『労働通信』2002年5月号

二月中旬、多摩市の鈴木市長がごみ収集業務の委託会社である東都興業から八〇〇万円のわいろをうけとったとして警察に逮捕された。その後のしらべで、べつの業者からもわいろをうけたとして市長は再逮捕されている。
東都興業は、創業は一九六一年で、百数十人の労働者をはたらかせているが、この事件の発覚後、市から入札業者としての指名停止の処分をうけている。同社は、多摩市のほか、稲城市をはじめ四市で構成する一部事務組合(事務の一部を複数自治体で共同処理するための組合)の「多摩川衛生組合」などからも委託業務を請け負っており、年間約一三億円の売り上げを計上していた。
労働者のあいだからは、「社員はなにもわるくないのに」「会社がなくなるかもしれない。もう、やめるしかないよ」「ローンで家を買ったばかりの人や、子供の学費でお金がかかる人もいる。事件のあと、わかい社員が二人やめた。二〇代、三〇代の人はすぐにべつの仕事がみつかるかもしれないが、年配の社員は不安をかかえている」という声があがっている。
このわいろ事件に先立つ一九九八年八月に、同社の収集業務中にダストボックスのなかにはいっていた児童の死亡事故がおきている。市長がわいろを受け取ったとされるのは、翌九九年の一〇月であり、市民や人人のあいだでは、死亡事故をねたに市長がゆすったのでは、とうわさされている。
三月にはいり、二日に市長の辞職願いが市議会で受理され、多摩市は四月一四日から市長選挙にはいる。
共産党など野党は、「清潔な市政」を訴えているが、この事件でもっとも犠牲をうけている東都興業の百数十人の労働者の生活や将来の不安などをとりあげる団体はない。