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労働組合のつくり方――実践編

 

五章 オルグの心得

 いま、日本の労働組合運動は危機的な状況にあるといわれています。賃金、労働条件の引き上げについては、資本と対等にわたりあう力をうしなっているばかりか、バブル崩壊を口実にした大量の首切り「合理化」攻撃の前で、労働者の雇用をまもるという最低限の役割すら、多くの労働組合は放棄しているからです。

 大企業の本工労働組合は、資本の首切り「合理化」、権利侵害攻撃を労働組合みずから代行する別働隊の役割さえはたしてい留、と批判する声さえあります。

 「労働者一人一人はよわいからこそ、団結してたたかう」という労働組合の原点をわすれて、よわい立場の労働者や組合に組織されていない下請け・パート・臨時労働者に、そして地域社会に犠牲を押しつけ、その踏み台にたって企業と一体に生き延びようとするかれらが、いまは「主流」を名のろうとも、初戦は大多数の労働者・国民から孤立して没落するのは歴史の必然といえます。

労組の力量強化が求められている

 しかし、そうはいっても、たたかう労働組合運動の力をどうやってつよめていくかという、みずからの努力ぬきに歴史の発展はありえません。まして、自衛隊の海外派兵を突破口に、憲法改悪をねらい、政府・独占資本が日本の労働者・国民の生活と権利・民主主義そのものをうばおうとしているいまこそ、たたかう労働組合の真価がとわれているのです。

 日本の労働運動をたてなおし、新生させようとおおくの労働組合がいま奮闘しています。

 そのなかでわたしたちにとくにもとめられているのは、組織を飛躍的に拡大し、社会的影響力をいっそうつよめていくことです。わたしたちは、従来の労働組合の弱点を克服した産業別労働組合運動を進める名kで、業種別交渉権渡島いつ労働条件の確率、家族ぐるみの運動、権利侵害には一歩もひかない運動をはじめ、各界から注目される活動をすすめてきました。この運動をさらに発展させるためには、「数は力」といわれるとおり、組織拡大に積極的に取り組む必要があるのです。

 あたらしく加入したなかまも、そしてすでに加入し公然化しているなかまも、「要求実現の早道は組織拡大から」を合い言葉に、一人一人がオルガナイザー(組織者)となって、未組織のなかまにはたらきかけましょう。

要求実現の早道は組織拡大にある

 なかまをふやす活動は、とくにむずかしいものではありません。だいじなのは、「なかまをふやすことが、みずからの労働条件向上の最大の力」という原点に、たえずたちつづける姿勢をわすれないことです。

 よくみられるのは、自分の企業のなかだけでものごとをみようとする考え方です。これでは、社長が「もうかっていないから賃あげはこれだけ」といわれて、ぐうの音もでません。また、「地域の同業他社はもっと低い」といわれたときも、言葉につまってしまうでしょう。

 地域全体の同業他社も、足なみそろえて賃金・労働条件引き上げをはからなくてはならないような運動をすすめるには、まわり道に見えても組織を拡大し、職場の要求を産業別統一闘争にむすびつけることが決め手となるのです。

未組織のなかまの状態をたえず調査すること

 未組織のなかまとつながりをもつためには、ビラまき、立て看板、家庭訪問、工場・職場訪問などさまざまな手段がありますが、出発点となるのは、その地域・業種の情勢をたえず分析することです。

 なかまがどのような職場環境・労働条件で働かされているのか。どんな要求・悩みをもっているのか。それをそれぞれの未組織の職場に即してつかむのです。このために地域の企業・産業の動向をしらべることもわすれてはなりません。

 組合づくりを訴えるにしても、未組織のなかまの腹の底の気持ちや要求にぴったりこない、まとはずれな働きかけでは、労おおくして成果はすくないとなりがちです。

「口は小さく、耳は大きくが信頼関係をうむ

 さて、未組織のなかまとつながりができました。個個で、大事なのは、あなたや組合の活動をほこらしげにしゃべることや、「組合とはこういうものだ」とお説教をすることではありません。

 「この人間は、おれの悩みや要求をほんとうにわかってくれるだろうか」−−。未組織のなかまは、あなたをまず、こんな目でみています。それもとうぜん、いままではなに一つ人間関係がないのですから。だから、あなたの仕事は、まず徹底的に、そしてそのなかまの立場に立って、悩みや要求に耳をかたむけることからはじまるのです。

 おなじ労働者なんだという信頼関係をつくることが第一歩。そこから、要求が整理され、たたかいに立ち上がるなかまのエネルギーをひきだすつぎの仕事がはじまるのです。

安易な請負は禁物

 組合づくりのすべての段階を通じて、「請負主義」は禁物です。

 準備会活動のときも、公然化後も、とにかくあなたはたよられることがおおいでしょう。そしてそれは、「きもちのいい」ことです。

 しかし、調子にのって「すべておれにまかせとけ」といった請負主義は、けっきょくのところ、そのなかまたちの「一人だち」をさまたげる結果しかうみません。

 つねにわすれてはならないのは、「組合づくりの主人公は、未組織の仲間自身だ」ということです。なかまがみずからの力で立ち上がること。はじめて社長ら会社と対決すること、職場のなかまの団結にあれこれ苦労してみること、一つ一つの成果が自分たち自身の活動で勝ち取ったものだと確信すること−−これらの道筋を指導・援助するのがオルグや地域のなかまの役割なのです。

 「労働組合に加入するのは、労働者の人間としての自立宣言」と労働運動の大先輩たちはおしえています。
そしてオルグはつぎには、団結することで自分たちの偉大な力を発見し、確信したなかまに、「こんどはみなさんがあたらしいなかまをふやす番だよ」と助言することです。

 

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