『労働通信』2002年7月号
| 郵政事業庁の下請け会社、日本郵便逓送の労働者有志は6月17日、大阪地裁に昨年1年間の未払い賃金の請求というかたちで、労働条件の一方的不利益変更に反対する集団訴訟を提訴しました。 |
昨年の四月以来、「新規業者の参入」を口実にした、郵政事業庁の運賃の一方的削減とこれに対応した日逓企業の「収支改善策」が労働者の生活に重大な打撃を与えてきたことは、この間の「労働通信」によって何回か記事にされてきました。
100万円以上の年収減もたらすリストラに憤激高まる(01年5月号)
資料・日本郵便逓送で提案された「合理化」案概要(01年5月号)
紛糾した全逓日逓近畿支部委員会(01年6月19日)
日逓企業の労働条件不利益変更に大阪労働局が「助言」 (01年11月号)
20年かけて組合幹部が会社に手なづけられてきた (02年1月号)
簡単に説明すると、一昨年一〇月に「丸運」という業者が、従来の運賃よりも三〇%やすい運賃で郵便輸送に参入したことから、郵政事業庁は、各輸送業者に対して、「運賃を丸運と同等にせよ。そうしないと従来の業者とは契約しない」と通告してきたことにはじまるのです。
この動きは、小泉内閣成立後急速に進み始めた、「規制緩和・郵政の民営化」を先取りしたものとなりました。
その結果、郵便輸送から撤退する業者もあらわれた。日逓企業は、この解決策を労働条件の一歩的不利益変更、労働者の賃金・手当の削減で対応したのです。
具体的には、休憩時間が一時間から三時間に拡大されたことで、その分手すき時間がなくなり、残業(超勤)がなくなりました。この金額は具体的には、毎月二万円〜四万円です。
つぎに型別運行手当の削減です。これは乗務する車両の大きさによって、手当がつけられていましたが、これが三年から五年にかけて消滅します。
さらに年間労働日の七日増加。病気でも休んでも基準賃金を保証していた、病気休暇の廃止。(病気で休めば欠勤扱いとなり、賃金カット)などが強行されたのです。
この結果、年収は大幅ダウンとなりました。裁判を準備する過程で、どれだけ利益を損失したかを計算したわけですが、超勤カット、病気休暇廃止、型別運行手当の削減などでおよそ八五万円〜一一〇万円、労働者が損をしています。逆に言えば企業はそれだけ儲かっていると言うことです。
当初、今回の裁判を準備するまでに、有志が大阪労働局へ「労働条件の一方的不利益変更に関する異議申し立て」や「個別紛争解決処理」の申し立てを行いました。しかしながら日逓企業の態度は不誠実そのもの。労働局へは出頭しますが、資料も持ってこず、「労働組合と話がついているからいちいち個別の反論はとりあげない」というものでした。
もちろん労働局は今回の事態が「労働条件の一方的不利益変更」であり、申請者に対しては時間をかけて話をするようにとの助言までしているのに、日逓企業は「法的な拘束力がない」ということで無視しています。
労働組合の議決機関の会議(支部大会、支部委員会)にもこの問題が提起されましたが、具体的なアフターフォローが何一つ提案されないままです。
職場のなかでは、多くの労働者が「こんだけ仕事がきついのに休憩時間が三時間になっただけで超勤が〇」「だれも休憩を三時間にしてくれとは頼んでいない」「労使ともに血をながすといっても血を流しているのは現場の労働者だけ」という不満がうっ積していました。こういうときに「裁判で決着をつけるで。原告になろうや」と話を進めるとほとんどの人が賛成してくれました。またすぐに原告になれなくても「支持する」「ボーナスでカンパする」という労働者が多数います。最近でも一万円、五千円という単位でカンパをくれる労働者がいます。
この裁判闘争の動きはいち早く、インターネットの掲示板や「まともな労働運動をきずく日逓労働者の会」などによって全国にながされ、おおきな反響を呼んでいます。
もちろん、企業側も指をくわえて見ているわけではありません。一部の人を使って「裁判をやれば労組から除名」「支持したやつも除名」とおどかしをかけてきましたが、柔軟な戦術ではね返しました。
裁判自体は勝つか負けるかわかりませんが「企業の理不尽な支配はゆるさない」「小泉改革の化けの皮をはぐ」闘いです。楽しく、いきいきとすすめていきたいと思います。
一方的賃下げは許さない!服務編成基準見直しは休憩時間(3時間)の乱用だ!
■2001年4月、日本郵便逓送(株)は『収支改善施策』なる、労働条件の一方的不利益変更を実施しました。導入後は(私で)年間100万円強の減収になり住宅ローンや教育費と多額の出費を抱える我々の家計を直撃しています。この一方的賃下げに対し近畿の仲間26名が2002年6月近畿統轄支店を訴え大阪地裁に提訴しました。
■思い返せば去年の4月から私たちはやり場のない口惜しさと怒りをもって日々働いてきました。なぜなら、これまでと同じ労働内容なのに服務線表に「休憩時間3時間」を入れるだけで超勤手当を支給しないペテン的手法はじめ年間休日の7日減、型別運行手当の廃止、深夜加算時間の廃止、超勤手当の割増率5%カットなど生活給としてなくてはならない貴重な手当を根こそぎ奪うものだったからです。
■しかも、労働協約変更に際し民主的決議機関の全国代表者会議を経ずに全国支部長会議で強行に決定しています。これでは個々の労働者の同意を得たとはお世辞にも言えません。
■他方、日逓企業の収支状況は毎年順調で安定した経常利益を上げ資産増はじめ10%の株式配当、天下り役員等の賞与支給も続けています。利潤確保のために「外圧論」や「事業危機論」を前面に出し賃下げを強行しているわけです。また、今後「勤務形態手当」や「開カン手当等」残っている手当の全面廃止も準備されています。一刻も早くこのような流れを止めなければ我々の生活は根底から崩されてしまいます。この裁判闘争が端緒になることを願ってやみません。
■原告団メンバーは、大津支店はじめ京都支店、大阪支店、運行管理センター、摂津(営)、和歌山支店と近畿一円に広がっています。これらを見てもこの運動が日逓に働くものに共通していることが分かります。また、社会で言われなきリストラで苦しんでる全労働者のためにも原告団が先頭に立ち闘ってまいりたいと思います。
■しかしながら、裁判闘争は時間も費用もかかるのも現実です。つきましては、長期の闘争体制を維持するために『支える会』に入会していただき共に闘う体制を構築したいと思います。ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
郵便振替口座名 『日逓裁判闘争を支える会』
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