『労働通信』2001年7月号
二〇〇三年公社化にむけて「赤字をかかえたままでは民営化論が再燃する。また、公社法案設立において、効率化計画などの付帯決議がつけられることはさけられない。それならば労使で協議し赤字削減の計画をだしあおう」として、だされたものが今回の「郵便新生ビジョン」である。郵政事業にかかわる最大の労働組合である全逓(一六万人)、全郵政(九万人)の中央本部が事業庁と共同で作成したものである。
「労使が痛みをわかちあうことを基本合意の柱にすえた」というのを、労働者を納得させる柱にしてある。中間機関である各地方郵政局、キャリアをふくめた削減や廃止、管理職の削減、特定郵便局長の削減などをおこなうから効率化計画に協力しろというのである。つまり郵便事業の大リストラ計画を労資でやろうというものである。この発表は労働組合の各支部にとっては、「労使共同宣言」であるため「提言はしても反対はするな」という足かせをはめられたものでもある。
また、「郵便新生ビジョン」は各種要員の効率化計画だけでなく、賃金制度、人事制度にもおよんでいる。すでに国家公務員法の改正が国会審議にかかっており、マスコミでも報道されているが、キャリアをふくむ管理職の年俸制や、すでに管理職で実施されているボーナス査定を全職員に導入、賃金についても能率給を導入し、「成果をあげたものには褒賞を」とうたっている。
人事についても、選択人事コースが新設される。たとえば営業コースを選択すれば一定の成果をあげれば管理職コースにパスし現場には帰さないというものがある。
民間企業ではすでにおおくが導入されており、日本型の終身雇用制度や年功序列賃金がくずれてきているのは承知している。しかしそうしたことが労働運動にどういった影響をおよぼし、労働者の意識にどういった影響をおよぼしてきたのか、「郵便新生ビジョン」にたいする取組をつうじてつかみなおしてみたいと考えている。
わたしたちの職場でも「郵便新生計画」への関心は高く、先日おこなわれた全逓支部委員会でも、集配の労働者を中心につぎのような意見がつぎつぎとだされた。
「ビジネス地域の午前中配達という施策で、二〇〇一年度一〇月に二〇〇名の削減がいわれ、すでに短時間職員(四時間)の募集もしめきられた。ビジネス地域では昔から、速達を平常信書とはべつに速達便で配達するのか(単配)、それとも平常信書といっしょの便で配達するのか(併配)、が問題になる。この職場では、要員問題、職員の作業配分から併配が容認されてきた。お客からすればなぜ速達も平常信書もおなじ時間に配達されるのか納得いかない。当局は一番はやい便にのせているといいわけしているが、速達の単配要員が配置できていないのが現状だ。こうした要員事情を整理してから今回の提示を整理するべきだ」
「削減提示にどういった根拠があるのか聞いてみたい」
「支部としての態度をあきらかにし、受け入れざるをえないなら、ここだけはゆずれないという線を要求としてだすべき」
「『ニューユニオン構想』(全逓と全郵政を合併して『ニューユニオン』を結成しようという全逓の構想)はどこまできているのか。この支部では全郵政より全逓の組合員の異動がおおすぎるのではないか。全逓の組織数が減少している」
「賃金制度の改革について支部として意見をいうといっているが、新昇格制度の実施のときも個人主義が発揚され、仲間意識がうすれていったが、今回はもっとひどい内容だ。組合は褒賞をみとめないといってきたのはどこにいったのか」
労働者の不安と怒りは日に日に高まっている。