『労働通信』2001年1月号
支配階級が腐敗し、社会の変革をもとめる人民の声と行動が高まっているいま、労働運動の真価がとわれている。だが、日本の労働運動の現状は、資本の猛烈なリストラ攻撃とほとんどたたかうことができず、たたかう労働組合の象徴的存在であった国労においてさえ屈服的な方針を執行部が提案するという事態をまねいている。この現状を打開する課題について考えてみたい。
第一は、こんにちの労働者や勤労人民の苦難の根源である資本主義をあばき、その根本的変革と労働者が主人公となる社会、社会主義をめざす戦略方向をもった労働運動、労働組合運動をうちたてることである。それは、こんにちの貧富の格差の拡大、失業、首切り、生活の破壊、戦争、青少年をもまきこんだ腐敗や凶悪犯罪が、資本主義の根本的矛盾にねざしており、その廃絶なしに人民の解放はかちとれないからである。
だが、ソ連、東欧の崩壊以後、社会主義やマルクス主義の「威信」は低下しており、こんにち社会の変革をもとめてたちあがっている人人のなかでも、社会主義を志向する人人はわずかである。左翼的な活動家のなかでも、日本における社会主義の展望や社会主義国の現実的経験についての研究は不十分で、社会主義論は抽象的となり、大衆に説得力をもちえていない場合がおおい。
この問題を解決するためには、@グローバル化がすすむ現代資本主義、とくに日本資本主義の分析をふかめ、その実際のなかから社会主義の展望をあきらかにすること、A20世紀の社会主義の成功と失敗の教訓や最近の社会主義国の「改革」の研究がもとめられている。そのためには、おおくの活動家や研究者、政治勢力の協同の努力や論争が必要であり、本誌もそのために貢献していきたいと考えている。
第二は、雇用、賃金、民主的権利など、労働者のせつじつな要求をかかげたたたかいを職場から組織していくことと、それとむすびつけて、政府や独占資本がすすめる政治に反対する政治闘争をつよめていくことである。
そのうえでは、「成果・実績主義」や「能力主義」の考え方をうちやぶり、資本家と労働者のあいだには共通の利益はなく、労働者が団結してたたかわなければ、ますます賃金や労働条件がひきさげられることを具体的な問題をとおしてあきらかにしていく必要がある。実際問題、おおくの労働者はこのかんの経験をとおして、非情な「企業の論理」への怒りを高めており、資本主義的搾取制度の本質をあばき、たたかいを組織する条件はひろがっている。
また、こんにちのリストラ攻撃や権利の侵害は、「IT革命」やグローバル化など帝国主義の世界的な政策の具体化としてすすめられており、一企業内だけで「合理化絶対反対」をかかげてはげしくたたかって一定の譲歩をかちとることはできても、継続的に成果を維持することはむずかしい。その背景にある政府や独占資本の政策をあばき、地域的、産業的な共同闘争へと発展させる展望をもってたたかうことがもとめられている。
これらのたたかいとむすびつけて、医療、年金、介護などの社会保障の拡充や中小企業・農業支援対策などをもとめる政策要求や、憲法改悪阻止、教育基本法改悪反対、「日米安保条約」破棄などの政治闘争をつよめていくことがもとめられている。夏の参議院選挙において、自民党を中心とした連立政権にとどめをさすことも重要な課題である。
第三は、農民や中小零細商工業者、教師のたたかい、市民運動や生協運動など、諸階級・諸階層のせつじつな要求をかかげ、連帯してたたかうことである。
すでにおおくの先進的な活動家が、「企業内組合」の枠に限界を感じ、産業廃棄物処理場などによる環境破壊や原発に反対するたたかい、食と農業をまもるたたかい、子どもと教育を考える運動、反戦平和のたたかいなどに参加している。それを活動家個々人の参加にとどめるのではなく、労働組合としての集団的なとりくみへと発展させていくことがもとめられている。それは、「全人類を解放してのち、みずからを解放する」というプロレタリアートの歴史的使命をになううえで重要な課題である。
第四は、国際連帯である。
資本主義のグローバル化がすすむもとで、規制緩和、民営化など世界の労働者はますます共通する問題に直面しており、共通の敵にたいする協同のたたかいはきわめて具体的で実践的な課題となっている。とりわけ、グローバル化に反対する国際労働運動の一環として、日本における労働組合運動を発展させることがもとめられている。
また、アジアにおいては、南北朝鮮人民と連帯し、日朝国交回復を要求する運動、フィリピンをはじめとするアジアの反帝民族解放運動に連帯する運動、中国との友好・連帯の運動を重視しなければならない。
第五は、労働組合運動の強化である。それは、社会主義の展望をあきらかにし、職場を基礎にした具体的なたたかいと政治闘争を強化し、他階級・他階層の運動と連帯し、国際連帯を強化していくうえでも、もっとも基本となる活動である。
本誌では、再刊いらい一貫して、@反動的労働組合のなかで、分会、支部段階から下部労働者のせつじつな要求とたたかいを基礎にして、組合民主主義をかちとり、多数派を形成し、労働組合の主導権を組合員大衆がにぎること、A中小零細企業労働者やパート、派遣、臨時など未組織の職場において労働組合を組織し、集団的なたたかいをまきおこしていくことを追求してきた。
そのなかで、おおくの労働者は「いまの社会はおかしい」「なにもしなければ、ますますおかしくなる」と感じ、そのための組織として労働組合に期待し、行動をもとめており、活動家や役員が適切なはたらきかけをおこなえば、組合員が積極性を発揮し、労働組合の活動と団結がつよまることを経験してきた。そのうえで、活動家がまわりの労働者と日常の労働と生活のなかで信頼関係をかため、労働者の意識と要求の実際から創意的に運動をくみたてていくこと、労働組合の機関での討議にもとづく行動や支部分会段階での機関紙活動や職場討議が重要であることもあきらかとなってきた。また、全局の情勢とむすびつけて、職場や地域の矛盾関係の実際を調査することも不可欠となっている。
第六は、労働者のなかでの教育学習活動である。
労働者がみずからの権利にめざめ、具体的にたたかいをおこしていくうえでは、労働基準法などをまなび、労働協約や就業規則の内容を知ることが重要な一歩となる。
また、国内外の情勢をまなび、職場の問題と大きな政治・社会の仕組みがどのように関係しているかをつかむこと、マルクス主義の史的唯物論、経済学、哲学をまなび、労働者解放の道筋をつかむことが決定的に重要となっている。
本誌は、その一環として、2000年8月に
以上の6つの課題のなかには、すぐに実現できるものもあれば、時間をかけて一歩、一歩つみあげていかなければならないものもあるが、21世紀を労働者にとっての未来をきりひらく世紀にするため、ともに奮闘していこう。