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業の体質改善を要求してたたかう――中小運送業の労働組合の経験


福岡県・運輸労働者 川田 謙

『労働通信』2001年1月号

 

 わたしがはたらく企業は運送業であり、農協関連の事業と引越を主体とした会社である。

八方ふさがりとなる会社

 政府の農産物輸入自由化による農業破壊は加速をくわえ、農家の営農事業を存続させるかどうかが、農業破壊政策との熾烈なたたかいとなっている。県下のいくつかの農協が破産し、また破産しつつある。

 市況の停滞・低迷と、規制緩和による市場争奪、価格破壊はここ数年すさまじいものがある。引越部門の価格破壊、市場価格の下落は、約三年間でおよそ20%にもおよび、固定荷主からの運賃きりさげがあいついでいる。

 追いうちをかけるように二年連続で二件の重大事故が発生し、合計約2200万円の損害を計上した。資本金2000万円の中小企業である。企業の存続にかかわる重大な事故といわざるをえない。

 会社は八方ふさがりの状況におかれており、農業関連や引越部門依存の企業体質そのものの改革がもとめられている。だが、会社はその犠牲を一方的に労働者に転嫁するばかりで、体質改善をもとめる労働者の意見にはまったく耳を貸さない姿勢をとってきた。

企業体質の改善を要求

 当労組執行部は、過去三年にわたってことあるごとに重大事故の企業責任を追及するとともに、企業体質の改善を要求してきた。

 当然にも当労組の体質改善も必要になっている。

 当労組は、運輸労連に加盟してはいるが、長期にわたって企業内組合として組合を運営してきた。その特徴は、企業による一部現場職幹部の隠然たる買収によるボス支配である。隠然たるボス支配は企業の弱点ともなり、一部古参現場職幹部がその弱点につけこみ、「現場から管理・事務職へいったものは裏切り者だ」という世論をつくって、管理・事務職と現場職との対立・矛盾を意図的にあおり、職場を混乱させ、私欲をはかる状況がつくられてきた。

 独占、大手企業は、経営危機におちいっても、政府・金融独占資本によって救済されるが、中小零細企業は情け容赦なくなぎたおされる。

 資本主義のもとでは、中小零細企業は利益を計上し、資本蓄積をしなければいきづまる。中小企業では、労働者も利益計上のために労働しなければならなず、それを前提に権利、労働条件、賃金のためのたたかいを展開していかざるをえない。そして、企業の体質改善をはかりつつ、政府・独占資本による中小企業のなぎたおしや農業破壊に反対していかなければならない(もちろん、資本主義のもとでの努力には限界があり、経済の繁栄、発展と生活の安定は最終的には社会主義によって実現されるものである)。

労働者全体の利益を第一に

 だが、企業体質の改善へむけて、管理・事務職と現場職との円滑な意志疎通と運営、現場職の管理・事務職への登用、労組と企業との信頼関係の構築などを主張すると、組合員のなかでも「白眼視」される状況もある。「あいつらは、自分が事務職になりたいという『私欲』から、あんなことを主張しているのではないか」というわけである。

 そうした組合員の意識のなかにあるのは、自分の毎月の賃金、個個の家族の生活の安定だけを考えるというものであり、労働者全体の利益をはかるという考え方そのものが信用できないというものである。

 まさに人間不信であり、それこそ「私欲」そのものである。

 労働組合員の相互の信頼関係をつくりだし、それを前提として企業と労組との信頼関係を形成すること、これは中小零細企業がおかれた物質的・経済的基礎からせまられている課題である。

 当労組執行部は、約三年前からこうした方針をとりはじめている。先進的部分の意見を集約し、組合員全体の意見にしていきながら、労働組合の体質改善がすすみはじめている。組合員全体の利益を第一にすべきだとするながれがうまれてきている。労働者全体の利益を第一として、はたらくものが主人公となる社会をめざして生きていく。これが社会主義の思想への第一歩であり、労働組合の発展をうながしている。

 

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