
「労働通信」2004年3月号
| 三月にはいり、春闘も重要な局面に入っている。本誌一月号では、「二〇〇四春闘の取り組みへ向けた提案」を掲載したが、今号では春闘をはじめ、実際の職場からの具体的なたたかいの経験について特集した |
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最近、九州地方の運輸関係の労働組合(組合員約一〇〇名)の前委員長の「解雇事件」が解決し、解雇以来一年四カ月ぶりに職場復帰をはたした。 労働組合と会社(日本通運の下請運送業)とのユニオンショップ制協定をたてにとって、前委員長の「除名処分」を理由にした「解雇事件」であったが、完全勝利をという結果をかちとった。 この事件は、会社側の意向を受けた一部組合員が、前委員長にたいして、「組合費横領」、「運行手当のきりさげをみとめた」という二点を理由に臨時大会で突然、除名処分を強行したことではじまった。前委員長は、「除名処分」の理由となった二点はまったく根拠のないものであることを再三にわたって会社にたいして申し入れをおこなったが、会社はこの申し入れを無視して前委員長に解雇を通告した。 |
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臨時大会後の新執行体制は、もし、前委員長の事件がほんとうに犯罪性があるならば、連座責任を負うべき前副委員長が委員長に、前書記長はそのまま書記長にいすわるという厚顔無恥なものであり、この事件が仕組まれた謀略だということをあらわす露骨なものであった。
この新執行部のもとで、一時金はゼロとなり、賃金は二〇%もカットされた。その金額は年間約二億円に達している。そして前委員長追放の立役者になった七人は、それぞれ係長、班長などに昇格していった。これらのことは、おおくの組合員にこの事件の真相と本質を自覚させるものとなった。
前委員長は、事件がでっちあげられるとただちに、旧執行委員の仲間をはじめとして組織だった解雇不当のたたかいをはじめた。そのなかで最重点の職場において大多数の組合員の支持をとりつけ、手がだせないと思っていた二つの職場も二つに割れる状況がではじめた。
また、地位保全の訴訟をおこした裁判では、組合側が公認会計士による調査結果を提出したが、それにたいし「横領の事実はみとめられない」という結論をだした。これによって、除名理由の最大の根拠がくずれた。また、「運転手当の件」については、三年前からの「労使協議事項」になっていたという事実が執行委員会の議事録や組合の宣伝ビラなどによって立証された。このことは、この事件が一部の組合員と会社が仕組んだ謀略であることをあきらかにした。会社とその手先になった一部の組合員は、前委員長と前執行部が泣き寝入りをするであろうと考えていたし、かれらが徹底抗戦という姿勢をとるとは予想さえもしなかった。完全に会社の思惑がはずれるというものであった。
おおくの組合員は、このたたかいのなかで前委員長の「除名・解雇」事件の背景に、長期の経済不況を労働者の犠牲によってのりきろうとする会社の意図があり、賃下げをはじめとするリストラ「合理化」の強行のねらいがあったことを自覚した。前委員長を中心とする旧執行部は、労働組合が会社の圧力によって骨抜きにされ、全組合員の利益が損なわれるということを座視するならば、いままでやってきたことは一体何だったのか、これまでの活動自体が問われるという自覚にたつことができた。すべての組合員の利益をまもるための活動をしてきた事実を問いなおし、このことを力に孤立無援と思われる一人一人が団結してたたかいにたちあがっていった。
また、地域のいくつかの労働組合も物心両面からの支援に動きはじめた。これにたいして会社側は、このたたかいを孤立させるための手をうち、「(この問題は)労組内部の問題」として処理しようとしたが、それも失敗した。このたたかいへの支援は、地域的にひろがりをみせ、いくつかの支援労組が会社の手先となっていた委員長の責任を追求するという現象すら生まれた。
旧執行部のたたかいは、以上のような経過を経て、すべての職場において主導権を確立し、臨時大会において前委員長の除名の撤回を実現し、新執行部を成立させ、健全な労働組合を確立するうえで重要な役割を果たした。