「労働通信」2004年1月号
読者の皆さん! 新年あけましておめでとうございます。
昨年二〇〇三年は、まさに戦争ではじまり、戦争におわった一年だといっても過言ではありません。二〇〇一年の九月一一日、ニューヨークとワシントンで発生した「同時多発テロ」を契機にアメリカは、アフガニスタンに侵攻し、そして二〇〇三年三月には「大量破壊兵器の保有」を口実にイギリスなどとともにイラクを侵略・占領しました。しかし、この一年間におきた事実は、侵略したアメリカがイラク人民の抵抗にあい、また世界人民からの反抗をうけ、にっちもさっちもいかない泥沼にはまりこみ、国際的に孤立をふかめていることをしめしています。イラクにおけるアメリカ兵の戦死者は、イラク戦争中よりも戦争終結宣言後の方がはるかにおおく、すでに戦死者四五〇人を越え、費やした戦費は二〇〇〇億ドルに達しているといわれています。しかも、戦死者は、米軍だけでなく、「支援国」の兵士、国連職員や「支援国」の外交官や民間人などにもおよんでいます。
フランス、ドイツやロシアは、イラクへの派兵を拒否し、さらにイラク暫定政府の樹立をめぐってアメリカ、イギリスとことなる態度をとるなど米英と対立しています。また、世界的な反戦運動は、新たな高まりを迎えています。イギリスのロンドンにおいて開催された三〇万人の反戦デモに象徴されているように、アメリカをはじめ世界各地で平和をもとめるたたかいと動きは、活発化し発展しています。
中国は、「中国の特色を持つ社会主義」の建設をかかげて経済的自立と発展をかちとり、政治的な力量をつよめ、国際政治のうえで威信を高めています。中国は、アジアにおける経済圏の確立のために日本、韓国をはじめASEANとの貿易の自由化をはかる計画をうちだし、相互の経済的な関係をふかめようとしています。最近では、朝鮮民主主義人民共和国をめぐる問題の平和的解決にたいして、「六カ国協議」の開催のために主導的役割を演じ、さらに有人宇宙船のうちあげに成功しています。
これらの国際的動向は、世界の反戦平和と人民生活の安定をめざす力がつよまりつつあり、米英の武力による他国への侵略と他民族支配、世界におけるアメリカの一極支配構造が崩れつつあることを意味しています。いま、世界をめぐる情勢は、戦争の激化と貧困の増大という悲惨な状況としてあらわれていますが、世界の労働者階級と人民の闘争とその力は一歩、一歩、前進しているとみることができます。
しかし、小泉内閣と自民党など反動勢力は、この世界の発展的すう勢に逆行し、あくまでもアメリカの軍事力によるイラクへの侵略と占領支配を支持し、自衛隊のイラクへの派遣にふみきり(昨年一二月九日に臨時閣議で基本計画を決定)、日本を危険な道にみちびこうとしています。このアメリカへの追随は、日本の安全保障をはじめ政治、経済、外交など全面にわたっています。この間の小泉内閣の「構造改革」は、アメリカのグローバル化に照応したものです。日本の危機と日本人民の苦難の根源はここにあります。
小泉の「構造改革」の正体は、一部の富裕層や銀行など独占資本を救済し、その利益を保護し、圧倒的多数の人民を貧困に追いこむ政策であることが日を追うごとにあきらかになっています。小泉の「構造改革」があたかもそれが経済を活性化させ、景気を回復し、人人の役にたつかのように宣伝されてきましたが、実際は職場で吹きあれるリストラと称する首切り、賃下げ、中小企業のなぎ倒し、銀行へのあつい保護、労働法の改悪、規制緩和をもたらすものであり、人民生活を破たんに追いこむものでしかありません。年金改革にしろ、税金問題にしろ、はじめに負担ありきで、ただでさえ賃金のきりさげ、雇用不安におびえる労働者からは「もういい加減にしてくれ」という悲痛な叫び声が聞こえてくるのが現実です。
こうしたおおくの人人の怒りは、さきの選挙で自民党が敗退し、民主党が善戦したこと――比例区では民主党が比較第一党になる――などにあらわれています。いままで、自民党王国といわれていた奈良や滋賀で、マスコミでも有名な現職議員が落選するという事態がおこり、自民党が一定の支持基盤をもっているのが九州の一部と中国地方、四国地方のみとなっています。いまや公明党の支援がなければ政権維持ができないという状況です。
このことは、「選挙では政治は変わらない」とか、また政治に反発することから政治にたいし無関心をよそおっていた人人の意識に変化がおこっていることのあらわれです。それは、小泉の「構造改革」の欺まんがみやぶられつつあり、人民の政治意識が高まり、民主主義への自覚が高まりつつあることをしめしているといえます。
戦争も貧困も差別もない社会実現の新たな第一歩を
いま、職場や地域における労働者への搾取強化、権利の剥奪は目を覆わんばかりです。しかし労働組合はこの事態に十分対応できるだけの力を発揮していないのが現実です。はっきりいえることは、企業の成長にあわせて労働者の生活の向上を考えるという従来の組合運動では、構造改革のもとさまざまな手段をつかって資本主義を延命させようとしている独占資本の攻勢に対抗できない時代にきているということです。
本年も労働者・勤労人民のおかれている環境は決して楽観できるものではありませんが、確固とした信念と展望をもってこの厳しい状況を打開していこうではありませんか。
『労働通信』編集委員会は、新しい年を迎えるにあたり次のテーマを提起します。そのため、本年も読者のみなさんとともに考え、行動し、誌面の充実を追求していきたいと考えます。
それぞれの課題にたいし地域・職場から具体的な行動提起をおこなおう。そして、真の民主主義を発展させ、戦争や貧困、差別のない社会を実現するために奮闘しよう。