
『労働通信』2003年1月号
「労働通信」編集部では賃下げ問題を特集するにあたって、編集部に労働問題について相談をよせていただいた方方に職場の賃金問題についての現状を教えていただくようよびかけた。
これにたいして、半数近くの方方から切実な現状や問題意識が返信されてきた。
そこでの特徴は、やはりおおくの職場で賃下げが現実に進行していること、とくに中小・下請け企業の労働者や自営業者、女性やパートの労働者、妊婦、体調をこわしている人など、弱い立場にある人人に真っ先に犠牲がおしつけられていることがあきらかとなった。
賃下げにたいする怒りは当然高まっている。同時に成果実績主義賃金が導入されるなかで、「がんばって働いているものが評価されない」ことへの不満も高まっている。
労働組合にたいする不満や幻滅も共通して語られている。そのなかでも「たたかう労働組合」をもとめて動き出している労働者もうまれている。
編集部によせられたメールの一端を紹介したい。

さいきん、会社側より昇給や一時金制度の廃止の申し入れがありました。他にもこまごまと諸手当廃止を申し入れられ、細かい手当については、同意していないのに一方的にカットされました。
これらは、売り上げ低下を理由とした不利益変更でした。しかし、実際には経営状態は悪くなく、私への賃下げは、世間の不景気に便乗した一種の退職勧奨だと思います。
賃下げにたいする対策として、不必要な物を購入しない、ぜいたくをしない程度の工夫で生活はできていますが、貯金にまわすほどの余裕はありません。
この現状とたたかうために、使用者に経営の透明化・健全化・経営努力などをもとめることができればと思います。
司法事務所職員
今年、私は約四万円の賃下げがありました。というのも、過度なストレスにみまわれ、精神科のカウンセリングが必要な状態になり、二カ月間休職してしまったためです。二カ月で何とか体は癒え、復職を願いでたところ、会社からは「戦力として考えていない」といわれました。結局、復職するために、新入社員とおなじ扱いをするという条件をのまざるをえませんでした。
私の会社の給与体系は、年齢給+勤続給+実績給となっていますが、新入社員は年齢給の分しかないため、二一万円ほどの給与が一七万円ほどになってしまいました。賃下げの影響はすごいです。手取りもやはり四万円ほど違うから。生活に必要なお金というのは固定費の占める割合が大きいので、足りない分は私と妻の親にたすけてもらっています。
なんとかがんばって自分の給料は自分で元に戻してみせます。
印刷関係自営業者
印刷関係の自営業をやっているものです。
最近、取引先の製版会社から単価の切り下げをいわれました。製版会社がその受注先である印刷会社から一カ月だけその月の売上にたいして数%の値引要求をされ、その値引率を当方にも充当するよう要請がありました。
製版会社や印刷会社にとって、受注減および価格競争による受注単価の下落が経営を圧迫してきているのは事実ですが、自社の利益改善のための経営努力をせずして手っとりばやく下請け単価のきりさげがおこなわれています。
このような犠牲転嫁とたたかうことは、私のように個人で営業をしているものにとっては非常にむずかしい問題です。たたかうための強力なバックアップがあればいいのですが……。
専業主婦
賃金とは直接関係ないのですが、女性にたいするセクハラ、女性社員の結婚=退職という考え方、上司からの嫌がらせ、職場内での人間関係について考えさせられます。
私の友人は、結婚二年目に妊娠し、育児休暇をとるようにしていたものの、上司の嫌がらせにより退職しました。そのころ職場内でリストラのことが噂されてたようです。産後も働く意志があり、その旨を上司につたえても、「聞く耳持たず」というようすだったそうです。
だんだんと大きくなるお腹をみては、「何かある前に辞めたら?」といったようなことをいわれたりして精神的につらく、いづらいので辞めたといっておりました。私もこのことにたいしては怒りを感じてしかたありませんでした。妊婦だから心配してくれるのはありがたい。でも、それを理由に退職させようというのがどうかと思うんです。
不景気な時代ですから、なんらかの理由をつけ、自主退社させようとするのはどうかと思います。
建設労働者
さいきん、世の中では「時短」「時短」といわれ、会社も「時短」をはじめてますが、実際はサービス残業が増えているのが現状です。仕事の内容は変わらず、責任が重くなって残業がつかない分、年収はさがっています。このような状況を若い職員がみているなかで、上には立ちたいが管理職にはなりたくないという声が聞こえてきます。
賃上げはここ三年間なしです。会社の売上も目標にたいして六〇%ぐらいです。会社は、ぜんぜん聞く耳をもっていません。
夏のボーナスは、全員が一律同額でした。そのことは、会社に楯つかず、だまって自分の作業をしてる人たちが「よい社員」になり、会社を良くしようとがんばっている人たちが損しているということです。
このような状況では、いくらがんばってもこの会社で働きたいという夢がもてない状況です。だれもが働きたいという会社にしたいので、労使でがんばりたいのですが、なにぶん、組合が雇われ組合なので、どうしても会社にまかれてしまいます。
公立病院看護婦
さいきんは看護婦手当てもカットされたのですが、うわさによると同じ時期、町長や議会議員の手当ては逆に増えたとか。
組合も弱く、病院自体の問題がとりあげてもらえない状況が一〇年以上前から続いています。看護婦は、主婦層がおおく、組合活動になかなか打ち込めず、夜おそくまでの話し合いに参加できる人はすくないです。
でも公務員はまだよいと思います。私の主人は、最近会社がつぶれて、半年お給料が入らず、大変でした。
がんばっている人が、認められないのは不公平です。公務員でありながら、その職におぼれて、お役所様様の時代はもう終ったことをまだわかっていない人がおおいです。評価する基準が大変むずかしいですが、給料の能力・出来高払いなどは一般的にもうあたり前のことなのに、仕事を積極的にしないのに文句ばかりいっている人が目だちます。
とにかく、労働条件はどんどん悪くなる一方ですが、最低のラインはまもっていただきたいとつくづく感じる今日このごろです。
JR下請け労働者
現在、会社で労働組合の結成の動きがあります。でもそれは会社主導の御用組合の結成です。私も職場の同僚のすすめもあったので名前を書きました。でも本心は参加する気はありません。役員も上司のお気に入りの連中だからです。
うちの会社はJRの下請けで、会社の上層はJRのOBと出向者で占められています。私自身、会社の給与や賞与の取り決め方に不満があります。仕事はできないのに部長、所長にごますりのうまい人間が昇進している実態もあります。旧国鉄、JRの悪い体質をかなり受け継いでるようです。JR本体は改革がすすんでいるようですが、下請けにはJRに不適な人間がきてるせいか、改革はすすんでないような気がします。
中小企業労働者
その節は、大変ありがとうございました。「労働通信」ホームページ、掲示板でたいへんはげみになりました。
私の方は、現在、重大な労働争議に発展しております。
三カ月前、私の職場の問題を連合さんに相談にいったところが、裏で会社とのつながりがあり、私の問題自体をつぶされそうになったということで「労働通信」さんに相談しました。
その後、労働基準局の個別労働あっせん解決システムに期待を寄せましたが、結果、まったく話になりませんでした。私は、もう役所的な行政機関はまったく頼りにならないということを悟りました。
その後、某地域ユニオンと出会いました。そして、ユニオンに毎日通いつめ、自分の争議と他の相談者の争議活動に追われる毎日です。まだまだ、私の争議解決には時間がかかりそうですが、労働者の会社人間からの脱却に少しでも力になれたらと思う所存です。私の争議が解決しだい、ことの詳細をご報告をしようと思っています。