『労働通信』2002年9月号

私のはたらく職場はIT関連の部品メーカーで、会社はこの手の部品では世界一と豪語している。
この倒産・リストラの不況のなかでも、つぎつぎに新工場を建て、東南アジアにも進出して、さらには中国にも手をつけようとしている。
会社は、この地域で毎週のように新聞、チラシの求人広告をだしており、いま話題の企業になっている。しかし、なかで働いている二〇〇〇名あまりの労働者の構成は、正社員が二〇%程度で、八〇%の労働者は、派遣社員、期間社員、準社員とよばれるパート社員である。
新規採用の社員は、有名大学のしかも大学院卒しか取らない。地方の工業大学出ぐらいなら半年契約の期間社員である。女性社員採用はいまでは、皆無にひとしい。
生産現場は社員、期間社員、派遣社員の割合は三分の一ずつになってしまっている。
現場の期間社員のなかには女性も十人程度おり、男性にまじっての二交代の勤務である。男性でさえ、夜勤の勤務に「人なみの生活ができない、命をけずっての勤務」とぼやいているなかで、肉体的にも、精神的にもたいへんである。
しかし、一定の生活ができる賃金を得ようとすればこれしかないのである。それも半年の契約で会社側が継続しないといえばクビである。
さいきんはとりわけ派遣社員の増員がめだち、現場だけでなく、事務職にもおおくなっている。女性のおおい商品検査部門には、ここさいきん、派遣で夜勤専門の労働者があらたに雇われた。Y工場では一七時から二三時、A工場では一七時から夜中の一時までという。彼女たちは一七時の出勤時には「おはようございます!」「おはようございます!」とあいさつしてはいってくる。はじめて遭遇するものにはびっくりする光景である。
彼女たちのなかには、他に昼間も働いてくるものもおおい。食事もろくにとっていない。昼勤の派遣や、準社員のパートでも朝二時間、夜三時間の残業で一二〜一三時間労働するものもいる。また、夜の一一時、一二時まで残業させられている部署もある。
昼休みも五〇分しかないが、それもいそぎがあるといってスライド勤務もさせられ、短い昼食をとりながら愚痴をこぼす時間も制限される。今ではそれもあたりまえになった。
労働基準法からしても問題になるような内容のものではないかと思われる。賃下げリストラの嵐のなかで、家庭を犠牲にし破壊状態になっても、また人なみの生活ができない状態のなかで、生きるためにぎりぎりの生活が末端の労働者にしいられているのである。
会社のいう「世界一」は労働者の犠牲の上にたってのものである。そして会社は従業員教育として、現場労働者のなかから「教師」役をえらび、再教育させ、また認定制度をとり技術を向上させた上で、将来的には雇い広げた労働者の数を半分にすることをねらっているのである。