
「労働通信」2004年3月号
私の勤務する日逓(日本郵便逓送)の職場では、現在、非常勤労働者(期間社員、短時間社員とよばれている)の組織化を全逓労組が中心となってすすめています。
日逓は郵便物を専門的に運送する企業ですが、一昨年以来の「収支改善策」と高度成長期に採用した労働者の定年が大量に出てくるなかで、新規採用が完全に止まっているので、正規社員の数が年々減少しています。他方で、減少した正規社員のかわりとして、期間社員と労働時間が六時間に満たない労働者(短時間社員)の人数が増加しており、私の所属する職場でも、正規社員と期間社員・短時間社員の比率が一対一となっているところもあります。
しかし、日逓の職場では正社員イコール全逓の組合員ということで、期間社員や短時間社員は労組の枠外におかれていました。
期間社員は、一日あたりの基準労働時間は正社員よりも短いものの、労働条件は劣悪であり、とくに賃金にかんしては、今でも正社員の三分の二弱です。しかも無理をした残業で年収四〇〇万円ほどです。それに管理者のその日の気分で労働者を使うような対応があったので、労働者の不満は蔓延(まんえん)していました。また短時間社員は、位置づけとしてはパートタイマーであり、社会保険もなく、企業の勤務シフトの編成の都合でいつでも解雇される状態にあります。
私の属する分会では、この非常勤社員がおよそ五〇名近くいます。
まず全逓としては、期間社員の組織化をすすめました。期間社員の七割は全逓に、二割は郵政全労協に組織され、未組織は一割です。
短時間社員については、当初、どのように加入の話をすすめようかと思っていましたが、短時間社員のなかには、正社員を定年退職されてから年金の支給年齢が繰り下げられた関係で収入を確保しようとするOB社員がきています。
このOB社員を足がかりに、短時間社員の組合加入をすすめたのです。また分会役員も加入オルグを積極的におこない、短時間社員にたいして、「個人では会社の労働条件不利益変更とは対抗できない。組合なら組織的に対応できる」「共済制度などの助け合いも労組のなかでできる、労組に加入した方がメリットがある」などの話をすすめていきました。その結果、営業所所属の短時間社員の九割を労組に組織できました。
今まで正規社員だけの利益に基づいた運動をすすめてきたので、分会の役員にも「どのように分会活動をすすめたら良いのか」という危惧は確かにあります。
当面は、分会執行部に短時間社員の代表も参加してもらい、意思疎通を図るということと、女性の労働者も参加しているので、事務部門の女性労働者との話し合いのできる場を広げていくこと、作業内容の実態の調査(小包取集に従事する短時間社員がおおい)や職場要求の吸い上げが必要になってくると思います。
かつてゼンセン同盟などは「右翼的労組」とか「労使協調」などといわれていました。今もそうかもしれません。しかし、非正規雇用の労働者・特にスーパーのパートのおばちゃんを多数組織しているのも、ゼンセン同盟なのです。全逓労組もいうにおよばず労使協調、いや労使癒着かもしれません。しかしだからといって、無権利・未組織の労働者を放置しておく手はありません。「正規社員の組合員が減少しているから」「このままでは組織がもたないから」という動機からだけでなく、おおくの労働者を労働組合運動に参加させていくということ(雇用形態に関係なく)、このことによって労組の力を強くするということが労組組織率一九%の時代に、現場の組合員や役員に求められていることではないでしょうか?