すべてが夜の勤務となる深夜勤

「労働通信」2004年3月号

 おおくの郵便局では、上の図のような深夜勤の勤務指定表(週四〇時間勤務)が導入された。通常は、このような勤務を一カ月に四回もくりかえしている。

 この勤務は、拘束四四時間で休憩時間をひけば実働四〇時間となる。それにこの深夜勤には、一回の勤務に三八分の特例休息がもうけられているので、実働時間は週に二時間三二分(三八分×四回=一五二分)すくなく、三七時間二八分になる。これでいけば、労働基準法の週四〇時間を遵守していることになっているが、おおくの組合員が問題にしているのはこの指定表でわかるように、三日つづけて翌朝に勤務がおわって、その日の夜にまた勤務にでなければならない服務体制である。しかも、一週の勤務のうち四回がすべて夜の仕事になっている。

 おおくの組合員は、帰宅して寝ようと思っても、昼間ということで寝つきがわるく(人間は夜に寝るのが習性)、また昼間は子どもなどがいてゆっくり寝ることもできない。組合員が問題にしているのは、こうした生活全体が狂ってくることである。深夜勤は、「夜勤明けが開放日で翌日週休のため体のリズムがもどるのに三日から一週間かかる」といわれていた「新夜勤」をしのぐものである。

 新夜勤を経験したA局の労働者は、「つらいのは夜勤明け当日の深夜勤の出勤と休息がとれないことだ」といっている。

 夜の窓口では、窓口対応とマルツ再配達(昼間に留守宅からもちかえった郵便物の再配達)に追われるため、細かい休息はとれなくなっている。「二四時間窓口」開設も夜の仕事に大きな負担となっている。おおくの労働者は、「二四時間窓口」に対応するために、「勤務解除時間」(いわゆる休息時間)をずらして窓口に対応している。おもな業務は、窓口での利用客相手とマルツの処理と再配達の処理である。

 夜間窓口は、午後八時以降にひらくことになっている。午後六時三〇分から午後七時三〇分までの休憩・休息はそれまでにとっているが、その後にあたえられている四五分の休息は実質的にとれず、午前一時一〇分まで仕事についている。

 さらに、午前一時一〇分から一時間の休憩と休息をプラスして午前三時一〇分から業務再開し、朝に一六分の休息を利用して飲食などをしている。そして、午前八時三〇分になったら勤務が終了するので、すぐ家に帰ることと寝ることしか考えないという人間になってしまう。

 また、B局の労働者は、「年をとると深夜勤は耐えられなくなる。年輩者はやめていく」とのべている。退職勧奨も今年が最後という噂がながれていることもあって、公社の計画を上回るほどの退職希望者がでている。四月からは、成果主義賃金制度によって全員の賃金が一割カットされることになる。そのため三月末には、当局がすすめる退職勧奨も増えるのでないかといわれている。また、経験ゆたかな非常勤の人はみずから職場をあとにしている。「日日の仕事は、きびしくなり、職員相互のコミュニケーションがとれなくなり、仕事にきても楽しくなくなった。仕事の責任だけは、個人に負わされている。非常勤の人は、何年はたらいても時給八七〇円ではやりがいもないではないか。作業が忙しいのはいとわないが、職場で楽しく作業のできないのには耐えられない、などという意見はおおい」と、このB郵便局の労働者は語っていた。

深夜勤導入のなかで進行する人員削減と既得権の剥奪

 近畿のある支部役員の意見

 問題なのは、深夜勤導入のなかで既得権がはく奪され、大幅な人員削減が進行していることである。公社の発足後、当局はモデル郵便局をつくってJP方式(トヨタ方式の郵便版)をすすめている。そこでは、深夜勤の導入とむすびつけて時間と仕事の見直しをさせられている。

 一日の仕事を一五分ごとに見直して、手が空いているところから、忙しいところに人を効率的に動かしていくということがやられている。トヨタでは秒刻みであったが、郵便では分刻みの労働にかりたてられるというものである。

 モデル局では、区分棚にランプが設備してあり、区分棚で郵便物がたまると赤いランプが点灯し、青いランプのところで作業をしていたものがそこに駆けつけなければならないようにされている。こうした作業方法の変更が深夜勤とむすびつけられて進行していることであり、これが単年度赤字の解消、赤字解決策としてうちだされた「郵便の新生プラン」といわれるものである。

 当初、当局は、これを「アクションプラン」と名を変えて四年計画で実施しようとしたが、日本経済の長期的な不況によって郵便通数が減少し、さらには宅配便との競争で客をとられるなど郵便局でとりあつかう郵便物が大幅に減少したために、それを二年計画に短縮するなどの緊急事態に追いこまれた。

 その結果、これまでの常識では計算できない人減らし計画が進行している。その数は、近畿のあるA郵便局では、各課あわせて五〇人にもおよび、小さな局なら消えていくような数字である。また、B郵便局でも三〇人ぐらいが削減されようとしている。効率化の名のもとにすすめられている公社の施策は、とどのつまり大幅な人員削減であることがはっきりしてきた。

 郵便課は、三交代でないとまわしていけない日がちかくなるであろう。新夜勤をのこす余力は、ここ一、二年で消えていくことになる。すべての局で深夜勤に移行すると思われる。一一時間拘束の深夜勤は、実質的には三交代勤務の幕開けとなるのではないか、またそれは、さらに大幅な人員削減を可能にすることになる。


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