『労働通信』2001年9月号
第一九回参議院議員通常選挙が終了した。結果は予想どおり、小泉人気にささえられた自民党が改選議席数の過半数をうばう六四議席、保守党が一議席、公明党が一三議席を獲得し、与党三党で七九議席を獲得した。その結果、参議院では与党三党で一三九議席となり、安定過半数を維持することになった。
野党勢力の獲得議席数は、民主党が二六議席、共産党が五議席、社民党が三議席、自由党が六議席、各派に属しない議員が三議席という結果である。
しかし、当初「六〇%をこえるのではないか」といわれていた投票率は、前回の参議院選挙を二ポイントも下まわる五五・六%とワースト三位の記録となった。
当初の小泉人気にもかかわらず、なぜこのような行動になったのだろうか?
考えられることは、小泉首相のとなえる「改革」の内容がおぼろげながらも有権者にはわかってきたということである。「痛みをともなう改革」とは、実際には失業、リストラ、企業の倒産であり、勤労者にはなんらメリットがないということがわかりはじめてきているからである。また投票した人の五八%が「小泉では改革はむり」と回答している。それに当選した自民党議員のなかには、あいかわらずの業界代表者が多数うごめいている。かれらは、自分たちやその属する派閥の利益のみを代表して行動することにまちがいはない。これはべつの意味で「小泉改革」に反対する勢力である。
ある報道番組で「ほんらい選挙に勝ったのだから、小泉総裁は満面笑みを浮かべてインタビューを受けるはずなのに、総裁の表情はひじょうにかたかった」とキャスターがのべていた。まさにこれは、小泉首相の苦悩と参議院選挙に大勝しても反対勢力が増加することへの矛盾がにじんでいたことをしめすものであろう。
そうはいっても、与党三党で衆参両院で過半数をしめる状態だから、これから小泉首相のいう「構造改革」は加速的にすすむだろう。だがその前途には、利権集団とはべつの反対勢力が存在している。それはまだ微弱ではあるが、大きくなる勢力である、リストラ「合理化」に反対する勢力である。
さらに小泉首相の「靖国公式参拝」は、中国、韓国をはじめとするアジア諸国との対立を激化させている。また保守陣営とよばれている部分からも「小泉改革」に反対する論調があらわれてきている。いずれにしても小泉内閣の「改革路線」は前途多難だ。