頑強なたたかい堅持するアメリカ港湾労働者

『労働通信』2002年11月号

 アメリカ西海岸の港湾労働組合ILWU(国際港湾倉庫労組、組合員一万五〇〇人)が、頑強なたたかいをくりひろげている。西海岸主要二九港の雇用者代表組織、PMA(太平洋海事協会)は組合の弱体化をねらい一〇日にものぼるロックアウトなどをしかけたが、労働者のたたかいをくずすことはできないでいる。

 このたたかいは、三年ごとの労働協約再締結をめぐるものである。ことしは旧協約が七月一日にきれるため、五月一三日から交渉がおこなわれていた。PMAの姿勢は当初より強硬であり、賃金引きさげ、健康福祉制度の財源削減などを押しつけようとしてきたが、これらはすでにはねのけ、基本的に合意を勝ちとっている。残る主要争点は、コンピュータシステム導入にともなう諸問題であり、ロックアウトにたいするさいきんのたたかいはこの問題をめぐるものである。

組合の影響力低下狙う

 諸問題のひとつは雇用慣行の維持である。西海岸の港湾では組合が仕事を割り振っているが、資本は新システム導入による新職種をこの制度の適用外にしようとしているのである。この新職種にはコンピュータオペレーターなど港の運営にカナメとなる職種もふくみ、これらが非組合員となることは組合の力を奪い、組織を切り崩す第一歩となり、かつてのような労務屋を通じた暴力的支配さえ再現させかねない事態におちいる。新システムはまた、一〇〇〇〜一二〇〇人の仕事に影響をおよぼす。当然、雇用保障が必要だが、資本は拒否している。

 こうした資本の強硬姿勢がついに、労働者のスローダウン闘争を理由にしたロックアウトになったのである。ロックアウトは九月二七日夜(現地時間)から二六時間続き、いったん解除されたもののすぐ再開され、二九日から一〇月九日まで一〇日間にもおよんだ。しかしILWUはピケット闘争などで対抗、屈せずにたたかい抜いている。

経済に大きな影響

 ロックアウトされた二九港は、コンテナ取扱量全米一、二位のロサンゼルス港、ロングビーチ港をふくみ、主要港湾を網羅している。必然的にその影響は半端ではない。アメリカ経済の損失は一日一〇億ドルとも二〇億ドルともいわれている。ロックアウトの長期化による貨物滞留は激しく、農産物など生鮮品が大量に廃棄された。

 国際貿易への影響もおおきく、トヨタ、ホンダなどの自動車大手、ソニーなどの電子機器大手は部品を空輸に切り替えたが、この運搬方法は高価であり、また空輸できる品目の種類は限られ貨物量にも限界がある。生産ラインを停止するなど、そうとう影響がひろがっていった。これらの企業の担当者によると、悪影響は一〇月はもちろん、一一月にものこるそうだ。

 こうしたなか、ブッシュ大統領は八日、タフトハートレー法(労働管理関連法)にもとづき指揮権発動を決定、連邦地裁の承認をへて、九日、港湾封鎖は強制解除された。同法によると、港湾施設はこのあと八〇日間、ストもロックアウトもできず、このかん、連邦政府が調停をすすめることになっている。

 かくして、ロックアウトは終わったが問題は解決されたわけではない。政府の調停に期待がもてるわけでもなく、たたかいは次の段階に入ったところである。なお、同法によるさいきんの指揮権発動は、一九七八年、カーター政権による炭坑スト強制解除にまでさかのぼるが、このときは調停が失敗、カーター政権は大打撃を受けている。

 このかんの資本の強硬姿勢の背景には、経済のグローバル化とそれによる競争の激化がある。そのなかで各国の港湾資本はいちように「規制緩和」の拡大と組合つぶしを夢見ており、これも明白なあらわれといえる。

 だから、労働者の国際的団結はいっそう重要である。このILWUのたたかいにもフランスの港湾労働者組合が全面支援の声明をだし、オーストラリア、スウェーデン、そして日本の労働組合も支援を開始している。

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