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ストラーダ政権に死の一撃を加えるために広範な人民大衆を動員しよう!(2)

フィリピン共産党議長 アルマンド・リナワグ

2000年12月26日
2001年1月29日ホームページ掲載

論文の構成

1,エストラーダ政権と支配体制全体の犯罪性
2,エストラーダ政権を打倒する緊急の課題
3,エストラーダ打倒後の展望

2, エストラーダ政権を打倒する緊急の課題

 党と新人民軍、および革命的大衆は、持久的人民戦争と、これとむすびついた広範な統一戦線および、エストラーダ一派を打倒するという具体的な短期の目標の大衆運動をとおして、断固として戦闘的に新民主主義革命を推進している。反動勢力が、かれら同士の派閥争いと権力へむけた闘争に熱中しているなかで、エストラーダを追放するための広範な統一戦線は前進し、人民の革命勢力は農村部と都市部において大衆活動を加速することができ、エストラーダ打倒の大衆運動のなかで、確実な組織化をおこなうことができる。広範な統一戦線は、何百万もの人民大衆を目覚めさせ、組織し、大衆行動にたちあがらせていく革命勢力の活動を容易にしていている。

 合法的民主的運動と、武装革命運動はともに、党の統一戦線政策から利益をえている。広範な大衆運動が全国で高揚するなかで、敵は軍隊を都市部へと集結せざるをえなくなっている。新人民軍は、農村部から敵の軍隊が減少しているという条件を有利につかって、戦術的軍事攻勢をつよめている。

 現在の支配階級の一派を打倒するという狭い目標のために広範な統一戦線を結集することは、新民主主義革命の綱領と持久的人民戦争の戦略路線を変更することを意味していない。それは、大衆的抗議行動と革命的抵抗闘争のテンポを高め、そのことによって革命勢力が強大となり、前進することを意味している。党は、エストラーダ政権打倒の緊急課題を実行するために、広範な方面の人人と協力するときであっても、新民主主義革命の長期的な綱領を追求しつづけることによってリーダーシップを発揮し、党の独自性とイニシアチブを保持しするよう努力する。

 合法的大衆運動の高まりは、闘争の主要な形式である武装闘争の強化を補完している。党は、独自性と指導性を堅持しつつ、たえまなく帝国主義、封建主義、官僚資本主義に反対する新民主主義革命の路線を宣伝し、革命的大衆基盤を広げ、深化させて、能力の範囲内で人民戦争を強め、愛国的で進歩的な勢力をはげまして、合法的大衆運動のなかで何百万もの人人を急速にたちあがらせるようにうながしている。革命勢力は、大衆運動の緊急の目標と長期の目標についての明確な理解をもっている。都市部と農村部で行動形態についての混乱もない。

 1980年代に党の高い地位にいて、党内で混乱をまきちらした「左」右の日和見主義者は、すでに敵の側に逃亡している。

 「左」の日和見主義者は、都市部での蜂起、あるいは農村部での軍事主義と都市部での蜂起の組み合わせによって、マルコス一派もろとも支配体制全体をほんとうに打倒することができるという幻想をもった。現在かれらは、ルムロ・キンタナール、アルトゥロ・タバラ、ベンヤミン・デ・ベラなどのように、敵のおおっぴらな心理作戦やスパイの代理人となっている。フィレモン・ラグマンをはじめとするトロツキストは、いまでも左翼勢力よりもいっそう「左」を装って、すべての反動的当局者の辞任を要求することで、広範な統一戦線を分裂させ、エストラーダ一派にむけられた砲火をそらすという無駄な努力をしている。ホラシオ・モラレス、エディシオ・デ・ラ・トーレなどの、過去長期にわたって右の日和見主義をやってきた連中は、「民衆派」のアイドルであるエストラーダとともに官僚的腐敗のなかで恥知らずにのたうちまわっている。かれらは、政権の心理作戦のもっとも活発な代理人であり、広範な統一戦線と大衆運動に反対している。モラレスは、ココナツ農民からココナツ税を略奪するために、エストラーダやエドアルド・コファンコらと結託していることでもっとも悪名高い。かれは、土地改革とは、コファンコらの会社が土地を奪うことであるという誤った宣伝をおこなってきた。

 党の指導のもとにある革命勢力と人民は、武装した革命勢力と武装した反革命勢力との現状の力関係について明確に把握している。かれらは、エストラーダ打倒の短期的課題の実現によってただちに、エストラーダ打倒の運動が反動勢力から権力を奪取するチャンスをあたえるであろうとか、あるいは反動勢力と権力を共有することができるといった、いかなる幻想ももっていない。かれらは、現状では支配階級全体を打倒することはできないが、支配階級の危機と反動勢力のあいだの分裂を利用することができ、現在の支配勢力であるエストラーダ一派を打倒し、処罰することができ、この過程で自分たちを強化し、新民主主義革命へと一歩前進することができると考えている。

 党は、それぞれの時期に応じて統一戦線政策を推進し、権力のなかのもっとも悪質な反動勢力を攻撃目標にして、広範な勢力を結集する。党と大衆は、支配体制全体を打倒することができるときがくるまでは、一つの敵とたたかい、打倒し、また別の敵とたたかい、打倒して、そのなかで成長し、強大となっていくことができる。支配体制全体を打倒するためには、農村部における敵の軍隊の背骨を破壊し、反動国家の官僚的、軍事的な装置をうちくだくことが必要である。エストラーダ一派を打倒することは、1986年のマルコスがそうであったように、合法的な広範な統一戦線と合法的大衆運動であっても可能である。 「左」の日和見主義の誤りは、支配体制を打倒するという長期の目標が、エストラーダ一派を打倒するという短期の課題の実現によってなしとげることができるという幻想をもっていることである。他方、右の日和見主義は、支配体制を打倒するという長期の目標をわすれ、広範な統一戦線のなかでの党の独自性と指導性をうしなっている。

 われわれは、エストラーダ一派を追放するか、あるいは辞任させるための広範な統一戦線を維持し、さらに強化するためにあらゆる努力をつくさなければならない。だが、愛国的、進歩的な合法勢力は、広範な統一戦線を推進しつつ、半植民地的・半封建的な支配体制の基本的な害悪を批判し、人民の民族的、民主的な要求を前進させなければならない。広範な統一戦線、とくに合法的分野の運動が、エストラーダ政権を孤立させているので、すくなくとも100万人の人人がエストラーダの辞任まで大統領官邸を包囲するまでに平和的で、大規模な、戦闘的な全国的な大衆行動が発展するならば、この政権を打倒する潜在力をもっている。こうした巨大な大衆動員をおこなううえで主力となる勢力は、バヤン、エストラーダ辞任運動(ERM)、カトリック教会、野党連合、フィリピン問題評議会(COPA)、国民諮問会議(PCA)、南タガログ、マニラ首都圏、中部ルソンの州知事や市長などの団体、KompilUなどである。少なくとも100万人の人人が大統領官邸を包囲し、体制の機能をマヒさせるクライマックスは、1986年にマルコス・ファッショ政権を打倒した大衆的蜂起に匹敵しなければならず、それはエストラーダ政権を支持するためにエルシャダイやイグレシア・ニ・クライストなどが最近開催したペテン師的な祈とう集会を上まわらなければならない。

 広範な統一戦線を維持、強化しながら、われわれは、以下のような革命的階級路線を意識的に実行しなければならない。

  1. 労働者階級が、フィリピンの共産党をつうじて指導性をもたなければならない。地下の党組織は、とくに都市部において、正しい方法とスタイルを使うことによって指導性を発揮しなければならない。
  2. 労働者階級と農民の基本的な同盟が強化されなければならない。大衆運動は、都市部の労働組合運動と農村部の武装革命を強化しなければならない。
  3. 進歩的な勢力の同盟は、都市小ブルジョアジーの勢力を全面的に役立てなければならない。大衆運動は、勤労人民と協力して都市小ブルジョアジーの教育、組織化、動員にさらに力をいれなければならない。
  4. 積極的な勢力の同盟には、中間ブルジョアジーをもくわえなければならない。中間ブルジョアジーは多数ではないが、かれらは大衆運動を支持するように励まさなければならない。
  5. 反エストラーダの反動勢力との一時的な同盟は、不安定であてにならないものではあるが、推進しなければならない。こうした同盟は、反動勢力同士の矛盾のなかからおこっている。それは、敵の孤立化をはやめ、大衆運動にたいする直接的・間接的な援助をあたえる。
  6. われわれは、以上のべた五つのポイントですべてうまくいってはじめて、敵としてのエストラーダ一派を極度に孤立させることができ、打倒することができる。この過程で、革命勢力と人民は強化され、前進をかちとることができる。

 エストラーダ政権打倒の広範な統一戦線のなかで、左翼勢力は、労働者階級と農民、都市小ブルジョアジーの権利と利益、希望を守る側に真に立脚した基本大衆の諸組織、階層別の共闘組織、多階層の共闘組織などで構成されている。これらは、民族民主運動の基本勢力である。

 中道勢力は、一般的な小ブルジョアジーや中規模のブルジョアジーであり、かれらは「人民」の名のもとで、現在の支配体制のもとで、「中流階級」の利益のための改革をのぞんでいる。かれらは、買弁資本や大地主を中心とした社会体制の悪を批判しているが、現在の支配体制を打倒し、人民民主主義の体制を確立するという革命的な立場はあまりもっていない。

 反エストラーダの右翼勢力は、大買弁と大地主の反動階級を代表しており、エストラーダでは現在の支配体制にたいする責任をはたせないとみなしており、支配体制を強化するためにかれをとりかえることを望んでいる。こうした勢力も、エストラーダの追放によって支配階級同士の矛盾が解決しないあいだは、広範な統一戦線のなかにのこることができる。

 エストラーダは、政権にしがみつくために、つぎのような策動をおこなっている。

  1. 広範な統一戦線と大衆運動を分裂させる目的で、赤狩り、脅迫、陰謀などをおこない、大衆運動に反対して政府のあらゆる精力とカネをつかう。
  2. すくなくとも8人の上院議員にたいして、過去の好意やあらたな賄賂、補助金などをとおして影響力を行使し、かれにたいする告訴に対応するために、上院の弾劾裁判所だけが唯一の「憲法手続きである」という主張をくりかえしている。
  3. 2001年の選挙期間前に、上院で無罪の決定をうけるか、あるいは上院がなんらの判断をできないようにして、2001年5月14日の選挙で不正行為を働く。

 広範な統一戦線のなかでは、エストラーダが辞任するまで大統領官邸をとりまく大衆行動を展開することによって、エストラーダを打倒することができるし、しなければならないという一般的な合意ができあがっている。だが、反エストラーダの右翼勢力の一部には、大統領官邸をとりまく大衆運動がなくてもエストラーダを打倒できるとか、上院で有罪判決をうけるだろいうというつよい幻想もある。

 上院で有罪判決をくだすためには、3分の2以上の議員の賛成が必要であるが、そのための要因としては、大衆行動の高まりの衝撃があることと、強力な証拠と、エストラーダをつぶせというアメリカの工作員からのアドバイスがあることである。

 同時に、有罪判決がだされず、無罪放免となる要因としては、弾劾裁判が選挙期間までひきのばされること、エストラーダやエドアルド・コファンコらによる買収があること、現在のアメリカの情勢のなかでブッシュの逆転敗北があること、あるいはエストラーダが上院にたいして、無罪判決がでれば辞任するとか、選挙でエストラーダ一派の上院議員が落選すれば辞任するなどというウソの約束をすることである。

 上院の弾劾裁判にすでに提出されているエンストラーダにかんする証拠は全面的なものであり、議論の余地がないものである。それは、かれを贈収賄汚職の罪で有罪にするのに十二分なものである。ファビット・シングソン知事と、クラリサ・オカンポ銀行副総裁をはじめとする人人の証言や、関連する銀行の文書などは、エストラーダにとってもっとも不利である。銀行の処理のなかで、彼の略奪品を蓄積するために、ホセ・ベラルデという偽名を使っていたことが決定的に証明されている。それにもかかわらず、エストラーダが有罪判決を下されたという、どんな確実性もない。もし、エストラーダが選挙運動期間期間のはじまるまでに、上院でかれの忠実な信奉者によって無罪とされることができないならば、かれの弁護人は前述した期間まで裁判をひきのばすことができる。反エストラーダの運動が停滞すれば、エストラーダが権力にいすわることを容易にし、2001年の選挙ののちに幅広い統一戦線のなかの各種の勢力に復讐を加えることをゆるすことになる。

 エストラーダを権力から追放することを保証するためには、2001年の第1・四半期のあいだに反エストラーダの大衆運動と広範な統一戦線を堅持し、さらに強化していかなければならない。そして、強大な大衆行動によって、エストラーダを無罪にしたり、選挙運動前に判断をくだすのを回避するようなことがあれば、かつてなかったような、はるかに巨大で、いっそう戦闘的な反政府の大衆行動がおこり、上院はますます支持者をへらすであろうことを、上院にたいして気づかせなければならない。

 もし、上院がエストラーダに有罪判決をくだすことができなければ、マルコス政権を打倒したときと匹敵するような大衆行動をひきうけなければならない。マルコスは、1986年の選挙で勝利を宣言したにもかかわらず、打倒されたことを忘れてはならない。

 エストラーダが、広範な統一戦線を追いつめ、分裂させるという絶望的なくわだてのために軍事力をつかって脅迫し、その一方でみずからの「潔白」を証明するために2001年の選挙結果を不正に工作するということは十分に考えられることである。

 左翼勢力は、みずからの独自性と指導性を保持しつつ、支配体制の危機を利用し、中道勢力を獲得し、反エストラーダの右翼勢力との協力関係を維持しなければならない。民族民主運動勢力は、他の勢力と全般的な協定をむすび、大衆行動を平和的に継続し、その重大性と戦闘性を拡大していくことをかれらに保証している。党は、その独自の路線にたって、新人民軍の部隊を都市部の合法的大衆闘争に参加させないことを再三にわたって表明している。なぜならば、新人民軍の本来の役割は、農村部において戦術的な武装攻撃を強化することにあるからである。軍隊と警察の退役幹部および現役の幹部もまた、エストラーダの辞任を要求し、人民の集会や言論の自由の権利を尊重することを宣言している。したがって、マルコス政権の末期と同様に、エストラーダ一派が高まる大衆闘争を弾圧するために軍隊や警察をつかうのを阻止することは可能である。外国の債権者の一連の代表者や現役の将軍たちさえもエストラーダに辞任を要求することさえ可能である。最近の記憶では、スハルトがこのような方法で自分の権力を従順に手放した。

 エストラーダ一派は、最近えらばれたアメリカの大統領がかれをすくってくれることに期待をかけている。だが、かれらは、レーガンの共和党政権いらい、カイライ政権は金融引き締め政策の導入によって一般的にきりすてられ、最後通牒は国内の軍隊の代表によってつきつけられてきたことをわすれている。

 エストラーダ政権の平和的打倒の可能性がある一方で、パンフィロ・ラクソン将軍にひきいられた、軍隊や警察のなかのエストラーダ信奉者が広範な統一戦線の中心勢力やメンバーにテロ攻撃をくわえ、大衆運動を分裂、破壊する可能性もある。あるいは、なにかの名目をつけて、とりわけマクパガル・アロヨ副大統領に敵対して一気にクーデターを引き起こす可能性もある。この点では、退役軍人連盟(FORCES)や現役の軍隊・警察の要員の地下運動が、エストラーダに頑強に味方している連中にたいして対抗策をとることが正当化される。かれらは、軍事政権や軍事・文民連合政権を樹立するためのクーデターをおこなうことなく、エストラーダ忠誠派をその犯罪行動のかどで監視し、孤立し、逮捕することができる。

 もし、エストラーダ政権が、集会の民主的権利を行使している非武装の大衆にたいして暴力をつかうならば、党と新人民軍、民族民主戦線は、これらの勢力を地下運動へと吸収し、人民戦争を強化し、エストラーダ一派の統治能力のなさを明確に証明しうるような何らかの戦術的攻勢をかける用意がある。エストラーダが政権にしがみつくためにより抑圧的な行動をとるならば、それは人民をより大規模でより強力な大衆行動へとかきたてるだけでなく、人民軍がエストラーダ一派のなかの最悪の分子、とりわけフィリピン全土の略奪者、人権侵害者どもにたいする懲罰的な行動をおこすことを正当化するだけである。

 もし、エストラーダ一派が2001年の第1・四半期をとおして政権にとどまることがどうにかできたとしても、支配体制の政治的、経済的危機はいっそう深まり、革命的抵抗闘争はさらに高まるであろう。アメリカの「ニュー・エコノミー」のバブル崩壊は、すでにフィリピン経済に衝撃をあたえている。エストラーダは、自分の犯罪が暴露されたことから、もう国をたしかに統治することができなくなっている。帝国主義と国内反動勢力にとっては、これ以上かれを政権につけておき、使い古した操り人形を相対的にあたらしいものにとりかえることによって、自分たちの犯罪性をおおいかくすという古い戦術をつかわないことは、自滅を意味する。革命運動にとっては、かれらがエストラーダをただちにとりかえるよりは、いつまでも彼を政権にとどめる決意をする方が好都合である。

 

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