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特集頑張っています! 私たちの労働組合   (つづき)

『労働通信』2000年5月号

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ベアゼロ 回答つづく「春闘」のもとで現場から労働組合活動の新たな動き

 連合は2000年「春闘」にあたって、「賃あげとともに雇用の確保の両立をはかって生活不安を解消する『春闘』とする」との方針であった。だが、中心的課題はおおむね雇用、とくに年金支給開始年齢のひきあげ問題から「60歳雇用延長」が賃あげより優先された組合もあって「積極的な賃あげで景気に刺激をあたえる」といった従来のことばはあまり聞こえなかった。

 資本側は「春闘」にあたって、「雇用確保のため総額人件費のひきさげをおこなう必要を労使はみとめなければならない」としてベア・ゼロ、賃さげの意向を表明していた。この点でいえば労組中央官僚と資本側は共通の課題でテーブルにつき、下部の労働者全体の「生活改善」要求は宙にうかされた状態となった。

 しかしこれまでの全産業で強行されたリストラ「合理化」によって大資本各社は最大の利益をあげており、ベア・ゼロの決着は資本と労働の矛盾を爆発点にちかづけている。現に、今「春闘」では表面にはあらわれていないが、現場レベルでさまざまな闘争がたたかわれている。

史上最低の賃あげ率

 造船重機、電力、NTTグループ各社が「賃あげなし、ベア・ゼロ」を回答し、今「春闘」の山場はたいへんけわしいくだり坂となった。

 各産業の妥結状況をまとめると、3月15日の集中回答日、鉄鋼の新日鉄など大手3社は今年1000円、次年度ゼロ、NKKなど大手2社は次年度が1000円、今年ゼロという回答をしめし、一九五七年いらいの分裂回答となった。鉄鋼労連は統一要求1000円を一年ごと500円の要求にかえて、あくまでも統一賃あげをめざしたが、「業績格差のため」という資本側の理由をくずせなかった。

 造船重機七社は13年ぶりのベア・ゼロ妥結であった。資本側のかたくなな態度の背景には、輸出採算の悪化や大幅な受注不足による「赤字経営」という「理由」があった。

 各自動車企業は回答日まぎわまでベア・ゼロの意向であったが、妥結は昨年とほぼ同額であった。マツダでは労働組合が一時金の満額回答(5.3ヵ月)をもとめてストライキの姿勢をしめした。それにより昨年実績を若干上まわる回答をひきだした。自動車総連は今回、定昇と賃あげを別個の課題としてわけて交渉にのぞむ方針であったので一定の成果があったと評価している。

 電機大手各社は一律昨年同の500円で妥結した。電機連合はベアとはべつに今「春闘」で「65歳への雇用延長制度」をもとめていた。もともとベアよりこちらが重要課題として位置づけて労使協議がすすめられていたもので、資本側の思惑とからみ具体化の方向にむいている。

 ベア・ゼロを主張された電力・NTTも交渉が難航した。例年は金属回答につづいて妥結していた電力も、資本の「一時金カットと基準賃金のひきさげもおこないたい」というつよい態度に1日ずれこんで決着した。賃あげなし、定昇のみ30歳12年勤続で4100円〜4400円で1000円の前年比マイナスであり、実質的な賃さげとなった。

 民営化後初のベアゼロとなったNTTグループでは、一時金についてもグループ内で格差がつけられた。固定電話収入の減少などによって「賃あげなし」を経営側はかたくなに固持し、一方の組合側は好調な業績を根拠に有額回答をせまったがおよばなかった。

 私鉄大手も鉄鋼とおなじくバラバラの分裂回答であった。例年私鉄の労使交渉は電力とNTTの決着内容を参考として妥結していたが、それにはいたらず足なみがくずれる結果となった。

 こうして各産別・単組統一闘争がくずされて民間大手組合「大敗北」の感となり、昨年の「春闘」からさらに賃あげ率の低下がすすみ、史上最低の数字が今回ぬりかえられた。

 民間大手のつぎは中小企業部門と官公労部門である。

 中小企業の労働者は大資本の「コスト削減」をまともにうけ、ひきつづき首切り「合理化」や倒産があいついでいる。中小の「春闘」では「企業存続の危機」から要求そのものができなかったり、ベアなし、定昇のストップあるいは賞与の減額の回答が用意され、今回もストライキをふくめ長期化が予想される。

 郵政、林野などの国営企業当局は4月14日、「ベア0.04%、130円」の有額回答をしめした。全逓、全林野などの労組は「民間賃金のひきあげ水準を下まわり、きわめて不満なもの」との声明を発表し、17日には中労委に調停申請した。

職場闘争への教訓

 同業種企業の合併・再編が国際的規模でおこなわれ、労働条件の面でもその影響がさけられず、能力主義賃金体系の導入がますますふえている。これでは集団的な賃金闘争さえなりたたない。マスコミなどが「競争の自由」や「能力開発」がいかにも時代の最先端をいくものであるかのように宣伝して労働者の思考をかく乱している。そして日進月歩の技術改革は「ベテラン労働」を排除して需給調整できる不安定雇用労働者に容赦なくとってかえている。「グローバル化」のもとでの弱肉強食の職場から労働者の生活、雇用と権利をまもっていく労働組合の役割がますます重要となっている。

 今「春闘」では、賃金闘争に直接かかわれない現場でもさまざまな運動がとりくまれている。資本のデタラメな処分、不当労働行為などに疑問がわきだし、組合役員や中心的活動家に相談がもちこまれ、直接交渉や調査、点検、また学習が大衆的におこなわれてきている。リストラ、過労死などが深刻化するなかで、おおくの労働者は労働組合にたよる以外になく、職場ではこのような行動に期待が高まり、これまでになくビラまきや宣伝物作成に各班や分会がかかわり、組織的に行動して労働組合の結成や強化をもとめる意識ができている。

 これらの動きは、下部の組合役員や中心的活動家のひごろの地道な世話役活動(悩みや話をていねいに聞く等)や労働条件、権利にからむ学習のよびかけなどがあったためである。また、広範な組合員の積極的な参加をうながすうえでは、機関での論議・決定をおこなっていく組織的な努力を堅持し、なんのために労働組合があるのか、どうすれば組合をつよくできるのか、あるいはつくれるのかを職場でねばりづよく論議していくことが重要であった。

 労働者の学習運動でいまだいじなのは、権利の問題や労働法の内容の把握である。職場ではサービス残業、賃金カット、労働災害、通勤災害、勝手な解雇などが日常的にくりひろげられている。直面しているこれらの問題を解決するうえで権利の学習は意識をたかめ、具体的にたたかいをすすめるうえで武器となる。この学習とむすびつけて「マルクス主義の賃金論」をまなび、こんにちのベア・ゼロ攻撃やリストラなどがなぜおこるのかを議論し、世界の労働者のたたかいを知り、知らせ、労働者の視野をひろげることがもとめられている。

 

 

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