| 郵政公社化の悲しい現実 |
『労働通信』2002年9月号
近畿配達といっても何の会社か読者のみなさんにはちょっとわからないと思いますが、近畿配達という会社は、大阪中央郵便局や此花郵便局などで小包配達の請負をしていた会社です。
この会社が七月三一日に企業解散ということになってしまいました。
小包配達というのは以前は郵便局員が直接おこなっていましたが、二〇年ほど前から委託業者が請け負うことがおおくなってきました。近畿配達の歴史はふるく、四〇年ほど前からこの仕事をしてきており、勤続三〇年という労働者もいました。
しかし最近、郵政事業庁は、小包一個あたりの配達請負単価の値下げをつづけてきています。これに加えて、ヤマト運輸のまねをして、配達時間指定小包、チルドユーパックなどの新商品や不在者への配達、日曜日の配達など、仕事内容が複雑化・多様化してきています。
とくに年末のいそがしい時などは、休日すらとれない状況になっています。そこに配達請負料の切り下げですから業者としてはやっていけません。
近畿配達では、請負料の値下げにたいして、基本賃金制度を廃止して完全ノルマ制賃金への移行などをすすめてきましたが、労働者がどれだけ生活を切りつめても企業存続ができなかったということです。
郵政事業庁は昨年八〇億円の黒字をうみだしましたが、そのうち五〇億円は郵便輸送や配達関係の予算を削減した結果だそうです。青森でも郵便輸送の業者が今年の春、業務から撤収しましたが、犠牲はいつも委託などの下積みの労働者にくるのです。
一方、公社に移行することが決定した郵政事業庁は、書留、速達、小包などお客様と接する郵便の配達は正職員で、お客様と接しない郵便の配達は非常勤でという新しい配達のシステムを考えています。
これでいけば小包配達の業者はまったく仕事がなくなります。また正規職員が配達するといっても今の正規職員とはかぎらず、短時間職員かもしれません。
またポストをあける仕事などはほとんどが競争入札となっており、最大手の日本郵便逓送すら落札できない状況です。
ここには徹底したコストダウンと競争意識、そして「安ければいい」と称して、労働者の基本的な生活権すら破壊する資本の卑劣な態度が見えます。
最近、東名阪高速道路で、居眠り運転していたトレーラーが追突事故を起こして、火災が発生し、七人が死亡、一五人が重軽傷を負う事故がありましたが、これにしても大阪〜茨城七〇〇キロを一往復半、二一〇〇キロを一睡もせず運転した結果なのです。郵便輸送や配達に関してはまだここまでひどくはありませんが、そうなることはまちがいないでしょう。
近畿配達の労働者は全逓に組織され全逓近畿配達支部を結成していました。今回企業が解散することで、労働者の雇用問題が発生しました。当然上部団体の全逓近畿地本も組合員の雇用を最優先で取り組むことになります。
しかし現在、「雇用が確保」された組合員は九名中二名。しかもユーメイト。ある日逓支部の役員は「雇用が確保されたといってもこの程度か」となげいています。
今回の事態は郵政の徹底した安上がり政策が生みだしたものです。全逓としても単純に「みんなで公社に行こう」というだけでなく、委託業者もふくめて公社の元でどのように運営していくのかという政策を事業庁にぶつけていかないと、ますます企業解散、輸送・配達からの撤退が増えていくだけでしょう。