつくりあげるのに役立つだろう。
まずしい国の政府は、自前の資金がないので、自分の国の経済の発展のために世界銀行や国際通貨基金(IMF)から何十億ものドルを借りなければならない。しかし、こうしたシステムによって、まずしい国は雇用の安定をはかるための社会的な政策の予算を削減し、労働者の賃金をきりさげ、公営(国営)企業を民営化することを要求される。その結果、失業が増大し、そのことが債務の返済をいっそうむずかしくし、ますます破滅的な状況をもたらす。債務を返済しなければならないという圧力は、発展途上国の政府が自分の国の市民の基本的なニーズをみたすことをいっそう困難にせざるをえない。
たとえば、ザンビアでは、債務の返済に3ドルをあてる一方で、自国のための社会的なサービスのためには一ドルしかつかう余裕はない。ハーバード大学の国際開発センターによると、人口の20%がエイズ・ウイルス(HIV)に感染し、30%の子どもたちが種痘の接種をうけることができず、人口の約半数の人人が安全な飲み水を飲むことができないという。
同時に、発展途上国の政府は、民間企業からの借款をふやし、外国企業をひきつけるために、労働基準や賃金をひきさげている。このことは、アメリカの労働者を、時給10セントではたらく労働者との競争にかりたてることになり、途上国だけでなくアメリカの労働者の雇用をもうばう結果をもたらしている。
いま、成長しつつある、労働者、宗教者グループ、人権擁護団体などによる世界的な共同闘争は、債務と貧困、権利のはく奪のサイクルをたちきろうと奮闘するものである。
AFL・CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議)のジョン・スウィーニー会長は、「企業に支配されたグローバル経済は改革されるべきだ。世界中の生活水準が浸食される前に、『とことんまでの世界的レース』をくつがえさなければならない」と主張している。
はたらく家族は4月9日、何千もの人人とともにワシントンにおいて、国会に債務の帳消しをもとめてたちあがった。
なぜなら、発展途上国にたいする債権は、アメリカ合衆国の予算のうちわずかな割合をしめるにすぎず、それを帳消しにしたからといって合衆国にはわずかな影響しかあたえないからである。しかし、それは債務によって影響を受けている国には大きなちがいとなるだろう。
債務を帳消しにすることは、わが国の労働者、そして全世界の労働者にとって、よい雇用をつくりだすうえで、偉大な前進になるであろう。
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