研究・開発部門と非正規雇用労働者が増える職場

『労働通信』2004年1月号

  大手電機メーカーM社のA工場には、本工のほか、派遺、アルバイト、有期社員、準社員(一年契約)などの労働者がはたらき、それにくわえて関連会社の労働者が設計など一つの部門をまるごと引き受けてはたらいている。具体的には、本工社員六五〇人、アルバイトと派遣が一〇〇人ずつ、有期は五〇人、準社員三〇人となっている。関連会社の社員は三〇〇人がはいってきている。

 本工社員六五〇人の内訳は、現場二〇〇人で、あと研究・開発二〇〇人、事務関係が二五〇人となっている。ホワイトカラー労働者が合計四五〇人と、ブルーカラー労働者 二〇〇人の二倍以上いることになる。

 

 アルバイトなどはおもに製造現場に配置されている。派遣労働者はこの四〜五年で増加した。年齢構成は大半が四〇才代後半か五〇代それと二〇代で、三〇代がいない。これは九〇年のバブル崩壊期の採用止めの影響である。

 こうした職場の背景には生き残りをかけた国際競争がある。

 M社をはじめ、各メーカーは世界ビッグ・スリーの仲間入りをしなければ倒産などの事態におちいる危機感をもっている。M社A工場ではいま業務用空調機をつくっているが、それは国内で二〇%のシェアをもっており、肩をならべているD社、T社などとの競争が熾烈になってきている。そのためM社は、業界での「トップブランド」「オンリーワン」の企業体質にもっていっていきたいとしている。やはりアメリカの企業が世界のナンバー・ワン〜ナンバー・スリーまでをしめ、目本はそのナンバー・スリーとの競合のなかに食い込んでいきたいようである。M社の年聞売り上げ三〜四〇〇〇億円であり、アメリカの企業Y社が約八〇〇〇億円とずばぬけている状況である。

 家庭用エアコンの国内生産は今はダメになっている。国内で生き残るには他社をはるかにリードする新しい技術が必要である。市場が必要とするものにたいして、トップメーカーとして他社を引き離す製品開発でこたえることが必要である。そうでなけれぱすぐに他社は追いついてくる。

 開発費のつづくかぎりの競争にうち勝つ力がもとめられている。そのため、本工のなかの研究開発の担当者が二〇〇人も配置されされているのだ。それは、中国などの海外との差別化をはかることでもある。今の不況時にいくら製品を工場がつくりだしても利潤につながらない。企業としてはどう利益を得るか。もちろん搾取の強化であるが、現実にはいかに新しい高付加価値製品をつくりだしていくかが問題である。

 同時に、国内にのこる生産ラインはコストを徹底的に削減するために、製造現場では準社員、有期社員、派遣、パート、関連会社社員などをふやしている。

 「安かろう悪かろう」という時代は終わったので、品質にたいして客(消費者含め) が大変うるさくなっている。顧客満足度にシビアとなっていることである。工場としては不良品ゼロで、なおかつ高付加価値を求められている。それが他社をリードするということにつながっている。

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