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「電話 からマルチメディアへ」の転換で大リストラにさらされる労働者(下)

 

『労働通信』2000年5月号

(『労働通信』2000年3月号よりつづく)

新たに2万人削減計画発表

 NTTは昨年11月、東・西地域会社の労働者2万1000人削減などの「合理化」計画(中期経営施策)を発表した。これは、マルチメディアなど高度情報通信産業を柱とした産業構造の転換の一環であり、過剰設備の廃棄と過剰人員の整理を大大的に促進する計画である。

 NTT(持株会社)の宮津社長は

「今回の計画は、電話からマルチメディアへという市場構造の転換をふまえ、NTTグループ企業の3カ年『合理化』計画を作成し、これをベースに展開する。とくに東・西会社の要員問題・コスト削減策がポイントである。両社の『人の問題』はグループ全体に影響しているのでその方向性をしめし、全面的な合理化計画を策定する必要がある。すでにこの3年間でNTT-TE(テレコム・エンジニアリング、子会社)などへの『人間流動』は5万人をこえている。需要構造が急速に変化するなかで、これからは東・西両会社へも手をつけざるをえない。また、これからさきの3年間は、西会社での赤字構造の解消がおおきな課題でもある」

――としたうえで、東・西あわせて2万1000人の労働者を削減し、そのうち約4000人をグループ企業に出向させ、のこる1万7000人の生首をきりおとすというものだ。しかも退職特例措置もいっさい必要ないといいきっている。

 業務集約では、販売営業業務は1152拠点から200拠点へ、電話受付業務(116番)は151拠点から75拠点に、故障受付業務(113番)は57拠点から15拠点に、料金受付業務は153拠点から60拠点へと極限状態まで統廃合される。さら2万数千人規模で地方から首都圏・京阪神などの大都市への広域配転を強行し、応じられない労働者には否応なく生首をとばす。

個人を五段階評価

 また、差別賃金制度を導入して資本への忠誠をちかわせ、その効果をもって、個人をA〜Eの5段階(A=5%・B=10%)で評価する。

 ほとんどの労働者はC〜Eに評価される。特別手当の最低保障は年間3ヵ月、A評価の5%の労働者は年間4.9ヵ月というものである。職能等級をおおきくして定期昇給をおさえこみ、成果・業績を重視し賃金に反映させ、人件費総体を徹底的に削減する。

 そして業績手当・寒地手当・無線手当、離島手当なども廃止され、特別手当の大幅減額、定期昇給停止の5年くりあげ、さらには、社宅や会館の入居基準や使用料、住宅補助費のみなおしもされる。地方の営業所などに勤務する労働者が配転を受けいれることができない場合は、退職もしくは個人代理店(退職して委託契約を締結、成績があがらなければ1年かぎり)となり、在職時の3割の固定給と歩合給でくっていかなければならないことになる。

 NTT労働組合中央本部の津田委員長は

「成果主義を随所に色こくとりいれ、グループがIP(インターネットプロトコル)型事業に適した競争体にかわるために必要な労働条件をととのえたい。賃金トータルではっきりした差がでてくるが、組合の使命は雇用をまもることが第一だ。人件費総体をへらし、通信料金の低廉化に貢献しなければならない」

――と語っている。また、早期に労資間で決着をはかる課題として「出向・転籍一時金制度の廃止と、企業年金の給付利率のひきさげ」が論議される。

計画的に作られた「赤字」

 圧倒的な労働者のすべての面で労働条件の激悪化はいっそう深刻さを増すことになる。ひとにぎりの者をのぞいて賃金が大幅にダウンするが、とくに中高年労働者にはきびしくなる。しかし、NTTがさきに発表した九九年度中期決算報告によれば六期連続の増収・増益である。営業収益は10兆円をこえ、経常利益も前年度比12.5%増の7300億円を計上予定している。アナログ・固定電話系が退潮期にはいり、収入の下降傾向はさけられないにしても、携帯・マルチメディア系収入が凌駕し、莫大な利益をあげている。まさに「ぼろもうけ」である。

 NTT資本は、膨大な資金を利用していまだに使い道すらさだかでない光ファイバーをこの間3兆数千億円という費用を投資して敷設してきた。現にこの数年間で投資額の2%程度しか回収できていないのである。これらは独占資本の要求にあわせ、国家的な政策として市場を提供してきたものである。

 これらの莫大な利益と豊富な資金は、「黒字への転換が課題だ」といってコスト削減を徹底的におこない搾取を最大限強化してきた結果である。東・西地域会社の赤字化は周到に計画されたものであり、当初から予定されていた攻撃なのである。

職場集会で批判が集中

 このようなNTT資本にたいする職場における不満、怒りは蓄積されている。「赤字の原因は分割したからだ」「山間、離島などの僻地には新会社は参入しない。だから当然赤字地域がでてくる。なのになぜわれわれが首をきられるのか」「保守は地方が大変だ。片道100キロ走って故障修理にいくというのもあった。現場の苦労がぜんぜんわかっていない」などの意見がでている。

 今年の「春闘」は、資本のリストラ「合理化」、成果・能力主義の導入による人件費削減、また年金・医療制度・雇用保険などの改悪などの攻撃があるなかでおこなわれたが、現場のつよい要求が中央本部までとどかず、職場集会では労組中央にたいする批判が集中した。「中央執行委員のいう『組合員をつなぎとめる苦渋の選択』とはなにか。なにをふざけたことをいっているのか」「労働組合の主体は組合員である。組合員の意見を無視して大幅賃さげで妥結するというのは暴挙である」「ストライキ批准投票はなんであったのか。バックを信頼してたたかうべきだ。数百億円あるというストライキ基金をいまつかわず、いつつかうのか」などの意見が集中しているなかで、第二組合などの結成など、職場は分裂の度合いをふかめている。

 この「春闘」のなかであらわれた中央労働官僚のていたらくに電通労働者の階級的怒りは頂点に達しつつある。真に階級的な労働者が労働組合の代表として意識していかねばならない時期にきている。

 

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