フランス労働運動について考えたこと

沢田 達夫

労働通信2002年7月号

 五月二六日、大阪で「グローバリズムとたたかう世界の労働運動」と題する講演会が開催された。この講演会は「社会主義協会結成五〇周年」記念の一環としてとりくまれたものである。

 講師は、名古屋市立大学経済学部の松村文人教授。松村教授は、ヨーロッパ、おもにフランスの労働運動を研究してきた人である。

 松村教授は、フランスの労働運動の内容について、組織率はわずか九%、しかも活動家の集団であり、すそ野が狭いが、国民から高い支持を得ていることを紹介した。

 また労組が五つに分裂していること、すべての労働組合に交渉権があるが大企業でも低組織率であり、ユニオンショップ制やチェックオフも認めていないなど、フランス労働組合の特徴を紹介した。

どのようにグローバル化とたたかったか?

 フランスの労働組合は、左翼内閣に政策を反映させてきた。それは@公共部門での若年者の雇用拡大、A週三五時間労働制、B失業保険を転職支援に強化する、C解雇制限法の制定などである。

 これらの政策で新規採用と社会負担の軽減、雇用不安の解消をすすめてきた。また企業閉鎖についてもかならず労使協議の開催、賃金カットなしの時短を実行してきた。これらの政策により、労働運動が活性化し、組合員が増加してきた。フランスの成果としては、運動の成果を社会制度として確立していくことにあるが、日本にはこれがない。日本の運動は閉鎖的であるという講演内容であった。

だがこれで十分か

 講演者のいうとおり、たしかにフランスの労働運動には、日本では考えられない問題、たとえば労働時間の短縮などをかちとってきた。しかし、これをすすめてきた左翼政権は総選挙で敗北してしまった。日本でも小泉内閣が、警察官や教師への採用枠の拡大を検討している。しかしそれで若年者の失業の増大がとまるすう勢ではない。

 グローバル化のもたらす影響はもちろん分析せねばならないが、ここにまでいたった資本主義の到達点を理解しないかぎり、それは非常にわくが狭く、結果にたいする闘争にしかならないのではなかろうか? この講演会を聞いてむしろあらたな問題意識をいだいたしだいである。

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