請負料の3割減を強いられる郵便輸送事業

日本郵便逓送労働者 三津木高志

「労働通信」2004年5月号

 郵便輸送の一翼を担っている日本郵便逓送は、郵政公社への移行のなかで職場の様相が一変した。

競争入札が広がる

 全国の郵便輸送に参画している企業は、規制緩和によって、四年ごとの契約更改にあたっては競争入札を強要されるようになった。これらのことによって、輸送の路線がさまざまな企業にばらつき、郵便ほんらいの良質な運送サービスを維持するのが困難になってきている。
 会社は、「これまでよりも安い請負料(約三〇%減)に耐えなければならず、経費をおさえるために労働者の賃金、手当をきりさげる」と公言し、この方向で従業員に対応している。高速郵便系の会社は、ついに「希望退職」の募集を強行して、ベテラン運転手の削減に踏みきった。

 また、九州にある老舗(しにせ)の逓送企業は、会社の存続に見切りをつけて企業の解散を決定している。また、せっかく競争入札に勝って仕事を手にしても、あまりの低価格で落札しているために経営上で採算がとれず、途中で仕事を放棄した会社もこれまでにも少なからずあるといわれている。

 郵便輸送のコスト削減が日本の独占・大企業の至上命令である以上、郵政公社の経営陣はこれからも一般競争入札を拡大していくことはうたがいない。

 郵政公社は、いま一定の距離を走行する現行路線の約八〇線を対象に、現在の請負契約料の三〇%減をめざしている。逓送企業のなかで競争入札を避けたい会社は、契約料の値引き(三割)を公仕に提案しなければ郵便輸送業務を手にいれることはできない。こうした値引きは、賃金労働条件のきりさげにとどまらず、老朽化している車両の更改を手控えるなど、新たな設備投資を制限する結果をもたらす。これは、あってはならない交通事故を誘発する要因ともなっていく。

派遣労働者の大量採用へ

 このもとで日本郵便逓送は、労働者にたいして諸手当の廃止など賃下げ、長時間労働、過密労働の強要と勤務時間の改悪など強行し、さらに人材派遣会社との契約を拡大し、派遣社員の大量採用に踏みきっている。このことは、正規社員が減らされ、派遣社員など低賃金の不安定雇用労働者が増えていくことになり、郵便輸送でも労働者の下降移動(経団連・財界の方針)がすすんでいることをしめすものである。

 管埋者は、「(派遣社員は)文句はいわないし、安い賃金で社会保険料もださなくてよい」といって、正規社員を派遣社員・パートにとってかえている。会社側は、今年から来年にかけて三桁にのぼるという定年退職者にたいし、正規社員よる後補充はおこなわないとしている。
 近畿日逓のある職場でも、会社側が「欠員状態の解消や、長期病欠者・定年退職者の穴埋めとして、人材派遣会社と契約したい」と組合に申し入れてきた。これは、われわれの職場ではじめてのことだ。

 職場集会では討論のすえ「やむなし」となったが、みんなのなかには「ほんらいの業務がジワジワと侵食される」という不安感が芽生えている。また、ヤマトや佐川などが販路をひろげているし、やがて郵政民営化のなかで、日通やヤマト・佐川など民間企業の郵便輸送への参入をゆるすのではという噂がながれている。こうした危機感から経営陣への怒りは日に日に高まっている。

 私たち輸送労働者は、集配と運送が一元化された郵便輸送をとどこおりなくおこなうことに誇りをもってきた。しかし、いま、これまで輸送業務を担ってきた熟練社員が職場から追われ、のこった労働者の労働条件が削られ、既得権がうばわれることに怒りがこみあげてくる。

 深夜勤をやらされているが、これがたいへんだ。生活のリズムはくるう。昼からの二時にでて夜中の二時にかえって、その日の夕方の五時にはまた勤務して、あくる日の朝の七時にかえるという勤務をさせられている。しかも、日勤のときには大都会の輻輳した交通事情に遭遇し、事故と背中合わせで毎日身を削る思いではたらいている。こうしたこととかかわっていると思うが、組合員のおおくが不安や不満をぶちまけていおり、労働意欲を減退させてきている。いま、下部組合員のなかには、「このままではいけない」いう意識が芽生えはじめている。もっと大きな視点にたってたたかわなければとしみじみ感じている。

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