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現地住民、市民ネット、労働組合が団結して上関原発建設阻止のたたかいを広げる

沢村 和世

『労働通信』2001年7月号

 私は山口県下関市に住む一主婦です。幸い今、ほとんどの時間と労力を市民運動に費やすことのできる境涯となりましたので、心置きなく反原発に取り組んでいます。

 私たちの県には一九八二年、中国電力が上関(かみのせき)原発計画を持ち込み、以来十九年間にわたって反対運動が続いています。

 日本の原発政策は国会や選挙で議論されることなく、すべて官僚が、とりまきの学者や財界と図ってそれを「国策」とし、電力会社が立地点と狙った地方自治体に下ろされてきました。あとは、「原発は必要で安全」というデマと膨大な金のばらまき。一九六〇年代中頃からはじまった原発建設、いま(”ふげん”も含めて)五二基にもなっています。

 また、えてして原発に関するマスコミ情報はその地域にせばめられ、たとえば上関のことが関東や東北の人たちに知らされることは、よほどの事がないとありません。

 しかしそれでも人々は次第に賢くなります。先日の新潟県刈羽村での快挙に、もう、反原発の流れは押さえられないのだと思いました。

 山口県で中電は上関に計画をもってくるまえに、日本海側の田万川、豊北、萩を次々とねらいましたが、地元から強い拒否にあいました。その経験に懲りた中電は、今度は瀬戸内海側にもって来、しかも「地元からの誘致」というかたちをとるよう計らいました。

 計画が持ち上がったときには、実に町長をはじめ、議員、区長など地元のボスどもはすべて中電に取り込まれていたのです。豊北のときは全部の漁協が結束して反対しましたが、上関では、はじめから、関係八漁協のうち反対派はただ一つ、祝島漁協だけという状況です。

 原発建設には国、電力、自治体などが関わり、この十九年間、反対の強い中、遅れ遅れに推進の手続きがとられてきましたが、国の焦りからか、ここ二年間の動きは急でした。

 九九年四月、中国電力が国に環境影響調査書を提出。

 二〇〇〇年五月、中国電力は関係八漁協に対し、漁業補償金一二五億円を半額支払い。(祝島漁協分五億四千万は受け取り拒否、供託)。

 六月、祝島漁協が漁業補償契約無効の裁判を起こす。

 一〇月、国(資源エネルギー庁)第一次公開ヒヤリングを上関で開催。反対派団体はこれをボイコットのうえ、八〇〇人の抗議行動でヒヤリングを三時間半遅らせ、会場のすぐ近くで独自の集会とシンポジウムを持つなどアピールし、ヒヤリングはさんざんなものとなった。

 二〇〇一年四月、まったく唐突に国から山口県知事にたいして意見照会。国は電源開発基本計画に原発計画をのせようとすれば、事前にその県の長の意見を聞かねばならない。

 このところの私たちの運動の中心は、この「知事意見」で同意させない、というものであった。二月一〇日から私たちは「上関原発の賛否は県民アンケートで問え」という知事宛の署名運動を展開していた。その真最中に突如として国から知事への意見照会が来たのだった。

 四月二三日、山口県知事は二一項目もの条件をつけながら、基本的には「同意」の回答を国に提出。

 五月一六日、上関原発計画は、国の電源開発計画に組み入れられた。

 さて近くはざっと、こんな経緯を経てきたわけですが、ここで、実際の現地の状況と闘いの主体についてのべていきます。

 原発を建設する側の条件としては、海、土地の確保、住民合意、環境保全などがあるわけですが、上関の場合、海は祝島漁協が一九年間闘争堅持のうえ係争中。土地は反対派の共有地や立木トラストがあるうえ、未買収の最大の神社地を宮司さんがあくまで売却拒否。住民合意は過去五回の町長選で、いずれも反対派が四二%以上は確保。昨年一二月の朝日新聞の世論調査によると、上関町、周辺二市五町、全県、いずれも反対派が上回っているという結果が出ました。予定周辺の自然環境にいたっては、瀬戸内海でも数少ない好漁場。スメナリ、ハヤブサ、希少種の貝等々、動植物の究極の楽園とまでいわれ、ここを埋め立てて原発を作るなど何事ぞと、内外の学者たちからの声もしきりです。

 さて先ほどから、「私たち」といいましたが、それは現地の反対運動と県下の市民ネットと原水禁(おもに自治労)の三者ががっちり手を結んだ「上関原発反対三団体協議会」です。いま労働組合の社会問題への取り組みが低調な中で、反原発に本気で取り組んでいる自治労山口県本部の姿勢に私は敬服しています。

 原発は過疎地の住民を札束でひっぱたき、大都会へ電気を送ります。大事故ともなれば現地が真っ先に被害をこうむります。また、下請け孫請けの労働者の被曝労働なしに原発は動きません。このような差別構造を私は憎みます。数ある原発拒否の理由の一つです。


地域住民の利益を守る

自治労山口県本部役員(談)

 自治労山口県本部は、それまでべつべつに行動をしてきた上関原発反対三団体(上関現地・市民ネット・原水禁山口)が九六年に一堂に会して、旧電調審への上程を阻止するために一六〇〇人規模の大集会を成功させて以後、上関原発建設白紙撤回をもとめて、すわりこみや阻止行動、一〇・二六反原子力デーでの県民集会のとりくみ、県や上関周辺自治体への申し入れ、学習会開催などを三団体で連携・共闘をはかり、反原発闘争を展開してきた。

 県民のなかには、二井県知事が国の意見照会で留保事項をつけて同意をあたえたことによって上関原発はできるのではないかという危惧(きぐ)がある。しかし、電源基本計画組み入れ後も住民投票によって反対票が六割をこえたために事実上凍結状態となっている東北電力の巻原発計画や、地権者が用地売却をこばみ停滞している電源開発の大間原発計画のように、白紙撤回をもとめて現地や県内の世論と行動をつよめることによって原発建設を断念させることが可能である。また、国の意見照会で芦浜原発の白紙撤回を表明した三重県知事のようにさせることも可能である。

 当面は、六月二四日に上関において白紙撤回をもとめる大規模な決起集会をひらき、県民の世論と行動をさらにつよめ、国にたいしては県のつけた条件の遵守を要求し、県にたいしては国への同意撤回を求める。中電へは無謀な原発建設計画の撤回を求めて抗議行動をおこなっていく。また県外の原発反対勢力との連携をつよめていく。

 自治労運動の教訓は、自治体の労働組合が地域住民の利益をまもってたたかうことを使命とすることによって、運動の展望も組織の発展もはかれるということである。上関原発反対闘争においてもその確信がさらに深まった。

 自治労県本部は、上関原発建設反対のたたかいを有利にすすめるためにこの夏の参議院選挙で自治労推薦候補の勝利、二〇〇二年二月の上関町議選、二〇〇三年四月の町長選で原発反対派の勝利をめざしてたたかっていく。今後ひきつづき三団体との連携をつよめて上関現地や二市六町をはじめ県内への働きかけをつよめて、上関原発建設反対闘争の勝利をめざして県民世論と行動をもりあげていくために努力する。

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