『労働通信』2003年5月号
三月三〇日、大阪市内のエル大阪で、郵政全労協が主催する「郵政公社を監視するシンポジウム」が開催された。このシンポジウムには、郵便労働者をはじめ、約二〇〇人の労働者、障害者団体の人たちが参加した。

主催者を代表して郵政全労協の棣棠(ていとう)氏は、「公社化によって郵政が変わると言われているが利権構造はまったく変わらない。とくに官僚構造は手がつけられていない。これからほんとうの意味で、郵政の改革をすすめていく」と開会の挨拶をのべた。
シンポジウムは三部構成でおこなわれ、第一部は山家(やんべ)神戸大学大学院教授の講演であった。
山家教授は、「小泉の構造改革はプラスのイメージがあるがそうではない。停滞産業から成長分野へ人・物・金を移動させることが構造改革であり、そのための規制の緩和、社会保障の後退、経済の破綻である。成長分野でもリストラがすすみ、これからは英米なみに所得格差の拡大、貧困層が増加する。解決するには人人の将来への不安、とくに年金、健康保険などを充実させていくことがたいせつである。日本の対外資産で十分対応できる」とのべた。
第二部は森博行氏(大阪労働者弁護団)、前田純一氏(労働大学講師)、倉林浩氏(郵政全労協)、池田実氏(郵政免職者)が発言。とくに森弁護士は、「郵政公社はかたちは国営だが実際は民営に近い。労働者の争議権や政治活動の自由を獲得すべき行動がたいせつになってくる」と発言するなど、郵政公社のもとでの労働者の活動の重要性を訴えた。
第三部では韓国郵便労働者の朱永斗氏の韓国における郵便労働者の活動内容、三種、四種郵便の廃止に反対してきた安藤氏、ウイメンズアクト二一の代表の臨時労働者のたたかいの経過、大阪全労協議長の前田氏、日逓不利益変更裁判闘争原告団の成田氏、トヨタの労務管理を実験的に導入されている越谷郵便局の労働者などから職場状況、たたかいの経過などが報告された。
この集会では、全体的に郵政公社のもとでの労務管理、営利活動などにたいする不信と懸念――たとえば従来のような威圧的な労務管理がやられたり、公社という形態を悪用して、労働者が職場の問題を取り上げたりすれば「君らは公務員」「全体の奉仕者」といったり、逆に「公務員意識をすてろ」「もっと民間の手法をかんがえろ」とつかいわけたりすること――が深くあることが理解できた。
「かぎりなく民営に近い」郵政公社では今まででは考えられないような労務管理、人材登用、賃金体系などがうちだされるかもしれない。民営化にむかう一面として、古くさい官僚的、威圧的、命令的な労働者支配ではなく、労働者の自発性、積極性を活用する方向にむかう可能性もある。
生田新総裁をはじめとする、郵政公社の幹部をふくめたこれからの方向性をじっくり見ていく必要があるし、所属する労組の違いはあっても支部や分会段階でこのような公社やその意向に基づく管理職の動きをみまもる必要がある。
ちなみに生田新総裁の月収は約一六三万円、副総裁の高橋氏は一五二万円、事業庁長官から副総裁になる団氏は一一六万円だそうである。